2017/02/17（金）UP
（最終更新：2018/04/17 19:24）

ペッティンディープロモーション
「True4U」
2017年2月17日（金・現地時間）タイ・バンコクランシットインターナショナルスタジアム

強烈な左ミドルを放つ石井（左）

▼True4Uフライ級王座決定戦
○イッセイ・ウォーワンチャイ（＝石井一成/エクシンディコンジムJAPAN/True4Uフライ3位）
判定3−0　※48−49、47−49、47−49
●センソン・エラワン（タイ/元true4Uミニフライ級チャンピオン）
※イッセイ（石井）が王座を獲得。

　東福岡高等学校（3年生）に在学中のムエタイ戦士・石井が、人気ムエタイ・テレビマッチ『True4U』のフライ級王座決定戦に臨んだ。

　石井は現在、タイ国内で6連続KO勝利と絶好調。当初は1月27日に同王座決定戦を迎える予定であったが、対戦相手の変更により急遽キャンセルに。しかし、代わりに用意された相手を強烈なヒジ打ちでしっかりとマットに沈め、今回の王座決定戦に名指しで抜擢されることとなった。

　対戦相手のセンソンはソンクラー県出身の17歳。これまでにタイ南部王座と2つのテレビマッチ王座を奪取、そして現在もルンピニースタジアムのランカーでもある。

　これまでにない強敵と王座を懸けて激突する石井だが、これまでの6連続KO勝利という数字もタイの関係者から期待を多く集め、試合の勝敗に影響するとされている賭け率の試合前レートは、ほとんどイーブンの形で試合をスタートすることができた。

　試合は1R、センソンはミドルキック中心に試合を組み立てるが、石井は早くもパンチからのローキック、そして自身の得意な技の一つである左ボディーフックを見舞う。普通ムエタイでは初回は相手の出方を探り合うラウンドかもしれないが、石井の右ローの食い込みが良かったため、そのままローキックで圧しきった。

　2R、センソンは地味ながらもミドルキックを蹴り続け、石井の反応を探っているようであっだが、石井がパンチやローキックで前進すると、その体圧に耐えられなかったのか、さらに石井の攻撃が目立つようになる。

　3Rに入り、石井は左ミドルと前蹴り、そしてその間にパンチを打ち込み攻撃を散らせる。センソンも本来の打撃は重く、これまでに多くのKO勝利を収めるほどだが、1Rでローキックを効かされ、さらに石井の幅広い攻撃の数々にミドルキックを返すのが精一杯のようだ。このラウンドを通じて、石井はこれまでのローやパンチの他に、ミドルやテンカオ、肘打ちなど多彩な打撃を見せた。

　4R、センソンは後がないと悟り、組んで石井を崩しにきた。石井がセンソンにこかされ、一瞬センソンの首相撲ペースにはまってゆくのかと思いきや、石井はすぐにセンソンを体勢捌きで倒し返し場内を沸かせる。この時点で賭け率は20-1で石井リード。あとは石井は最終ラウンドを乗り切れば、石井のタイトル奪取は間違いない状況だ。

　最終5R、案の定センソンはパンチでの逆転を狙い石井に襲いかかってくるが、石井は前蹴りや足捌きでセンソンを複数回こかし顔面前蹴りなども決めた。この状態でも石井の判定勝ちは濃厚だったが、それでもセンソンは諦めず前に出てくる。石井はさらに左ハイキックそしてボディーフックを3連射すると、センソンはここで力尽きた。
　
　石井が判定で勝利し、True4Uフライ級王座獲得に成功した。初回から自分の得意技であるローキックを、センソンに効かせるまで蹴り続けたことで、それ以降の試合ペースを握ることができた。

　日本人の石井が現地でレベルの高いタイ軽量級のトップと争い、一つのタイトルを奪取るだけでもすごいことだが、今回の石井の多彩な技と強打、そしてセンソンという実力者に圧勝したことなど、この石井の飛躍ぶりには現地関係者らも驚きを隠せなかったようだ。
　
　試合後、「今回の試合は、過去最強の相手とのタイトルマッチということで、とても緊張しました。リングに上がりゴングが鳴るまで不安でした。ですが、1発目のローキックが当たった瞬間に自分の距離をつかむことができました。そこからいつも通りローからパンチのコンビネーションを当てることができ、後半はミドルを当ててポイントを取って勝つことができました。7連続KOとはいきませんでしたが作戦通り戦えたので良かったです」と振り返った石井。