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【ボクシング】内山高志、リベンジならず「もっと力を出し切りたかった」

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2016/12/31(土)UP

ワタナベジム
「BOXING THE BEST OF BEST TIME FOR PAYBACK」
12月31日(土)東京・大田区総合体育館

王座初防衛したコラレス(左)。内山(右)はリベンジならず

▼WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチ 3分12R
○ジェスレル・コラレス(パナマ/WBA世界スーパーフェザー級王者)
判定2-1(117-110、115-112、113-114)
●内山高志(ワタナベジム/WBA世界スーパーフェザー級2位・挑戦者)
※コラレスが王座初防衛に成功。

 今年4月に行われた12度目の王座防衛戦で、まさかのKO負けを喫した内山高志が、8カ月ぶりの再起戦=敗れた相手とのリベンジマッチという大勝負に挑んだ一戦。内山が大晦日のメインイベントを務めるのは6年連続になるが、チャンピオンではなく挑戦者の立場で迎えるのは今回が初めてだ。今年37歳になる内山は、KO負け直後は引退も考えられたが、「コラレスとだけはどうしてももう一度戦いたい」と試合3日後にはロードワークを再開し、リベンジに向けて動き出した。「どうやって借りを返すか、そればかり考えてこの8カ月を過ごしてきた」と強い意志を持ってこの試合に臨む内山。片や迎え撃つコラレスも4月の初戦では前日の一回目の計量で体重超過のミスを犯したが、今回は一発でパスして仕上がりの良さと「グレートな試合をする」と絶対の自信をアピールした。

 タイプはお互い右のボクサーファイターだが、内山が身長で5センチ、リーチで12センチ上回る。だが1R、コラレスはサウスポーに構えていきなりの左ストレートを振るい、カウンターでボディに食らった内山がバランスを崩すシーンもあった。コラレスのパンチからは一発KOを狙う強い意志が感じられ、4月に続いて短期決着の予感も漂った。

 2R、内山が左ジャブから試合を組み立てていくが、コラレスは右のジャブはほとんど使わずに左ストレートから仕掛ける展開。両者の強打が空を切ると場内から大きなどよめきが起こった。

 3R、両者が足を止めた状態で一発の打ち合いを展開。強打が交わされる度に会場からため息がもれる。ここでコラレスがオーソドックスに構えを変えて左右の連打。さらにまたサウスポーに戻すなど、ニックネームの“インビジブル(透明人間)”通り、変幻自在の仕掛けで内山を翻弄していった。

 4R、内山の左ジャブがなかなか当たらず、接近した攻防の中からコラレスの左がヒット。コラレスは小刻みに構えを左右にスイッチさせて、内山に的を絞らせない。パンチのヒット数はコラレスが優位だ。

 試合が急転したのは5R、正攻法の内山に対して変則スタイルのコラレスという展開が定着してきたこのラウンドの終盤、コラレスのパンチに内山が左フックを合わせてコラレスが転倒。ダメージは浅いように見えたが、タイミングよくマットに転がった姿にレフェリーはダウンを宣告した。

 6R、アクシデント的なダウンに動揺を見せないコラレスは飛び込んで左ストレートを当てるなど、依然として優勢に進める。内山は右の鼻から出血。試合後、「6Rくらいから行こうと思った」と内山が言うこのラウンドもジャッジ3者は10-9で王者を支持した。

 7R、サウスポーのコラレスは、これまでのようないきなりの左ストレートではなく、右のジャブから攻防を開始。やや打ち疲れたのか、パンチの数はコラレスが上回るが有効打は打てない。

 8R、コラレスは前半のような鋭い動きではなく、右ジャブを軸にした正攻法とも言えるスタイルに。ただ、内山が連打を仕掛けるとステップや体捌きでかわすなど巧さを見せる。9R、お互いにボディストレートがヒット。コラレスの連打を内山はガードを固めて防御して単発のパンチを返すが、クリーンヒットには至らない。

 そして試合の流れが変わったのが10R、コラレスが体を振ったところに内山の右ストレートがヒット。このパンチを機にコラレスはクリンチを主体にした戦い方に変化。内山のパンチでダメージを負ったのは明らかだった。

 11R、コラレスは自ら体を低くしてパンチを打ち、その後にクリンチで逃げる展開。場内から大きなブーイングが起こった。

 内山の逆転KOも予感させた12Rだが、試合展開は変わらず、王者は“インビジブル”らしい、相手をけむに巻く戦術で戦いを終えた。判定は117-110(コラレス)、114-113(内山)、115-112(コラレス)という2-1のスプリットでチャンピオンの初防衛となった。

 リベンジに失敗した内山は「(コラレスに)リターンマッチを受けてもらい、負けたということは、自分がその程度の実力だったこと。判定もこんなものかと。ボディを効かせてから、仕掛けていこうと思ったが、相手が落ちなかった。ダメージはないし、余力を残してしまったのが悔しい。もっと出し切りたかった」と無念のコメント。気になる今後についても「リベンジマッチに勝つことだけを考えていた。ゆっくり休んで考えたい」と言葉を濁した。

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