■女性が通いやすいポイントとは

　「限界まで出来る」とはいえ、この『ガールズ・キック』のクラスでは、実際に殴り合ったり、蹴り合ったりをするわけではない。毎回、やることが常に決まっており、一定のレベルを超えることは絶対にしない。

　「楽しくやりたいだけなのに、いきなりスパーリングするとか、必要以上に追い込むとかは絶対にしません。その日、何をやるのか…というドキドキ感は一切なし。代わりにクラスによって内容が完全に決まっているので安心感はありますよね。会員さんは自分のやりたいレベルや内容に合わせて、それぞれのクラスを受けに来ればいい。このあたりは一般の女性の方々が通いやすいポイントかも知れないですね」と同ジム代表の田島剛さん。また、ジムの清潔感を心がけ、棚のキックミットやグローブは綺麗に並べ、普段は仕切りをつけ見えないように心がけ、また会員さんたちにも些細なゴミでも落ちていたら拾うというルールを決めていという。
　このようなジム運営は田島さんがオランダ・ボスジムで長年、格闘技を修業した経験もヒントになっているという。田島さんはTuyoshiというリングネームでK-1にも出場、数々の試合経験と豊富な指導経験をもとに分かりやすく指導するスタイルも人気だ。

　ちなみに、『ボスジム』では、『ガールズ・キック』の他に、『KIDS空手』や『キックボクシング・ベーシック』、そして『スパーリング』等、計13種類のレベルや目的に合わせたクラスがある。

■あくまで、キックボクシングを通じて、楽しくダイエットやボディメイクをすることが目的

華麗にハイキック！

　『ガールズ・キック』のクラスは選手を養成するのが目的ではない。あくまで、キックボクシングを通じて、楽しくダイエットやボディメイク、健康増進することが目的だ。

　「有酸素運動にキックやパンチといった瞬発的な無酸素運動が加わるキックボクシングのトレーニングなら、3カ月も続ければカラダは変わります」と田島代表。

　「続けている方は、筋肉が付く、痩せるというより、引き締まったカラダになっていくことが多い。大切なのは、続けること。1週間毎日やって、次の1週間全て休むより、週1回を3カ月続けたほうが効果があります」

■入会して約1年。体重は最大で5Kg以上減。キック・パンチが知らぬ間に全身運動に。

　名取さんもその効果を実感する一人だ。

　「ボスジムでトレーニングするようになってから約1年経ちますが、体重は一番重かった頃に比べたら最大で5㎏以上は落ちました。でも、体重ももちろん落ちたんですけど、それよりも、カラダが絞れた印象が強い。例えば、体重が同じでも、『なんか、スリムになったね』とか、『カラダがシュッと締ったよね』と言われることが多くなりました。

　『ボスジム』は、パンチもキックもただの手打ちじゃなくて、足、腰、肩、腕とちゃんと全身を使って打つように常に意識させてくれるから、知らず知らずのうちに全身運動になってるんですよね。だから、今まで筋肉痛になったことがないような箇所が痛くなる。効いてると実感します。結果、全身が締る。自然とシェイプアップ、ボディメイクが出来ているんです」

■クラスはきっかり1時間。基本から～2人一組の練習までスピーディーに展開

ミットを持つ田島ヘッドコーチ。

　クラスは夜7時20分から、8時20分までのきっかり1時間。ウォーミングアップから始まり、ストレッチ、基本となる構えやステップの確認、パンチ・キックのフォームの確認と実践、2人一組になっての練習…と軽快なBGMをバックに、時おり休憩を挟みながらも、スピーディーに展開する。

　「目の前の鏡で自分を見て、カッコイイな、K-1選手みたいだなと思えるようにね！鏡に映った自分が、そのまま相手に見えてる自分だからね！」と声を出しながら指導するのは、ヘッドコーチの田島洋さん。代表の田島隆さんの実弟で、オランダに渡り、前述のホースト氏のスパーリング・パートナーを5年間務めた実力者だ。「名取さん、メキメキ上達してますよね。パンチも恐がらないし、センスがある。このまま続けたら、もっともっと強くなりますよ」

■指導では常に“実践”を想定させる。いざという時の護身にも役立つ

　楽しくシェイプアップを目指すクラスとはいえ、指導では常に“実戦”を想定させるのがボスジム流の『ガールズ・キック』。

「強いパンチを打つためには、腕の力だけじゃダメです。腕の力はたかが知れてます。女性でも、毎日歩いて鍛えられている足と腰をちゃんと使えば、男性相手でも一発で倒せる！地面を蹴って、それをパワーにパンチを打ちましょう！そう、そう！さらに肩が入れば、パンチは10㎝伸びます！」と会員さんのパンチを順番に受けていく田島コーチ。

　真剣な表情でパンチを打ち込んでいた名取さんも、「相手がいることを常に意識させてくれるんで、いざっていう時も役に立つんじゃないかと思ってます」と護身にも役立つレベルのトレーニングであることを実感。この点はやはり、一般向けのエクササイズ目的のクラスとはいえ、キックボクシングが格闘技である特徴だろう。

■ストレス発散にも効果絶大！太りにくいカラダも手に入った！

　トレーニング終了後、汗をたっぷりと流して、ジムに来た時とはすっかり別人のような清々しい表情の名取さん。

　「すっごいスッキリしたー！カラダも軽くなりました。ストレス発散にはめちゃめちゃなりますね。シェイプアップはもちろんですが、キックの良いところは蹴って、叩いてストレスを発散できるところ。あと、食欲が旺盛になって、食べ物も美味しくなる（笑）。特に、トレーニング翌日はいっぱい食べますね。でも、太らないんですよね」

■K-1も、ホースト氏も知らないキャリアウーマンが名門ジムで汗を流す日々