青木真也が鳴らす日本格闘技界への警鐘と独自の生き方論=1月度ベストファイターインタビュー
毎月イーファイトが取材した大会の中から決める格闘技月間ベストファイター賞。2018年1月のベストファイターは、1月20日(水・現地時間)インドネシアのジャカルタで前ONEフェザー級王者マラット・ガフロフに一本勝ちした青木真也に決定!(2018年2月26日UP)
PROFILE
青木真也(あおき・しんや) |
選考理由
1、「前ONEフェザー級王者に一本勝ち」
2、「アジア最大規模を誇る団体で存在感示す」
3、「ベテラン健在でまだまだ活躍が期待される」
選考委員
格闘技雑誌Fight&Lifeとイーファイトの全スタッフ
受賞された青木選手には、ゴールドジムより以下の賞品(プロカルシウム 300粒 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アルティメットリカバリー ブラックマカ&テストフェン+α 240粒 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。
贈呈:ゴールドジムベストファイター記念インタビュー
「ずっと自分が追及してきたケージの中でのグラップル(組み技)を見せられた」
■今回は僕が普段から追及していることをやろう・好きなことをやろうと思った
2018年1月の月間MVPに選ばれたのは、1月20日(水・現地時間)インドネシアで開催された「ONE:KINGS OF COURAGE」のグラップリングスーパーマッチで同団体の元フェザー級王者に一本勝ちした青木真也だ。
昨年5月にも同団体でグラップリングマッチ(打撃無しの組み技限定ルール)に出場したが、その時は強豪ゲイリー・トノンにヒールホールドで一本負けしていた。
今回の対戦相手となるマラット・ガフロフはMMAルールで15勝1敗の戦績を誇り、このうち11試合が一本勝ち。昨年8月に迎えた3度目のONEフェザー級王座防衛戦で敗れ、これがプロ16戦目にして初黒星となった。
試合はMMAファイターらしくケージ(金網)際でどちらがテイクダウンしてトップポジションを奪うかのスリリングな展開が続いた末、バックをとられかけた青木が最終的にトップポジションを奪取。うつぶせになって立ち上がろうとしたガフロフの後ろに回り込んでチョークスリーパーを極めて、タップ(ギブアップの意思表示)を奪った。
青木自身、この一戦を「自分が追及してきたケージの中でのグラップル(組み技)を見せられた」と振り返る。これを青木は“自己満足”と表現しているが、きっとそれは総合格闘家として総合格闘技に必要な組み技の技術を使ってグラップリングマッチで勝ったからに違いない。
「今回の試合はケージグラップリングとして非常に質の高いものを見せられたと思います。僕自身は控え室に戻ってきて色んなチェックを終えた時、ずっと自分が追及してきたケージの中でのグラップルや組み技を見せられたと思ったし、それでこうやってお金ももらえるということは幸せなことだと思いました。
ある意味、自己満足? そうですよ。完全に自己満足。でもそんな試合なのに、チャトリ(EVOLVE MMAの代表)だったり(海外の)自分の周りの人たちは『グレイトファイトだった』と声をかけてくれる。ああやって賛辞の声があることは幸せですよ」
青木がガフロフ戦で感じている充実感は決して一本勝ち出来たからではない。むしろ「あのままフィニッシュできずに判定になっていたとしても、僕は充実感・満足感があった」とさえ言う。ではこの試合のどこに青木は満足しているのか? それはお互いにMMAを知っているもの同士の試合だったからだ。
「もしフィニッシュしてなくても僕は充実感・満足感はありましたよ。(なぜそこまで満足できた?)ちゃんとMMAを知っている者同士がケージでグラップルできたことが大きいと思います。共通認識として下にならずに上をとる=トップゲームをするというところもあるし、逆にもし相手が柔術家だったらいきなり引き込んで下になっちゃうこともありますからね。今回は僕が普段から追及していることをやろう・好きなことをやろうと思った結果、必然的にああいう展開になったってことですよ」
■日本人が外国人に勝つのは、どんどん厳しくなる
青木は2011年からシンガポールのEVOLVE MMAに所属し、翌2012年からはONEを主戦場に戦ってきた。ファイターとして海外に活動の拠点を置く青木はガフロフをはじめとするロシア勢の台頭に注目している。
「見てもらっても分かる通り、ガフロフは普通に強い選手だった。今のロシア人は強いですよ。特にやばいのがタゲスタン共和国。古くはヴォルク・ハンに始まり、アリ・バガウティノフ(元UFCフライ級ファイターで2014年にタイトルマッチも経験)、ハビブ・ヌルマゴメドフ(UFC世界ライト級2位)、ユサップ・サーデュラエフ(ONEに参戦)…格闘技が盛んな国で人材の宝庫なんですよね。
しかも今タゲスタン共和国にはイーグルMMAというジムがあって、ガフロフやヌルマゴが練習している場所なんですけど、ボクシングも出来て柔術もできて…かなり練習環境がいいらしいんですよね。もともと格闘技の人材が多い国でありながら、それだけ整った練習環境があるわけだから、そりゃあ強くなりますよね」
さらに青木はMMAが世界規模で技術的・興行的にレベルアップしていることを指摘し「もう日本の選手に先行者利益や経験値のアドバンテージはない。日本人と海外の選手がよーいドン!でMMAを始めたら差がつく」と警鐘を鳴らす。
「もともとMMAはほぼブラジルしかなかったところから始まって、ブラジル最強の時代が続いてところにアメリカが入ってきて、ヨーロッパ、今ではアジア諸国にまで広がりました。しかも練習環境、プロモーション(団体)の規模にしても日本以外の国の方が優れている。これからどんどん(日本人が勝つのが)厳しくなっていきますよ。
今まで日本のファイターは先行者利益やずっとやっている経験値のアドバンテージでごまかせたかもしれないけど、これからの選手たちにはそれがないですから。日本人と海外の選手がよーいドン!でMMAを始めたら差がつく一方ですよね。特に僕らより下の世代・若い選手が海外の強豪に勝つのは難しいと思います」
▶︎次ページは「過去じゃなくて未来にもっとすごい興奮や幸せがある」青木
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