2019/06/08（土）UP
（最終更新：2019/06/08 07:06）

「スックワンギントーン」
6月5日（水）タイ・ラジャダムナンスタジアム

セミファイナル（第6試合）118ポンド契約
×カイト・ウォーワンチャイ（21=福田海斗/キング・ムエ/ラジャダムナンスタジアムスーパーフライ級4位/元タイ国プロムエタイ協会フライ級王者/「True4U」115ポンド王者）
5R 判定
○ガーオモンコン・ペッティンディーアカデミー（タイ）

福田のテンカオ（首を掴まないヒザ蹴り）の連打で相手のあばら骨が８箇所折れた

　タイを主戦場に活躍する日本人パイオニア選手・福田海斗が5日（水）のラジャダムナンスタジアム興行「スックワンギントーン」セミファイナルに登場。名門ペッティンディーアカデミーの若手強豪ガーオモンコンと対戦、惜しくも判定負けを喫した。

　前回（4/27）のラジャダムナンスタジアムではオムノーイスタジアムの強豪ンガータオを逆転KOし、ラジャダムナンの115ポンド（スーパーフライ級）4位まで上げ、スーパーフライ級では過去最高位となった（フライ級ではルンピニー1位が最高位）。今回は118ポンド（バンタム級）契約での試合となり、勝てば今度はバンタム級でのランキング入りが濃厚となる試合だった。

　対戦相手のガーオモンコンはムエタイの名門ジムであるペッティンディームエタイアカデミー生え抜きで、早くから将来を嘱望されている選手。ここ2試合は判定で敗れているが前評判はガーオモンコンの方が高く、試合前賭け率も5―4と僅かながらガーオモンコンがリードしていた。

福田のパンチとガーオモンコンの蹴りが交差する

　試合序盤は福田が2連続KO勝ちを収めているその勢いのまま、ガーオモンコンへ右ストレート、右ローをクリーンヒットさせる。第1ラウンドで早くも福田のヒジもヒット、ガーオモンコンは右目上をカットし流血。福田のパンチ・ヒジを警戒しがっちりガードを固めているが、パンチの勢いに押され下がったところへ、ローがクリーンヒット。途中からは左奥足ローも混ぜてクリーンヒット数を増やし、序盤で既にガーオモンコンの足は真っ赤に。第2ラウンド終了時で2―1と福田が賭け率を逆転し福田の圧勝ムードが広がった。

　しかし第3ラウンド、ここからガーオモンコンが怒涛の追い上げを見せる。離れては不利とすぐに前進し首相撲勝負へ。本来なら福田も接近戦を得意とし首相撲勝負は望むところだが、組んでも福田のヒザが出ず逆にガーオモンコンはタイミングよく見栄えの良いヒザを当てていく。試合後のコメントで「ちょっと息が上がってしまった」と本人が語っていたように、福田は踏ん張りが利かずガーオモンコンにコントロールされてしまう。ガーオモンコンは一気に息を吹き返し、深く組んで横から大きくヒザを当てコカし技。福田は時折左縦ヒジのカウンターを当てるもののガーオモンコンの前進は止まらず、第3ラウンド終了時で7―4とガオモンコンがひっくり返した。

　勝負所となる第4ラウンド、相変わらず首相撲勝負を仕掛けるガーオモンコンに対し、福田はカウンターで右テンカオをクリーンヒットさせる。これで動きが止まったところへ2発、3発と右テンカオ狙い。福田のヒザが当たる度にギャンブラーからは大声援が送られ場内の盛り上がりは最高潮へ。首相撲の展開ではややガーオモンコンがリードしていたか、第4ラウンド終了時で2―1とガオモンコンのリードは変わらないものの差が縮まり、最終ラウンドで充分逆転可能な展開へ。

　そして最終ラウンド、ガーオモンコンは僅かなリードを守ろうとガードを固めて距離を取る。福田はパンチ、ヒザと攻め立てコカし技も決まったが、深く組まれ動きが寸断されはっきりとした差をつけることができず、差は僅かながら判定負けを喫してしまった。

「体重調整がうまくいかず、3ラウンド目に力が入らなくなった」と試合を振り返った福田。それでも4ラウンドからの追い上げで見せたヒザはギャンブラーからも関係者からも高評価で、アナウンサーは「カイトほどムエタイの技を使いこなす日本人はいないだろう」と褒め称えた。

ガーオモンコンは病院に直行し入院となった

　一方、ガーオモンコンは試合後医務室へ直行、ヒジで切られた右眉付近を18針縫合しそのまま市内の病院へ。4ラウンド目にうけた福田のヒザで左脇のアバラを8箇所骨折、しかも肺も傷ついており肺から空気が漏れているとのことで即入院となったようだ。

　判定で敗れたものの、「サムライアンタラーイ」（タイ語で“危険なサムライ”）と称される福田の評価は決して下がっておらず、プロモーターであるウィナイ・ナックシン氏は「次回の興行ではメインでも良いだろう。」と期待を寄せた。
福田の次戦はまだ発表されていないが、さらにハイレベルの戦いが求められそうだ。日本人パイオニア選手としてぜひその活躍を見せつけてほしいものだ。
（写真/レポート＝MuayThai Super Fight）

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