【バウト】TOMONORI、KO負けで奪取ならず
BOUT実行委員会
「ノースエリア格闘技イベント BOUT20」
2015年6月13日(土)北海道・テイセンホール
▼第8試合 ISKA世界フライ級王座決定戦 3分5R
○“THE ROCK”ポール・ザ・シルヴァ(イギリス/クリーリーマーシャルアーツアカデミー/WPKL世界バンタム級王者)
KO 3R1分32秒 ※左フック
●TOMONORI(OGUNI GYM/WBCムエタイ統一日本フライ級王者)
※シルヴァが新王座に就く。
800名(超満員札止め)というBOUT史上最多の観客数を記録した今大会。トリを務めたのは、札幌生まれで現在は現地でジム『Grabs』を運営しながら現役活動を続けるTOMONORIと、イギリスからやってきた”THE ROCK”ポール・ザ・シルヴァの間で争われたISKA世界フライ級王座決定戦(オリエンタルルール)。
1R、攻勢に出たのはTOMONORIの方だった。地元の家族や友人の熱い声援を背にいきなり重い右ミドルを打ったかと思えば、左右のローを打ちながら揺さぶっていく。
シルヴァは相手の蹴り足をつかんでからのストレートで反撃に転じようとするが、なかなかつかませてもらえない。そんなシルヴァが後退するタイミングを見計らって、TOMONORIはボディストレートも有効に放つ。
さらに1R終了間際には左ミドルをクリーンヒットさせ、大きな拍手を受けた。ISKAの世界タイトルマッチはマストシステム(ラウンド毎に得点差をつける)で裁かれる。明らかにTOMONORIが優勢に進めたラウンドだった。
しかし、このラウンドでTOMONORIのリズムとタイミングを計ることができたのか、2Rからシルヴァは逆襲に転じた。TOMONORIの蹴りに合わせて力強いワンツーを返していく。何度かローが効いている素振りを見せたが、TOMONORIが左手で「来いよ」と挑発すると、タイミングよく右フックを見舞う。
クライマックスは唐突に訪れた。終盤TOMONORIが右ローを打ち込もうとするや、シルヴァはそれに合わせて右ストレート一閃。これが相手のアゴを打ち抜いたのだろう。TOMONORIは思い切りキャンバスに頭を叩きつけるように大の字になって倒れ込んだ。
万事休すと思われたが、レフェリーのダウンカウントが進む中、TOMONORIは立ち上がった。その直後、ラウンド終了のゴング。TOMONORIはゴングに救われた格好になったが、わずか1分間のインターバルで頭を打ちつけたダメージから回復することは難しかった。
3Rになると、TOMONORIは大逆転を狙って得意の飛びヒザ蹴りを狙うが、クリーンヒットするまでには至らない。逆にシルヴァの痛烈な左フックを食らって2度目のダウンを喫してしまう。
なんとか立ち上がったが、ダメージの蓄積は誰の目にも明らか。このチャンスをシルヴァが見逃すはずがない。とどめの左フックを打ち込んで、地元の英雄をキャンバスに沈めた。
ダウンカウントが進む中、TOMONORIはまたも立ち上がったが、ISKA公認レフェリーの和田良覚は試合を止めた。ISKA世界戦はフリーノックダウン制を採用しているが、打倒なストップに思えた。3R1分32秒、シルヴァのKO勝ちだ。
試合後、真新しいチャンピオンベルトを巻いたシルヴァはヒーローインタビューに応じ、「私の夢だった日本での試合に勝ててうれしい。応援してくれてありがとう」と結んだ。一方、TOMONORIは控室で「もうダメかもしれない」と肩を落とした。
・【試合動画】TOMONORIがTKO勝ちでWBCムエタイ日本フライ級王座を獲得
▼第7試合 日タイ国際戦ムエタイルール 3分5R
△永山敬之(士道館札幌道場RISEフェザー級8位)
ドロー 判定0-1
△ナロンチャイ・ファンパサート(タイ/元ラジャダンナムスタジアム認定フライ級8位)
北海道生え抜きのキックボクサーとしては初めてWPMF日本ランカーとなった永山敬之が3度目の打倒ムエタイに挑んだ。
試合は5Rのムエタイルールらしく、ラウンドが進むにつれ、熱くなってくる展開に。攻撃を散らして試合の主導権を握りたい永山だったが、ナロンチャイは海千山千の大ベテラン。のらりくらりと試合を進め、永山に試合の主導権を渡さない。
そして相手と組むと、大きく弧を描くようなヒザ蹴りを打ち込む。白眉は組み際や離れ際の攻防だ。ナロンチャイのヒジ打ちが永山の顔面をかすめると、場内から何度もどよめきが起こった。
それでも、スタミナに絶対の自信を持つ永山は勝負を諦めない。3R以降はスタミナ切れが目立ち始めたナロンチャイに対してワンツーやローを武器にシーソーゲームに持ち込む。
5R、ナロンチャイのヒジ打ちを外して、永山はパンチの3連打を見せると場内から大きな拍手が起きたが、詰めきるまでには至らない。しかも、お互い決定打はなし。1-0(ナロンチャイ)のドローが告げられた瞬間、観客席からは失意のため息がもれた。
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