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【吉鷹弘の打撃研究室】連載第44回「宍戸が2試合で放った奇跡のバックブローの秘密」の巻

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 打撃のスペシャリストである筆者が、最新の試合を題材に打撃技術を分析していく連載コラム。今回は11月17日に行われた『SHOOT BOXING WORLD TOURNAMENT S-cup2012』に出場した宍戸大樹のバックハンドブローを分析。2試合に渡って奇跡を生んだバックハンドブローの秘密とは?

▼第6試合 S-cup2012 1回戦第3試合 3分3R延長1R
○宍戸大樹(シーザージム/S-cup2004準優勝、前SB東洋太平洋ウェルター級王者)
判定2-0 27-27、28-27、28-27
●ジェシアス・カバウカンチ(アメリカ/HERO’Sミドル級世界王者決定トーナメント2006&2007優勝)
※試合レポートはこちら

■鈴木悟戦で決めたバックハンドブローの秘密

『S-cup2012』に出場した宍戸大樹。これが実質、宍戸にとって最後のS-cupとなるであろう。国内随一の試合数(71戦)とキャリア(14年)を誇る宍戸も衰えは隠せず、最近の試合ではかつての精彩を欠く様な内容のものばかりであった。

 4連敗中の宍戸はS-cup出場への最後の切符をかけて、9月17日に鈴木悟との試合を迎えた。 負ければ、誰しもが「これで宍戸は終わりだ……」と思ったことだろう。

▲左ジャブのフェイントがバックハンドブローへの布石だった

 鈴木とは過去に試合経験があるものの、その時の内容は決して宍戸の完勝といえるものではなく、辛うじてスタンディングフロントチョークで鈴木を一瞬失神させてのTKO勝ちだった。もしフロントチョークでレフェリーがストップしなければ、結果はいうまでもなく鈴木の勝ちであった可能性が高い。

 この試合の後ろにS-cupが控える両者・両陣営にとっては、勝つと負けるとでは「天と地」ほどの差であり 異様な緊張感が漂っていたことだろう。

 宍戸vs鈴木の試合は“まさか”と思わせる宍戸の起死回生のバックハンドブロー2発で決着がつく。私が記憶する限り、宍戸のバックハンドでのKO勝ちは初めて見た。

▲鈴木(左)に決めたバックブロー

 宍戸はまず左ジャブのフェイント。このジャブに反応するあまり、右手のガードや瞬間的な反射を抑えられた鈴木は、為す術なく宍戸の快心の一撃を2度もまともに食うことに。

 国際式ボクシングの経験が豊富な選手は、ジャブをパーリングすることで右手が前に出るため、有効とされていたバックハンドブローをこの試合までに用意周到に磨き上げ、見事これを決めた宍戸の底力には驚かされた。

 S-cupの前哨戦で見事なバックハンドブローを披露した宍戸の奇跡は、S-cup本戦でも爆発する。1回戦の相手は近年の日本の格闘技界で著名なあのジェシアス・カバウカンチ(J.Z.カルバン)。主戦場をアメリカに移してからは、なかなか日本でお目にかかることがなかったが、アメリカではコンスタントに総合の試合をこなしていた。

 試合前のウォーミングアップで、コンディションの良さを見せてくれたカバウカンチ。総合格闘技の選手とはいえ、宍戸にとっては難敵である。

 宍戸vsカバウカンチのゴングが鳴る ・・・

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吉鷹弘の「打撃」研究室 第44回 内容
■鈴木悟戦で決めたバックハンドブローの秘密
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■カバウカンチ戦で決めた生涯最高のバックハンドブローの秘密
■格闘技に“もしも”はないが、もう一度見たい一戦とは…

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