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【月間ベストファイター・3月】秋元皓貴がONEキック日本人初の戴冠、王者・カピタンに”空手技”で圧勝

■『Evolve MMA』で感じた、日本での練習では得られなかったもの

『Evolve MMA』のチームで掴んだ勝利でもあった©︎ONE Championship

 この多用な戦略作りについては、チームのコーチの力が大きいと言う。また、チームメイトからのアドバイスも多いとのことだ。

 現在所属する『Evolve MMA』に移って、日本のキック時代や空手時代と一番変わったのが「チームワーク」だと言う。

 秋元は日本でのキック時代を振り返り「ジムには他のプロ選手もいたけれど、皆自分とトレーナーと練習して終わり。誰かが試合だからサポートしようというのは正直無くて、自分からお願いしないとスパーリングの時間も合わせてもらえない。個人プレイみたいだった」と語る。
 また空手時代には、所属していた会でのバックアップはあったが、練習相手が不足しており、一人で稽古する日々が多かったとも言う。

 現在はMMAチームに所属し、MMAファイターたちと打撃の練習を共に行っている秋元は「今はチームワークがすごくある。試合が決まると、皆が相手選手の映像を見てアドバイスをくれるし、試合の時のサポートや、トレーニングも一緒にしてくれる。逆もそうで、僕は打撃しかサポート出来ないけれど、皆で助けあっている」とチームで戦っている感覚が強いと言う。

 練習も「ミット打ちとかは実はそんなにやらなくて、空手で言う約束組手(攻撃に対する様々な受け返しや対応)をやることがとても多い。結果的に試合に近い状態になる。動きの中でリアルにイメージ出来るので、練習してきたことが実戦に移しやすい」とシーンごとの対人練習の多さが、実戦に有効なのだと言う。

■課題はパンチ、でも「伸びしろしか無い」

現在はシンガポールに居住、Zoomで取材に答えてくれた秋元

 実はカピタン戦は、1年ほど前にも声がかかったと言う。しかし当時は怪我をしており、オファーは断った。「だから1年前からカピタンと戦う想定はしていた。試合はいつも怖い。だから相手に勝つためにどうすればいいか準備をする。カピタンに対する準備が1年以上続いていた。今回試合が決まった瞬間、絶対勝てるという自信があった」と、準備万端で臨めた試合でもあったという。

 それだけに、今回の勝利に対する思いは大きい。「今回のベルトはとても重たかった。これからどんな相手が来るかわからないけれど、倒していきたい」とますます強くなりたいと意気込む。

 課題もある。「一番はパンチの技術をもっと上げたい」とパンチがテーマだという。
 続けて「空手の時のクセか、意識はしているけれど、咄嗟の時には脇も空き気味になってしまう。完成度で言ったら、僕は全然出来てないと言ってもいい。でも逆に言うと、伸びしろしか無い。まだまだ僕はキックボクシング3年目。やらなきゃいけないことがたくさんあるし、空手の技も、工夫していけばたくさん使えるようになる。どんどんダウンもとって、KOして勝っていきたいというのが、目標の一つかな」とパンチで倒せるファイターを目指す。

■”紆余曲折”の格闘技人生でも「努力し続ければ、思った以上になる」

2012年、森井洋介にハイキックを見舞う秋元

 少年時代からの空手からキックへ移り、また空手へ戻った。そしてさらにキックへ転向し、格闘技人生、20年以上かけ、このビッグタイトルを手にすることが出来た。紆余曲折、だったかもしれない。秋元は言う。「よく言われる。あの時折れなくて良かったね。続けていて良かったね。キックから空手に移った時は、傍から見たら『潰された』とか見えたかもしれないけれど、自分としてはそこまで思っていなくて」と経験の一つだったと振り返る。

 さらに「色んなことで、やりたいことが潰されてしまったと感じる人も多いかもしれない。けれど、そういう人も絶対諦めなければ、努力し続ければ、最後は自分が思っていた以上になると思う」と、夢半ばになりそうな人にエールを送る。「僕もここまでになれるとは思っていなかったし、諦めないことが大事なのかと」と自分の道を信じることが大切だとも。

 26戦25勝1敗。並外れた結果を出しながらも、その道は平坦ではなかった。しかし空手では日本のトップを獲得し、そして”立ち技世界最高峰”とも言われるONEでも王座に就いた。
 秋元にとっては、どんなことも成長し強くなるための道で、ONE王者になってもそれは変わることはないのかもしれない。
 王者になった秋元の、次の試合、次の戦い方、そして人生に注目したい。

秋元皓貴が受賞の喜びを語る

受賞の喜び
「正直、3年半前にキックボクシングをやることになってONEデビューすることになって、その時は月間MVPを取れると思っていなかった。ONEでここまで自分が登り詰めるのも想像出来ていなかった。だからこの試合が終わった時に『これで(月間MVPが)取れなかったら、俺一生取れないな』と思った。頂けて本当に嬉しい(笑)」

サプリメントについて
「身体的には、BCAAやEAAを。試合が近くなっている時は意識的にマルチビタミンを摂っている。減量は僕はそこまでないけれど、減量しながらトレーニングをすると、筋肉が減っちゃったりするんで。そのへんは食事と共に気をつけている」

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