魔裟斗、世界も震撼したアラゾフの衝撃KO劇を動画で分析、なぜ王者に圧勝したのか、自分と戦うなら
魔裟斗が自身のYouTubeチャンネルで、今月14日にタイで行われた『ONE FIGHT NIGHT 6』のONEフェザー級キックボクシング世界タイトルマッチで王者・スーパーボン(タイ)と元K-1王者で挑戦者チンギス・アラゾフ(アゼルバイジャン/ベラルーシ)の世界最高峰の試合を分析。アラゾフがスーパーボンを倒したインパクト絶大のKOシーンが、なぜ生まれたのか、そのポイントの一つはまず腹筋横に盛り上がった腸腰筋が非常にはったつしていることを挙げた。
スーパーボンはブアカーオの弟子で、70kg最強の称号を持つジョルジオ・ペトロシアンに2R右ハイキックでKO、さらにGLORYライト級王者だったマラット・グレゴリアンを完封するなど最強と呼ばれていた。
対するアラゾフは17年6月に新生K-1の第2代-70kg王座決定トーナメントで城戸康裕を決勝で下して制覇。ONEでは21年10月に開幕したフェザー級キックボクシング世界グランプリの1回戦でサミー・サナ、準決勝でナタウットにいずれもKO勝利。決勝戦でシッティチャイに勝利し優勝した。
12連勝中のスーパーボンがタイトル防衛という声が多い中、2Rにアラゾフのスーパーマンパンチが入りグラつかせると、最後はケージにスーパーボンの後頭部を打ち付けるような右の強打を決めてのKOとなった。
なぜ、番狂わせが起こったか。まず魔裟斗は、アラゾフの計量時の肉体を見て腹筋の横についている腸腰筋が発達していることに注目した。「腸腰筋は下半身のパワーを上半身に伝達する役目がある。脚を上げる時に使う筋肉なので、変則的な蹴りを出せるんじゃないかな。開始すぐに、前蹴りからハイキックに変化する空手のような蹴りから入っていきましたね。あれで普通の選手ならば、倒されてもおかしくなかった」と魔裟斗はアラゾフの肉体から強さの秘密を見抜いていった。
さらに魔裟斗は、「アラゾフはパンチの連打が速いし、懐が深くパンチが伸びてくるし、そしてスイッチもする。まあ、対戦相手はやりにくいでしょう。スーパーボンはペトロシアンやグレゴリアンと対戦した時は、バンバン左ミドルを蹴っていったけど、アラゾフの圧力には対応できていないように見えた」と完全にアラゾフのペースで進んでいたという。
KOにつながった2Rの場面については、「ジャブとストレートのワンツー、ジャブとフックの2種類のワンツーを同じ軌道で打っていた。それでジャブストレートのワンツーが入り、ダウンを奪い、最後も右でKO。同じ軌道で来るから見えにくい」とアラゾフのパンチのテクニックが上だったことを指摘した。
新しい王者の誕生に「どんどん強い選手が出てくるね。ペトロシアンが出てきた時は誰が勝てるんだろうと思っていたけど、スーパーボンが左のハイキックをミドルと同じ軌道で放ってKOして。これで、しばらくスーパーボンの時代なのかなと思っていたら、アラゾフに完璧に倒されたからね。この倒され方をしたら、勝てる気しないと思う」と魔裟斗。
スタッフに、もしもアラゾフと試合を組まれたらと投げかけられると「悩むね。三日くらい寝れなくなるね(笑)。普通にロ―キックを蹴って、相手の変則の蹴りをもらわないようにするだけだね。変則の蹴りがあるのとないのを知っているだけで違うので」と前蹴りからハイキックに変化するアラゾフの変則技を警戒した。
そしてK-1の日本選手が、今のアラゾフとの試合について聞かれると「70kgのチャンピオンは和島大海選手。和島選手も強いけど、アラゾフはちょっとひとランク上の気がする。でも、和島選手はジョムトーンと3月に試合をするので、ここは勝ってほしいね」と期待を込めて語った。
アラゾフが再びK-1のリングに戻ってきた時、和島が迎え撃つことになれば面白いことになりそうだが、はたして実現するのだろうか。
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