■長南がマニアック目線で注目している試合は?
ーー久しぶりの日本での試合となるヴァンダレイ・シウバ(ブラジル)と、ブライアン・スタン(アメリカ)の一戦はどうでしょう?
「ヴァンダレイはパンチで行くでしょうね。ブライアンがその圧力にどう対抗するかがポイントです。ヴァンダレイはパンチでラッシュしてきますから、ブライアンはそこでカウンターを狙うのか、もしくは別の方法でテイクダウンを狙いに行くのか。ブライアンはどちらかと言えばトータルファイター、ヴァンダレイは打撃に比重がかかっていますからね」
ーーヴァンダレイもPRIDE時代から戦い方は変わっていませんか?
「細かいところは上手くなっていますが、勢いはPRIDE時代の方があったと思います。今はベテランの域に達していますし、寝かされても立ち上がる技術が上がっているので以前と全く同じではありませんが、スタイル的には一緒です。PRIDE時代は若かったので勢いもありましたが、今はそこが衰えた分、細かい技術も出来るようになってきたと思います」
ーーヴァンダレイは2006年7月1日の藤田和之戦以来となる、さいたまスーパーアリーナでの勝利の雄叫びをあげることは出来るでしょうか?
「僕はヴァンダレイがいけると予想しています。でも、ブライアンはそれをひっくり返せるだけのものを持っていますし、そういうことが起こりえるのがUFCです」
ーー他に注目しているカードはありますか?
「個人的に最も注目しているのはシヤー・バハドゥルザダ(アフガニスタン)vsキム・ドンヒョン(韓国)戦なんです。かつてDEEPではストライカーとして猛威を振るったドンヒョンですが、テイクダウン、ポジションキープなどグラップリングの成長が凄いと思うんですよ。
シヤーはウェルター級に階級を落としてからは抜群の破壊力がどんどん増していってKO率が高くなっています。だからドンヒョンのグラップリングか、シアーのパンチかというスリリングなカードになりました。ウェルター級はスピードとパワーのバランスがちょうどいいので、面白い試合になると思います」
ーードンヒョンはグラップリングの選手に変わったんですか?
「打撃ではやり合わないようになりました。グラップリングと言っても関節技を取りに行くよりは、トップポジション(上になる)を取ってのパウンド、ポジションキープしてバックを奪うとか、あとはテイクダウンを取りに行くとか」
ーーそれこそアジアからUFCのトップを取れるくらいの存在になれますか?
「トップクラスには食い込むと思います。シアーもそれくらいの実力がありますね。実は、両選手から試合前に僕のジムで練習をしたいとの打診がありました(笑)。どちらも好きな選手なので困っています」
ーーどういう試合になりそうですか?
「シアーが打撃で倒すか、ドンヒョンがグラップリングでいいポジションをキープし続けられるかでしょうね。もちろん、ドンヒョンもパウンドで仕留められるチャンスがあればKOを狙うと思います」
ーー長南選手から、試合を見るファンにUFCで見るべきポイントを指南してください。
「日本の大会もレベルアップしていますが、UFCは試合にレフェリーがあまり介入しないところが好きです。ノンストップで試合が進むんですよね。ファイター同士で作るアクションだけの、ノンストップ・アクションです。
あとは抑え込み方。みんな立ち上がるのが上手いので、そこで寝技で抑え込むのは相当な技術が必要なんですよ。だから見る人には判定勝ちの価値の高さを分かって欲しいですね。判定が多いとダメだと日本では言われてきたじゃないですか。でも、UFCでは判定で十分なんです。しっかり抑え込んだりとか、相手の動きを封じながら自分の攻撃をしたりだとか。それが出来る選手が技もあるし、安定感がある選手ですからね」
ーータックルなどでテイクダウンしても、相手が片手を着いてそこから立ち上がったり、ケージを背中で伝うようにして立ち上がったりします。
「テイクダウンを仕掛けた方がいかに相手を抑え込むか、逃げる方はいかにして立ち上がるか。そこに両方がケージを使って自分の有利に進めようということが加わります。みんなタックルに対する反応が凄くいいので、簡単には倒れません。そこがスピード感があってスリリングで面白いです。倒されてもすぐにガードワークになってグラップリングが始まるのではなく、そこで打撃を狙う選手もいるので。それと出血が多少あっても止めないですから、タフな試合内容になります。選手が休む間もなく戦い続けなければならない、そこに注目して試合を見て欲しいですね」
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