【KNOCK OUT】元うつ病の四冠王・松﨑公則が46歳の引退試合「KO勝利し後輩ぱんちゃん璃奈に引き継ぎたい」=3.12

2022/03/10（木）UP
（最終更新：2022/03/12 19:29）

　3月12日（土）後楽園ホールで開催される『KNOCK OUT 2022 vol.2』で引退試合を行う、元四冠王の松﨑公則（46=STRUGGLE）がイーファイトのインタビューに応えた。

　引退試合の相手は昨年11月、スック ワン キントーン フライ級王者・細田昇吾にKO勝利し勢いに乗る21歳・阿部晴翔（チーム・タイガーホーク）。KNOCK OUT-RED（※ヒジあり）スーパーフライ級の一戦で行われる。

　松﨑は遅咲きのファイターで、2009年・33歳でデビュー。老獪なムエタイテクニックを武器に、REBELS-MUAYTHAIにおいて、2015年3月にフライ級、2016年10月にスーパーフライ級の王座を奪取。WPMF日本スーパーフライ級王座、J-NETWORKスーパーフライ級王座を含む日本四冠を達成している。

　現在の戦績は1つの引き分けを挟み5連敗中で、戦績は49戦20勝（11KO）25敗4分となっている。前戦は昨年5月に”平成最後の怪物”花岡竜にヒジで額を切られTKO負けとなった。その後”人生初の骨折”の手術や、新型コロナ感染を経て今回の50戦目、節目の引退試合となる。

　松﨑は阿部について「ガンガン来ると思う、噛み合いそう。倒しに来るんじゃないか」と喜ぶ。最後の試合では「燃え尽きるような、全部出すような試合がしたい」と打ち合いを望んでいるのだ。

　その阿部もまた「僕も熱くなると思うので、そこで松﨑選手の気迫に負けないように戦いたい」とコメントしており、望み通りの試合になる可能性は高い。

　松﨑は打たれ強く、ダウン経験はあるものの、ヒジで切られるTKO負け以外、KO負けはデビュー戦での一戦のみ。46歳にして倒れない秘訣は「意識のあるうちは倒れないと決めている。”痛い”では倒れない」と気持ちの強さにあるようだ。

　そんな”強メンタル”の松﨑だが、キックを始める前にはうつ病や引きこもりを経験している。しかしキックを続ける理由の一つに「自分に対する怒りがある。うまくしゃべれない自分、出来ない自分、要領が悪い自分」と自分を責める自分との戦いでもあると語っており、これが倒れない理由の一つなのかもしれない。

■メインの後輩・ぱんちゃん璃奈にも負けたくないもの

　今興行では同門の後輩・ぱんちゃん璃奈のタイトルマッチがメイン試合となる。ぱんちゃんがアマチュア時代からマススパーや組み練習等、共に練習してきた松﨑は「勝って、メインに引き継ぎたい。KOで勝利すれば、ぱんちゃんも乗ってくるんじゃないか」とKO勝利でバトンを渡したいとする。

　また”引き継ぎたい”という大上段ではないとしつつ、ぱんちゃんや同じく同門・老沼隆斗ら、そしてファンに「技術というより、気持ちの部分、諦めない所を感じてもらえれば」と戦うメンタル、生きざまを感じてもらえればとも語る。

　もっとも、後輩の勝利は願いつつも「一番目立ってやる。一番盛り上がる試合をしたい」と盛り上がりでは負けないを目指す。「皆の記憶に残れば。こんなおっさんでもこれだけ出来るということを色んな人に観てもらいたい」と、キックを通じて得たものを伝えたいと言う。

　理想の試合展開は「お客さんが盛り上がってほしい。ちょっとやられたり、攻撃を受けつつ、最後に逆転KO勝ちみたいなのが一番面白い」と笑いつつも「もちろん、やられる気はない。でも持ってる以上の力を出したい、死んでもいいくらいな気持ち」で臨むと言う。

　対する阿部は「松﨑選手に『まだやれるな』と思わせないように、圧倒的に勝ちたい」と圧勝で引導を渡すとしている。しかし松﨑は「恐怖を与えるくらいの打ち合いで勝利する」と最後にベテランの凄みを見せる覚悟だ。　

　果たして松﨑は引退試合で、メインのぱんちゃんや支えてくれたジムの仲間やファン、そして相手の阿部にも”諦めない気持ち”を刻みつけることが出来るか。

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