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【吉鷹弘の打撃研究室】連載第48回「鈴木博昭がボーウィーをKO出来なかった理由」の巻

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 打撃のスペシャリストである筆者が、最近の試合を題材に打撃技術を分析していく連載コラム。今回は9月23日に行われた『SHOOT BOXING2013 act.4』で、“破壊神”ボーウィーに勝利した“怪物くん”鈴木博昭の技術を分析する。シュートボクシングの新エースとして期待がかけられている鈴木が、この試合で露呈した技術的欠点とは?

▼メインイベント(第7試合) SBエキスパートクラスルール 68.0kg契約 3分3R無制限延長R
○鈴木博昭(ストライキングジムAres/SB日本ライト級王者)
判定3-0 ※30-28、29-28、30-29
●ボーウィー・ソーウドムソン(タイ/ワンソンチャイ・ボクシングプロモーション/元WMC世界ウェルター級王者)
※試合レポートはこちら

■筆者は鈴木のワンサイドになることを予想していたが…

 9月23日にシュートボクシング後楽園大会で行われた鈴木vsボーウィーの一戦。互いに強打者ゆえに、戦前からKO決着必至が予想され、梅野孝明vsボーウィーの再来を期待していた観客も多くいたことだろう。

 しかし、その期待に反して結果は互いに効果的な有効打はほとんどなく、鈴木の左首投げによるシュートポイント1点が決め手となった判定勝負であった。

 強打のボーウィーとはいえ、長年のダメージ蓄積による衰えから、たとえ判定でも鈴木のワンサイドを私は予想していたのだがーーKO決着にならなかった要因は? 大差の判定がつかなかったのは? 何が要因・原因なのだろうか……。

 答えは、鈴木がボーウィーとの強打の交錯を避けて、両手を閉じた「閉じブロック」の構えから右の前蹴り、左のインロー・ハイキックが中心の試合展開を実践したからである。

 ボーウィー戦の2試合前、モハン・ドラゴンとの一戦で1RKO負けを喫している鈴木は、リスクのある打ち合いを避けて、徹底的にガードを閉じた構えで「後の先」による対応を選択し、ボーウィーの隙を見極めながら攻め込んでいった。

 右ジャブから入ることさえも極力避け、パンチは相手の虚をつくタイミングに乗じて左ストレート、もしくは左ロングフックを出すのみであくまで蹴りを中心に崩していくことを優先していた。

 だが、いくら強打を避けたところで、蹴りだけでムエタイの猛者を止めれるわけでもない。鈴木がパンチを打ち込んでくることがないと悟るや、ボーウィーはどんどん間合いを詰めてパンチの距離を保持しようとしてくる。

 さらに 閉じガードを堅める鈴木に対して左右のボディフックから、その昔、国際式ボクシングの元世界ヘビー級王者マイクタイソンが得意であった右ボディフックからの右アッパーを頻繁に繋いでくる。浅くヒットする場面が見られるが、鈴木はとにかく打ち合いを避けて蹴りから入り続けていく。
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吉鷹弘の「打撃」研究室 第48回 内容
■筆者は鈴木のワンサイドになることを予想していたが…
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■なぜジャブとステップワークが大切なのか

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