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【コラム】世界最大のムエタイの祭典-タイ取材記

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2014年3月17日 ブアカーオvsウェイチャオのノーカット試合動画
タイ・アユタヤ県ランカーカオ寺院で行われた「スッグ・マハーサジャン ムエタイ モロドックローク ~Miracle Muay Thai~」での試合動画

■タイ・アユタヤの『ムエタイの日』

▲アユタヤ歴史公園にある“ムエタイの始祖”ナイ・カノムトム像

 3月17日はタイ・アユタヤ県により『ムエタイの日』と制定されており、毎年、世界最大のムエタイの祭典「ワールド・ワイクルー・ムエタイ・セレモニー」が開催されている。今年2014年のこの日、イーファイトではタイに赴き、この世界最大の祭典の取材を敢行した。

 さて、なぜその日が『ムエタイの日』となったのかをまず説明したい。 

 1767年、ビルマ(現ミャンマー)軍の侵攻によりタイは敗戦し、その後、ビルマ軍はアユタヤに進入した。1774年3月17日、ビルマ軍の捕虜となっていたナイ・カノムトムがシャム拳法(古代中国拳法がシャム王国(=タイ)に伝わった拳法)の使い手だということを知ったビルマ王は 「ビルマ軍兵士10人と戦い、全員に勝てたら自由の身にしてやろう」 と約束。そしてナイ・カノムトムがビルマ王の前でこのビルマ兵士10人に勝利し自由の身となる。このナイ・カノムトムが“ムエタイの始祖”となり、彼を讃え、3月17日はムエタイの日となった。

▲ムエタイの試合前に披露されているワイクルー

 このアユタヤでの一戦で使われた技がムエタイの起源といわれ、生死を賭けた戦いの前にナイ・ カノムトムが作戦を練る時間稼ぎと踊りながら地形をチェックするために「ワイクルー(師に礼を示す意味)」を披露したことから、ムエタイの試合前にはワイクルーを舞うことが習慣化することとなる。

■ワールド・ワイクルー・ムエタイ・セレモニーとは!?

▲セレモニーには52カ国から1,188人のムエタイ戦士が集結

 このイベントは、ナイ・カノムトム像が祭られているアユタヤ歴史公園で行われ、ムエタイ戦士が集まり、感謝の意を込めてナイ・カノムトムに合掌するというもの。今年は10回目の開催となり、この会場には何と例年以上の52カ国から1,188人の参加者が集結。

▲元M-1女子ミニフライ級王者・岡田敦子(左から2番目)も参加

 日本からは、元M-1女子ミニフライ級王者・岡田敦子、J-GIRLSアトム級5位・松下えみ、JTクラブジム・土屋ジョー会長らが参加。その他、外国からは小学生の女の子や目が見えないイギリス人男性のムエタイ戦士と、老若男女を問わず幅広い年齢層の参加となった。

 イベントでは、K-1MAX & S-cupの2大世界トーナメントを制したブアカーオ・バンチャメークが壇上に立ち、参加者全員と一緒に合同ワイクルーを披露。ワイクルーといえば、日本ではムエタイの試合前に選手たちがリング上で行うのが普通だが、1000人以上のムエタイ戦士たちが会場で一同にブアカーオと息を合わせて踊るその光景は圧巻だった。試合でもブアカーオは大活躍、2R左ハイキックでKOし、会場を大いに沸かせた。

▲アユタヤ遺跡をバックに行われたセレモニーの“アメージング・タイランドショー”

 夕暮れになると、アユタヤ遺跡の中でも有名なマハタート寺院前に場所を移し豪華タイ料理を食べながら“アメージング・タイランドショー”と題されたセレモニーを鑑賞。アユタヤの遺跡に煌びやかな光線が放たれる中、100人近くの武装した格好のムエタイ戦士と巨大象が登場し1767年にアユタヤで行われたビルマ軍との戦争の模様を再現、それは幻想的かつ迫力十分で一見の価値ありだ。

■タイ格闘技界のレジェンドの姿も!

▲アマチュアムエタイの試合

 古式ムエタイ(形や舞踊が中心のムエタイ)のデモンストレーションやチビッコたちによる合同ワイクルーなど様々なイベントが行われた中で最も注目されたのは、タイ人を中心に全8試合が組まれた『ミラクル・ムエタイ・フェスティバル』にブアカーオ・バンチャメークが特別試合に出場したこと。その大会セレモニーのリング上には、アユタヤの政府やプロムエタイ協会の役員のほか、ムエタイ界のレジェンドたちの姿も。

▲セレモニーに参加したタイ格闘技界のレジェンドたち(左から)カオサイ・ギャラクシー、一人おいて、サーマート・パヤクァルン、ディーゼルノイ・チョータナスカン

 ボクシングWBA世界スーパーフライ級王座を19度防衛したタイの国民的英雄であるカオサイ・ギャラクシーや、ムエタイ4階級を制覇した天才サーマート・パヤクァルン、そして“天を突くヒザ蹴り”ディーゼルノイ・チョータナスカンが一堂に揃って並んでおり、会場がざわつく。

 さらにリングサイドを見ると、“地獄の風車”ラモン・デッカーと激闘を繰り広げたことでも有名な“殺しのキス ”センティアンノーイの姿もあった。往年のファイターの姿を見て興奮していると、首飾りをたくさん付けたイカツイおじさんが私の方に近づきながら「こんにちは!? 日本人ですか?」と言いながら名刺を渡し、颯爽と会場を出て行った。

▲格闘ゲーム「ストリートファイター」のキャラクター、サガットのモデルとなった、元ルンピニーライト級王者サガット・ペッティンディー

 一体何だったのだろう?と思い名刺を見てみると、先ほどのおじさんは格闘ゲーム「ストリートファイター」のキャラクター、サガットのモデルとなった、1970年代後半から1980年代に活躍した元ルンピニーライト級王者サガット・ペッティンディーだった。ストリートファイターでサガットの使い手だった私としてはこれは感動もの!!

 何が起こるかわからない、これぞミラクル・ムエタイ! ムエタイ好きの方も興味のある方も3月17日は是非アユタヤへ。

■ムエタイだけじゃない、アユタヤの魅力

▲1357年に建てられた寺院ワット・ヤイチャイモンコンの仏塔は高さ72m

 世界遺産に指定されたアユタヤは、417年間に渡りアユタヤ王国が築いた歴史が詰まっており、広大な敷地に残る王宮の遺跡や寺院、仏像、壁画がたくさん見られるタイを代表する観光地。遺跡のいくつかは日没後にライトアップされ、夜の美しさも格別。首都バンコクからは電車、またはバスを利用し約1時間半で簡単に行けることから日帰りツアーで行く観光客も多い。ちなみにアユタヤからバンコクへの電車の最終時刻は21時40分(バスは本数が少ないために17:30)。

▲アユタヤ名物の巨大手長エビ

 グルメでは、数多いタイ料理の中でもアユタヤでしか食べられない体長20cm(手の長さは含めず)ほどの手長エビがオススメ。日本の手長エビの倍以上はある大型種で、エビの胴にはぎっしりと身が詰まっており、ぷりっぷりの食感がもう病みつきになるぐらい美味しい。「アユタヤに来て良かった~」と感じさせる一品だ。

※ブアカーオ・バンチャメークの試合動画はこちら 

協力:タイ政府観光庁
≫タイ国政府観光庁公式サイト 

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