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【月間ベストファイター・3月】秋元皓貴がONEキック日本人初の戴冠、王者・カピタンに”空手技”で圧勝

■勝負を決めた”空手仕込み”の右ローキック

 今回の試合を決めた右ローキックだが、以前の試合よりもスネの上部で蹴っているように見受けられた。
 このローは顔面への手技攻撃の無いフルコンタクト空手ではよく使われ、ヒザに近いスネの太い部分を当てると、通常の足首近くを当てるローキックよりも重く深く入る。しかしその分相手に近づいて蹴ることになる。

 パンチを得意とするカピタンに、このローを蹴ることは技術と勇気が問われるだろう。
 空手時代には、このローキックも使っていたと言う秋元だが「キックボクシングで出すのは難しかった。間合いの問題もあり、どうやって出したらいいのか、カウンターをもらわないようにはと、ずっと(空手から転向した)3年半調整し続けて、今回やっと『使えるな』という所まできた」と試行錯誤してきたローが、このタイミングで間に合ったのだと言う。

15年、ムエタイから転向し第2回JFKO全日本に参戦するといきなり準優勝した

 この必殺の右ローを空手からキックボクシングに落とし込めたのは、様々な要素があると言うが、一つにはパンチからの繋ぎ方があると言う。
 オーソドックスの秋元は「普通の人のローキックの蹴り方は、前の手の攻撃からローを蹴ることが多い。左ジャブから右ローキックなど。これを(奥手である)右のパンチから右のローへ繋げた」と言う。
 同じ奥側である右パンチが当たる時点で、すでに距離は縮まっている。右のスネローも当たる距離になっているというわけだ。

 他にもカウンターで合わせるタイミングを掴めるようになったと言う。キック転向し、3年半の時間がかかったのだ。

 この3年半、空手の技は使えていないと言う秋元は「使えて、ハイキックくらいかな。それも改善の余地がある。でもここから空手の良さが出てくるし、(右ローの他にも)使えるようになればいい」と、今後は空手の技がキックにアジャストしていけるのではと語る。

■当初はカウンター狙いのはずが、5R通しての猛攻に

カピタンをケージに追い込む秋元©︎ONE Championship

 また、今回の勝因として秋元が前進するプレッシャーと、手数による猛攻があった。空手時代から秋元のファイトスタイルは、冷静に相手を観察し、相手の攻撃終わりに合わせて鋭い打撃を叩き込むことが多い印象だ。今回スタイルを変えたのか。

 秋元は「今の自分はキックボクシング歴3年半で、スタイルが確立していない」と、実はまだ戦い方が定まっていないのだと言う。
 現在は「色んなものを吸収し、試したい中で、毎試合ごとに違う戦い方を準備している。今回はこの戦い方がはまった。次の試合はまた違う」と相手によって戦略を変えているのだ。

 今回もいくつかの戦略パターンを用意していた秋元は「カピタンはプレッシャーの強い選手なので、下がりながら、またはサイドへ回りながら、カウンターを合わせる準備をしてきた」と当初はカウンター作戦で行こうと思っていたという。
 しかし「1Rにぶつかってみて、攻撃を受けた時に『あ、行けるな』と思った」と言う。カピタンのパンチは受け切れると判断したのだ。

 そして「今回やりたいのは逆にプレッシャーをかけ、相手のプレッシャーを逆に潰すこと」と思ったのだと言う。右ロー作戦の他に、ここでもプレッシャーをかける戦い方に修正したのだ。

▶次ページ:『Evolve MMA』で感じた、日本での練習では得られなかったもの

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