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2013年1月度MVP 森井洋介

毎月eFightが取材した大会の中で、最優秀選手を決める月間MVP。2013年1月のMVPは、1月6日(日)後楽園ホールで行われた『RISE 91/M-1MC ~INFINITY.II~』でポンサネー(タイ)と対戦。ムエタイの怪物を相手に真っ向勝負を挑み、大激闘の末に引き分けた森井洋介に決定!(2013年2月8日UP)

PROFILE
森井洋介(もりい・ようすけ)

1988年7月30日、長野県上田市出身
身長170cm 体重57.75kg
2008年2月9日、全日本キックでプロデビュー
2009年3月14日、9戦目で白濱卓哉(建武館)に初黒星を喫する
2011年4月10日、長嶋大樹(ONE’GOAL)をKOしてWPMF日本フェザー級王座に就く
同年10月23日、ルンピニースタジアム認定フェザー級10位クワンエークを3RでKOする快挙を達成
2009年6月から2011年12月に梅野源治に敗れるまで12連勝を飾る
2012年4月29日、中嶋平八(誠至会)をKOしてWBCムエタイ日本フェザー級王座に就く
同年10月7日、秋元皓貴(真樹ジムAICHI)に敗れWBCムエタイ王座を失う
戦績:21勝(9KO)4敗3分
藤原ジム所属

選考理由
1、「ムエタイの怪物ポンサネーを相手に殊勲のドロー」

2、「激しい試合で超満員の観客を熱狂させた」
3、「毎回のように激闘を演じ、今後も活躍が期待される」

選考委員
Fight&Life、ゴング格闘技、BOXING BEATの各格闘技雑誌の編集長とeFightの全スタッフ

受賞された森井選手には、ゴールドジムより以下の賞品(プロカルシウム 300粒 1個マルチビタミン&ミネラル 1個アルティメットリカバリー ブラックマカ&テストフェン+α 240粒 1個)と、eFightより記念の盾が贈られます。

プロカルシウム 300粒

骨の形成に必要なコラーゲンやカルシウムなどミネラルを含むプロテタイトに、骨の成長を考えたカルシウム、乳果オリゴ糖、CPPなどを配合しました。
マルチビタミン&ミネラル

100%自然素材を使用したビタミン&ミネラルサプリメント。着色料、香料、保存料は一切使用しておりません。
アルティメットリカバリー ブラックマカ&テストフェン+α 240粒

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贈呈:ゴールドジム

MVP記念インタビュー 
「先に倒さないと自分が殺されると思っていた」

■恐怖心で極限の精神状態に追い込まれて……

「リング中央で向かい合った時、本当に逃げ出そうかと考えたくらい怖かった」と森井は試合を振り返った。

 RISEとM-1の2団体が手を組み、昨年12月2日のTDCホール大会に続いて開催されたスペシャルイベント『INFINITY』(インフィニティ)の第2回大会。その目玉カードのひとつが、森井洋介vsポンサネー・シットモンチャイ(タイ)だった。

 ポンサネーは元ルンピニースタジアム認定フェザー級王者、元プロムエタイ協会フェザー級王者で、2010年には最も権威のあるムエタイ2大殿堂のひとつルンピニースタジアムでMVPに選ばれた選手。テクニシャンタイプの多いムエタイには珍しく、重くて速いパンチ&ローキックでKOを狙い、2010年にはムエタイで最もKO勝ちが多い選手と言われていた。

“ムエタイの爆撃機”“ムエタイの怪物”と呼ばれ、日本の格闘技ファンにもその名を轟かせていたポンサネーの初来日。当然、大きな注目を浴びた。迎え撃つ森井は毎回のように激闘を繰り広げるハードパンチャーとして知られ、その攻撃力は日本フェザー級ナンバーワンと評価されている。しかし、戦前の予想は圧倒的にポンサネー有利。森井自身も「そう言われるのは分かっていたし、当然だと思った」という。

「ポンサネーのことは前から知っていて、いずれは戦いたいなと思っていたんですが、まさかこんなに早く対戦が決まるとは思っていませんでした。決まった当初は興奮してテンションが上がっていたんですが、試合が近付くに連れて“殺されるんじゃないか”という恐怖心がどんどん大きくなって。喰ってやろうとの気持ちとビビる気持ちの繰り返しでした。戦えるのが嬉しい3割、怖い7割でしたね」

 試合映像を見たり、練習で対策を立てたりとポンサネーの研究を重ねるうちに、「練習前のテンションも落ちてきて、うつになってしまうんじゃないかと思ったくらい怖かった」と恐怖心はどんどん増していった。いつもならハードな練習で試合に対する恐怖心を克服するのだが、今回の試合では最後まで克服できなかったという。

 その恐怖心は冒頭の言葉にあるように、リングで向かい合った瞬間ピークに達した。逃げたい、でも逃げられない。極限の精神状態に追い込まれた森井が出した答えは「倒される前に倒す」だった。

 試合開始のゴングが鳴ると同時に森井はポンサネーに接近、最初から猛然と打ち合いを挑んだ。これにポンサネーも応戦し、両者いきなりフルスイングの打ち合いを繰り広げると場内のボルテージは一気に上がり、超満員の観客がドッと沸く。まるで風を切る音が聞こえてきそうなポンサネーのパンチが、森井の目前をかすめる度に場内からは悲鳴に近い歓声があがる。

「先に倒さないと自分が殺されると思っていました。相手の方が何もかも上だと思っていたので、自分にあるのは特攻精神。それだけでした。もう無我夢中でしたね」

引退も考えていたが、闘争心に再び着火!

  強いパンチとローキックの応酬が繰り広げられ、両者それぞれがクリーンヒットを奪うスリリングな試合展開が各ラウンドに続く。その中でポンサネーが両腕のガードをガッチリと固めて打ち合いを避け、ローを蹴ってくる場面が増えてきた。森井のパンチが効いたのか、あるいは森井とパンチで打ち合うのは危険と判断したのか。しかし、そうではなかった。

「自分のパンチは当たっていたし、効いていたと思います。でも、ポンサネーは目が死んでいなかった。何か狙っているな、という雰囲気が1Rから5Rまでずっとあったんです。行きたくても行けない、何か恐怖を感じる、そういうプレッシャーの掛け方がポンサネーは上手かったですね」

 3分5Rのフルラウンド続いた大激闘の末、判定は三者三様(48-49、48-48、49-48)のドロー! いい試合を見せてくれた両者に惜しみない拍手が送られた。あるいは、ムエタイの怪物を相手に真っ向勝負を挑み、絶対不利の予想を覆して引き分けに持ち込んだ森井への賞賛の拍手だったのかもしれない。森井にとっては殊勲のドロー決着だった。

「試合が終わった後は安堵感しかなかったですね。生きて帰ってこられてよかった、と。最低でも病院送りにされると思っていましたから。結果に満足はしていませんが、いい勉強になったし、自信も付いたのでドローは上出来だと思っています。もう1回やりたいか? やりたくないです(笑)。でも半年後だったら、勉強したことを自分のものに出来ていると思うので再戦が組まれればやります」

 実は森井、昨年10月7日に16戦無敗の超新鋭・秋元皓貴に判定で敗れた後、引退を考えていたという。

「なぜかは分からないけれど、あの時は負けても全然悔しくなかったんです。もう引退しようかなって思ったくらい。その前から、ここ1~2年は自分の中でパッとする試合が出来なくなっていて、このままキックボクシングを続けるべきかどうか悩んでいました。それで秋元選手に負けて悔しくなくて、“もういいかな”と考えていた時にポンサネーとの試合が決まったんです。ここで自分がどれだけやれるか、1RでKO負けするようだったらもう辞めようと思っていました」

 死をも覚悟して臨んだ大一番で、「自分が出せるものを出し尽くした」と思えるほど充実した試合をすることが出来た。本物の強豪と互角の試合を演じたことで再び闘争心に火が付き、格闘家としての自分に自信を持てるようになった。もっと自分は強くなれる、と。

「本当に強い相手とやらせてもらえてよかった。今年は勝ち負けにこだわらず、超強いタイ人とやっていきたいですね。タイ人以外の外国人でもいいので、日本人では勝つのは無理だろうと言われるような相手とやっていきたい。それで強くなっていきたいし、お客さんには興奮出来るような試合を見てもらえるだろうなって思います」

 森井は早ければ3月にも試合に出場する意向だという。恐怖心に打ち勝ち、さらに大きく強くなった森井の勇姿が待ち遠しい。きっと次回も激闘を演じてくれることだろう。

関連リンク

・ゴールドジム Web site
・試合レポート「森井が怪物ポンサネーと大激闘!殊勲のドロー」

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