【RIZIN】弥益ドミネーターが眼窩底骨折、MMA初挑戦の極真ベイノアはなぜ強かったのか
6月13日(日)東京ドームで開催された『RIZIN.28』の第一試合では、極真空手&RISE(キック)王者の”ブラックパンサー”ベイノア(極真会館)が、前DEEPフェザー級王者・弥益ドミネーター聡志(team SOS)とMMAルール73kg契約(前日計量:ベイノア72.85kg、弥益72.30kg)で戦い、ベイノアは2-1のスプリット判定負け。しかしながらロープ掴みによるレッドカード(減点)がありつつも2-1判定という、初MMA挑戦ながら、大健闘とも言える活躍を見せた。
打撃戦ではベイノア、グラウンド戦では弥益がリードしつつも、グラウンドでベイノアのパウンドの連打も光った。試合翌日、弥益は病院で眼窩底骨折と診断されたとSNSで報告「1Rのパンチで眼窩底折れちゃってました。検査のため、やむなく本日有休。ただただ申し訳ない…打ち合おうと一瞬でも思ってしまったあの時の俺をブン殴って眼窩底折ってやりたい。」と綴った。
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ベイノアが総合格闘技のDEEP前王者と対等に渡り合えたのは何故か。
ベイノアは昨年10月にRISEのリングで「RIZINでMMAデビューしたい」とリング上で発言していた。ベイノアに今回の試合後、個別に話を聞くと「今年に入って早々に寝技対策を始めました。極真でMMAの試合に出た先輩たちに教わりながら。内容は寝技、関節技を如何にして回避するか、極められず逃げるのはどうすれば良いかということです。週1回だけの練習でしたが、とにかく逃げることに徹しました」という。そのおかげで寝技で極められることはなく、打撃が生きた。
さらにその強さには極真会館(松井館長)の新ルールがある。これまでの極真ルールでは足払いや足掛で相手を転倒させても技ありを取ることは稀だったが、16年から改訂の新ルールからはしっかり技ありを取るようになった。ルール改定当初は、強豪選手相手にも足払いがよく決まったが、大会を重ねるにつれ選手たちの腰がすわり、足払いが決まることが少なくなった。
ベイノアも極真の道場で指導、そして練習に励む。
ベイノアは「今回の試合に向け、空手の試合に出場する後輩たちとガチの組手をやりました。極真会館のルールでは足払いや足掛けで転倒することで技ありを取られるので、足払いや足掛けをかけられない為の距離感や技の出し方はもちろん、足を取られた際に倒されない為のボデイバランスを保つ感覚が必要です。今回の総合格闘技挑戦には良い稽古の一つとなりました」とMMAに対応するフィジカルの部分を語った。
さらに彼の強さは物怖じしない強いハートにもあると言われる。ウケる、ウケない関係なく、芸人としてピン芸人の頂点を目指すR-1グランプリにも参戦している。今回の東京ドームの舞台でもMMA初参戦ながら堂々の立ち回り。ベイノアのローキックでバランスを崩した弥益が尻もちをついて下になり、寝技を誘おうとしたとき、ベイノアは応じず「押忍!」と十字を切り不動立ち。会場を沸かせるサービス精神、余裕を見せた。
ベイノアは極真の強さを証明していくのを目標に掲げている。しかし、次回、RIZINで戦うことになれば、さらに強い選手と戦うことになると当然のことながら覚悟している。極真の打撃をうまく入れるためには、更なる寝技対策が必要だ。
ベイノアは今回の試合で朝倉未来に勝ったクレベルや、タイトルマッチでムサエフに勝ったサトシ・ソウザの三角絞めに対抗するのは、これまでの寝技の逃げ対策だけでは厳しいと感じたようで「今後はしっかり柔術を習って、対策を立てます」と現状に満足せず先を見る。
「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」と極真の創始者、大山倍達総裁が、この孫子の言葉を弟子に常々伝えていた。大山総裁は牛と対決するために柔道を習い黒帯も取得した(現存する記録は2段)。その精神はしっかりベイノアもしっかり受け継いでいるようだ。柔術を知り、次はさらにベイノアの打撃が生きてくるだろう。試合後の榊原代表にインタビューではベイノアのポテンシャルを評価していた。再びRIZINの舞台での活躍に期待したい。
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