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【発掘】小池都知事、26歳時『月刊空手道』に寄稿した”アラブの空手ブーム”現地レポ

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2020/04/15(水)UP

小池百合子東京都知事 2016年 空手大会の会場にて

「カラテェー、カラテェー」

 カイロの街を歩く私に、子供たちばかりでなく、大人たちもが、こちらの気をひかんとして声をかけてくる。以前は「ヤバーニ、ヤバーニ(日本人)」という声だったのだが…。

 これは今から42年前の1978年、小池百合子氏(現・東京都知事)が空手専門誌『月刊空手道・11月号』に寄稿したものである。題して『アラブ空手事情、ヤバーニから空手人へ』である。小池氏は当時26歳になったばかり。カイロ大学を卒業し、現地でアラビア語の通訳者時代だ。

26歳の頃の小池百合子都知事。カイロ大学文学部卒、アラブ滞在5年とある

 この記事を読むと、1973年公開のブルースリー映画『燃えよドラゴン』の世界的なブームにより、空手ブームにも火がつき、徐々に日本人に対して『カラテ』と呼ぶようになったアラブの当時の様子が伝わってくる。小池氏の文章は絵のようにイメージできて分かりやすい。

「子供たちが空手の真似をし、飛び掛からんばかりに駆け寄ってくる。時には本気でかかってくる子供もいたり、散歩していても気が休まらない。日本人と見ると、すべての人が空手ができるものだと信じているようだ。そんな彼らに『知らない』などと答えようものなら失望の意をあからさまに見せる」と空手ブームに困惑する姿も描くも「風土、歴史、文化を全く異にするアラブの人々を、これほどまでに魅了した日本の文化が今まであっただろうか」と驚異の空手の広がりを伝えた。

スフィンクスの前で空手の構えをする空手家たち

 そして話は国際交流に。
「それほどまでに人気を一手に集め、アラブに対する日本の表看板となっている空手である。日本がアラブに油乞いをしているのに対して、アラブは日本に空手指導者の派遣を望んでいる。(中略)お題目の文化交流の時代はもう過ぎた。彼らが何を望んでいるかという社会的な調査・知識なしの、お仕着せの交流からは、真の国際交流は生まれて来ないのではないか」と問題提起。

小池都知事の記事が掲載された月刊空手道(78年11月号)

 小池氏はエジプト各地に空手道場が十近くあり、アラブでも空手が活発で会員数は十数万人にのぼり、アラブ空手連盟の会長は世界空手連盟の副会長をつとめていると、アラブの空手背景を説明。また、日本空手協会から派遣された一人の日本人指導者の努力が身を結び現地指導員が生まれてきているとも伝えるが「アラブの人々に空手を指導するには、空手人口に必要なだけの指導員がいなくてはいけない」「優秀な指導員が出向き、技だけでなく空手道の根本精神をも彼らに指導することが必要」と、アラブの現状を説明し日本に向け、真の国際交流をプレゼンテーションする26歳の小池氏の姿は、未来の政治家としての資質も窺えた。

 最後に小池氏は「日本の若い人々が空手道を通じ、アラブとの交流に確実な基礎を築き上げられんことを祈っている」と結んだ。

▶小池都知事が寄稿した記事全文へ

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