11月9日-10日の2日間、武蔵野の森総合スポーツプラザで第12回全世界空手道選手権大会が開催される。4年に1度、体重無差別で争われるフルコンタクト空手最高峰の闘いを勝ち抜き、男女ひとりずつしか到達できない世界最強の座に就くのは誰なのか。
男子で優勝争いの中心となるのは、日本の大黒柱・島本雄二だろう。4年前の第11回全世界大会でチャンピオンに輝いた後も、第6回全世界ウエイト制大会重量級を制し、主要4大大会のグランドスラムを達成。日本代表第1次選抜戦となった第50回全日本大会も盤石の強さで優勝をはたし、大目標に掲げる全世界大会連覇へ向けて死角は見当たらない。
▪️世界王座奪取を狙う強豪海外勢に迎え撃つ日本選手たち
海外勢の大将格と言えるのが、ポーランドのマシエ・マズール。今年の全ヨーロッパ大会では台風のようなラッシュを見せて+95kgを制し、大会3連覇を達成。第11回全世界大会の準々決勝で敗れた島本にリベンジをはたし、悲願の世界チャンピオンとなれるか。
ヨーロッパ地区がマズールなら、ロシア地区のエースがナザール・ナシロフ。重量級とは思えぬスピードと切れ味鋭い足技で、ロシア国内では敵なしの強さを誇る。あと一歩に迫った世界タイトル奪取の可能性は十分だ。第11回全世界大会ではノーシードから7位入賞をはたし、あっと言わせたリトアニアのエドガー・セシンスキーは、KWU世界大会や全ヨーロッパ大会を制し、今大会は押しも押されもせぬ優勝候補の一角として臨む。
全世界ウエイト制3度制覇、全ヨーロッパ大会V19など、数々の金字塔を打ち立ててきたレジェンドのヴァレリー・ディミトロフ、第50回全日本大会のファイナリストで、変幻自在の足技を持つ山本和也、山本と同じく華麗な足技を得意とし、三回戦敗退に終わった第11回全世界大会の雪辱を誓う加藤大喜、第5回JFKO全日本大会で初の加藤超えをはたして軽重量級準優勝を飾った江口雄智も、上位4人に匹敵する実力を持っている。
さらに、第11回全世界大会4位で第6回全世界ウエイト制軽重量級チャンピオンの前田勝汰、182cm、125kgと日本人離れした体格を持ち、真っ向勝負で海外勢撃破を目論む落合光星、第5回JFKO全日本大会では落合を破って重量級を制した山口翔大、第10回・11回全世界大会でともにベスト4入りをはたすなど、大一番で無類の強さを発揮するルーカス・クビリウス、最近は不本意な成績が続いているが、実力は世界トップクラスにある第11回全世界大会ファイナリストの入来建武、18歳にして全ヨーロッパ大会+95kgで準優勝をはたしたリトアニアの超新星・パウリウス・ジマンタス、全世界ウエイト制大会軽重量級3位など、安定して上位に食い込むウラジミール・アルチュシン、第6回全世界ウエイト制大会中量級チャンピオンのサラハト・ハサノフなども、優勝圏内にいる。
▪️女子の見どころ
女子は、第50回全日本大会で他流派初のチャンピオンとなった、久保田道場の久保田千尋が本命だろう。第1回JFKO国際大会、第50回全日本、第5回JFKO全日本と3連続でビッグタイトルを獲得しており、その強さに一層磨きがかかっている。ストップ・ザ・久保田の1番手は、新極真ジャパンのエース・南原朱里。決勝戦でチェンゲ・ジェペシに敗れた4年前の第11回全世界大会の雪辱をはたし、日本に王座を取り戻せるか。
海外勢では全ロシア無差別級を制したイリーナ・ワリエワ、全ヨーロッパ大会では無敵の強さを誇るインガ・ミクスタイテの両ベテランが、高い壁となって日本勢に立ちはだかる。その他、第5回JFKO全日本軽重量級チャンピオンの浅古麗美、第5回JFKO中量級では南原を破って優勝をはたした加藤小也香、第4・5回JFKO全日本大会重量級準優勝の藤原桃萌、JFKO全日本大会軽量級5連覇の菊川結衣など、日本勢に有力選手が多い。
国籍、年齢、体格などあらゆる垣根を越え、武道の真髄と言える無差別級の世界最強を決する今大会。男子は過去11回すべてで日本人がチャンピオンとなっており、伝統が継承されるのか、海外勢が歴史を塗り替えるのかという観点でも注目が集まる。