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【ボクシング】54年の歴史に幕、名門ヨネクラジム最後の日

2017/09/01(金)UP

 名門ヨネクラジムがその歴史の幕を閉じた。今年3月に米倉健司会長が83歳という高齢から病気で入院するなど、指導がままならなくなり4月に8月31日を以って閉鎖を発表。そして、とうとう54年の歴史に幕を降ろすその時が来た。

 最終日となったこの日、特別に何かが行われるでもなく、通常通りジムはオープン。木曜日は3部制に練習が分かれており、18時半開始の最終練習に訪問、最後の取材を敢行した。

ヨネクラジム最後の日、ボクサーたちは普段と変わらず全力で汗を流した

 半世紀以上経過したこのジム。黒光りした木の床にはこれまでの栄光の名選手たちの汗が染み込んでいる。
 柴田国明、ガッツ石松、中島成雄、大橋秀行、川島郭志と5人の世界王者をはじめ、東洋太平洋王者、日本王者を含めると37人の王者を輩出してきた。

 7月末で一般練習生は退会扱いとなったことから、この時間に集まったのは現役プロ選手とその OB。病気療養中の米倉会長の姿はなかったが、8月22日、ヨネクラジム最後の王者(日本ユース初代フェザー級)となった溜田剛士(ためだ・つよし=23)をはじめ現役プロボクサー8名を含む14名がこの床を踏みしめ、ミット、サンドバッグ、スパーリングなど1時間半を普段通り全力で行った。まるで明日も、また次の日もここで同じように練習が続いていくような雰囲気。実際、参加者に聞いても「今日で最後という実感が湧いてこないんですよ。最後ってこんなものなのかも」と言う。

ヨネクラジム最後の王者となった溜田。後ろには元日本、東洋太平洋王者の西沢良徳トレーナーが普段通り見守る

 町田主計トレーナーは「今日が最後ですが実感が湧きません。次はワタナベジムのトレーナーとなりますが、まだ切り替えができてないですね」という。練習に参加しているプロ選手たちも全て移籍先が決まっており、明日から違うジム所属となるが、ただ黙々と、普段と同じように全力で練習に打ち込み続けていた。

 ヨネクラジムマネージャーであり、米倉会長に代わり経営など運営全般に携わる林隆治氏は「人生の半分をここで(ヨネクラジム)過ごしました。私はボクサーではありませんでしたが、(米倉)会長が選手と同じように世話してくれました。自分の半分を無くすような感じです。しかし、会長がジムに来られなくなり、閉鎖を表明して綺麗に閉じるというのは会長らしいなと。ヨネクラジムは米倉健司のものなので、存続の声があっても、これは仕方ありませんが、最後のこの時まで関われて良かったと思っています」と、これまで仕事に従事できたことの感謝を述べた。

最後にジムスタッフ、選手たちが集合写真に応じてくれた

 20時に練習が終わり、特別なセレモニーがあるわけでもなく、「お疲れ様でした!」と挨拶を交わし、一人、また一人とジムを出る。普段通り明かりが消され静かに幕を閉じた。ボクサーを育てるためのジムは最後の日までやることは一貫していた。ジムはボクサーを作る場所。それ以外はやらない。実にシンプルだ。
 明日からは1階のジムは誰も立ち入ることができなくなるという。ボクサーたちは今日の練習を受け継ぎ、明日から別の場所で練習を積み重ねて強くなっていく。ジムは消えるが、そんなヨネクライズムを持った移籍するボクサーたちは、これまでと変わらずに王座を狙い続けていくことだろう。

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