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第10回「ラモン・デッカーの物議をかもした試合と、眠気も吹っ飛んだ伝説の名選手の試合」

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「ムエタイの魅力、語りまくります」の第10回。今回は何度かのタイ取材で本場のムエタイを見た時のエピソードを中心に綴っていきたい。

 よくムエタイの試合で言われるのが、「どっちが勝ったのか分かりにくい」ということ。たしかにムエタイの判定は難解で、パンチよりも蹴りの方がポイントが高い、いくらパンチを何発も当てても蹴り一発の方が評価される、ヒザ蹴りが一番評価される、などなど様々な説がある。

 タイのレフェリーが来日した時に、判定について質問すると決まって「パンチと蹴りのポイントは一緒。ダメージを最優先にポイントを付ける」と言うのだが、ムエタイの試合を見てると本当にそうとは思えない。最近になって「ギャンブラーたちの賭け率が勝敗に大きな影響を与える」との説も出ており、本当に難解なのだ。

 例えば、ボクがタイへ取材で行った時に、日本語が喋れるタイ人(元ムエタイ選手)がコーディネーターをしてくれたことがあった。一緒にルンピニーで試合を見ていて、判定の前にその人が「どっちが勝ったと思う?」と聞いてきた。ボクは手数の多かった青コーナーの選手だと答えたら、その人はニヤリと笑って“あっち”と赤コーナーの選手を指差す。結果はその通り、赤コーナーの選手の勝ちだった。

「なんで?」と聞いたのだが、彼はニヤニヤと笑うばかりで「タイ人にしか分からない」とその理由を教えてはくれなかった。

 判定に関して、日本で最も物議を醸したのは、1990年に後楽園ホールで行われたラモン・デッカーvsブンチャイ・ソー・トワノン(ルンピニースタジアムの現役ランカー)の一戦。90年代に“地獄の風車”のニックネームを持ち、驚異的な破壊力を誇るパンチを武器に活躍したデッカー。タイでもたびたび試合を行い、ランカーをKOしてムエタイの牙城を最も脅かした外国人選手の一人である。そのデッカーが初来日した時の試合だ。

 この試合でデッカーは左右のハードパンチを炸裂させ、ブンチャイの頭は左右に激しく揺れた。その度に満員の後楽園ホールからは大きなどよめきが起こる。ブンチャイはパンチを浴びながらもヒザを蹴り続けるという展開。さしものデッカーもKOは逃したが、十分すぎるインパクトを残した日本デビュー戦だった。

 ところが、結果はブンチャイの判定勝ち。裁定が告げられると、観客からは“えーっ!”と疑問の声が上がった ・・・

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