2022/03/01（火）UP
（最終更新：2022/03/01 23:04）

高校レスリング米サウスカロライナ州大会で女子高生が男子に勝ち優勝の快挙（NEX GEN MEDIA LLC　Facebookより）

　2月26日（土・現地時間）米サウスカロライナ州で行われた、高校レスリングの州選手権で、初の女性チャンピオンが誕生した。
　サウスカロライナ州の高校レスリングのリーグに、女子レスリングリーグは存在せず、女子が試合に出たければ、男子と一緒のリーグに出るしかないのだ。
　にもかかわらず、ウッドラフ高校に在籍する”女子高生”ジューン・ウェルチ（16）は、106ポンド(約48kg)のリーグに出場し、男子を破り史上初の州王者に輝いた。

【動画】女子高生レスラーが、男子に見事なフォールを決め優勝！

　決勝戦、ウェルチの相手は、一週間前の予選決勝で敗れた相手だった。ウェルチは彼に、ピン（2秒間、相手の両肩もしくは両肩甲骨をマットに押し付ける）を取られ敗北している。

　予選リーグの準優勝者として臨んだ州選手権の決勝は、またもその相手だった。ウェルチは残り7秒、逆に相手からピンを奪い、11-3で見事優勝を達成した。
　決勝戦の勝利者として、審判がウェルチの腕を挙げた時、観客席からはスタンディングオーベーションが巻き起こった。

　サウスカロライナはアメリカ南部の州で、保守的な場所として知られている。
　”女の子は男の子と格闘すべきではない”という声も根強い中、ウェルチは試合後のインタビューで「でも私たちは出来る」と答えた。「それは明らかなことで、私がそうだったから。ここに来たときから、全部勝ちたいと思っていた。準決勝で勝って、もっと勝ちたいと思うようになったんだ」と勝利したい気持ちは誰しも変わらないと言う。

　先週負けた相手に勝ったことについては「反省して、相手を疲れさせることでピンを取り勝てた」と相手のスタミナ切れを狙って勝利したと語った。

■ウェルチの偉業で、州の女子レスリングリーグが出来るか

　もともと柔術を習っていたウェルチは、小学5年生の時にレスリングを始めた。今回優勝した彼女の目標は、州代表として全米大会で優勝することだ。

　ウッドラフ高校のレスリング監督は、彼女の優勝には驚かなかったと語る。監督は「多くの人は女の子が男と格闘していると見ている。しかし、ジューンは”レスラー”なのです。彼女は他の選手と同じようにこのスポーツに取り組み『もっとうまくなりたい』と練習に打ち込んでいます」と男女以前に”ベストなレスラー”だと語る。

　監督はさらに今回のウェルチの偉業が、サウスカロライナ州の女子レスリング公認スポーツ化の一歩になることを願っている。
　今回の州大会には他に3人ほどウェルチの他に女子レスラーが参加していた。監督は「出場していた全ての女の子は、良いレスラーです。彼女らはただ一生懸命、うまくなりたいだけです」とレスリング上達の気持ちに男女の区別はないと語った。

　アメリカでは大学とは違い、高校レスリングでは、女子レスリングの試合を行う州は少なく、2017年度では6つの州でしか試合が行われていないという。
　今回の優勝をきっかけに、または今後のウェルチや他女子レスラーの活躍で、サウスカロライナ州でも女子レスリングのリーグ創設が検討されるかもしれない。

▶次ページ：【動画】女子高生レスラーが、男子に見事なフォールを決め優勝！