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【コラム】平日でも超満員、ファンは10代~20代が中心「Krush現象」その人気の秘密

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■第1章 リピーターの獲得と明るい雰囲気作り

 昔も今もボクシングを含む格闘技イベントには「選手売り」と呼ばれる、選手やジム関係者が知人や後援者に直接チケットを販売するシステムがある。近年の格闘技イベントはこの選手売りが増え、プレイガイドでの売り上げよりも比率は高くなっているという。つまり、純粋にその大会が観たい、この選手の試合が観たいというファンが減り、身内の観客が増えているということになる。Krushではどうなのだろうか。

「大会によりますが、まだジム・選手売りの方が優っているのは否定できません」と正直に教えてくれたのはKrushの宮田充代表。ただし、ジムからオーダーがあっても「もうこれ以上は売れない」というラインはある。ジム・選手売りよりも一般層の購入が多いプレイガイドで販売する方を優先しているのだ。試合が観たいと思っても、ジム・選手売りで大半のチケットがさばかれて一般層に回らないのでは本末転倒。それではファン拡大の芽はない。

▲Krushの試合に熱狂する観客

 さらに、ジム・選手売りでチケットを手にし、その選手の応援で会場に訪れたことを“きっかけ”にしてKrushファンにする工夫も。

 Krushの客層は15~25歳くらいの男女がメインで、子供や全日本キック時代からの常連ベテランファンもいる。イーファイトで年末に行った読者アンケートでも、10代からの回答者は好きな団体としてほぼKrushをあげていた。若いファンが多いのは若い選手を起用しているところが大きく、彼らが呼んでくる友だちは当然若い。そこで大事なのは、友だちの応援で来た観客をその友だちの選手が出場していなくても観戦に訪れるリピーターにすることだ。

▲次回大会に出場する選手による告知では、一触即発の雰囲気になることも

 大会では毎回、次回大会の告知がある。次回大会に出場する選手、または対戦が決まった選手たちがリングに上がり、マイクアピールを行う。時には激しい挑発合戦が繰り広げられ、一触即発の雰囲気になることもある。

 ロビーではその次回大会のチケットが売られており、会場で購入する特典として座席表を見て、好きな場所を選べる。また、次回大会に出場する選手たちが出口付近に並び、お見送り握手会を行う。選手から直接「次の試合を観に来てください」と言われれば、「観に行こうかな」という気持ちになることもあるだろうし、少なくとも勝敗は気になるだろう。

▲Krushをプロデュースする宮田代表(中央)

 宮田代表によれば、「選手も知らない人から頑張ってくださいと言われたらパワーになるし、誰も損しない」と、選手側にもプラスになるという。

 東京都在住のY.Tさん(29歳・男性)は、『Krush.11』(2011年8月14日)を知り合いの選手を応援するため観戦に行ったが、現在では「開催されるたびに観に行きます」というほどのリピーターに。Krushの魅力は「KO率が他の団体と比べ高いところです。あと若い無名の選手をドンドン使い、有名な選手と戦わせた時に世代交代をさせようとするイキイキしたところ。krushを観に行った後は何か清々しい気分になります! 間違いなく日本最高の格闘技団体だと思います!」と語る。

 同じく試合に出場した友人の応援で観戦に訪れた東京都在住のK.Mさん(21歳・女性)は、2010年から約10大会を観戦。「期待通りの対戦カード、KO決着の多さ、ファンと選手の距離の近さ、定期的に開催されるところ」に魅力を感じているという。

 昨年からは小中学生1,000円(立ち見)のチケットも販売されるようになった。これは親が付き添いで来れば大人の券も売れるという狙いもあるが、子供たちが面白いと思ってくれればお年玉が入った時には指定席を買ってくれるかもしれない、または大きくなった時に指定席を買ってくれるかもしれないという、未来の観客を育てる意味もある。

▲写真を見ても分かるように会場は文字通り明るい

 会場は常に明るい雰囲気を保つ。宮田代表の工夫はこうだ。「格闘技の会場って怖い人たちがいるんじゃないかと思われがちですが、Krushの会場は若い人たちが中心なのでその心配はありません。若い人たちの中にもお酒を飲んで騒ぎすぎる人たちはいますが、度を超して騒ぐ人たちには注意しますし、試合開始前にはマナーの向上を促すVTRも上映しています。照明も明るくしていますし、パンフレットひとつにしても読み物を増やしたり、マンガを載せたり、家に持って帰っても楽しめるようなものを作っています」

 身内の観客でも満員になればいいではなく、常に外側を見る。その姿勢は「協賛の会社さんも、どれだけ若い子が来てくれるかを見ていますし、子供が走り回ったり、女の子がいる方が絶対にいいわけですから」と、大会協賛の獲得にもつながっている。

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コラム内容
■リピーターの獲得と明るい雰囲気作り
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■SNSを始めとするメディア活用術
■選手との距離が近くなる今までになかったファンサービス
■一般の観客に会場で安心して楽しんでもらえる工夫 

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