自らもUFCに参戦経験があり、近年は理論派のMMA(総合格闘技)指導者として評価が高い長南が、3月3日(日)さいたまスーパーアリーナで開催されるUFCの日本大会『UFC JAPAN 2013』の見どころを解説。今大会に出場する日本人ファイター6名の運命は……?(取材日:2013年2月1日))
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■五味のパンチか、ディエゴの総合力か
ーー今回はUFCに参戦経験のある長南選手に「UFC JAPAN 2013」の見どころをお聞きしたいと思います。今大会には日本人選手6名が出場しますが、最も注目している試合はどれですか?
「岡見勇信(和術慧舟會総本部)vsへクター・ロンバード(キューバ)戦は分かりやすいでしょうね。岡見選手の安定感とへクターのアグレッシブさが対照的でかみ合うと思います。岡見選手はリーチが長いのでヘクターが懐に入り込めるのか、逆に岡見選手がヘクターのような岩のように硬いヤツをどうやって自分のスタイルに持っていって料理するか」
ーー岡見選手が勝つためにはどうすればいいと思われますか?
「今までUFCで見せてきたスタイルでいけると思います。テイクダウンを取るなり、長いリーチからの打撃で相手を入らせずに(スタミナや精神力を)削っていくなりして、試合を進めていけばいいでしょうね。スタミナでは絶対に岡見選手の方が上ですから」
ーー逆にヘクターが勝つとしたら?
「突進して中に入り込むことですね。そこでパンチを当てる。一撃で倒すほどのパンチ力はないと思うので、一発当たればそこから連打で畳み込んでくるタイプです。だから間合いの駆け引きやテイクダウンの攻防が見どころになってきますね。ヘクターも元々柔道をやっていたので腰は重いですから、簡単にはテイクダウンさせないでしょう」
ーー岡見選手が相手を入らせずに戦って、相手の体力が消耗したところでテイクダウンを奪うのが理想的ということですね。
「そうですね。次にオススメしたいのは、五味隆典(ラスカルジム)vsディエゴ・サンチェス(アメリカ)戦。五味選手のパンチか、ディエゴの総合力かという試合になるでしょう」
ーー総合力とは?
「ディエゴも打撃が出来ないわけではないし、スタミナがあってフィジカルも強い、UFCでのキャリアも長く、寝技は柔術仕込み。だから引き出しの多さから言えば完全にディエゴ有利なんです。五味選手の場合はPRIDEの頃からスタイルが全く変わっていないので、それでどう戦うのかが見どころです」
ーー五味選手のマカオ大会での試合はご覧になりましたか?
「見ました。最後は根性で勝ちをつかみに行きましたが、今回の相手はディエゴとなると前回の相手よりもワンランク上の選手です。ただ、今回はホームタウンの日本での試合なので若干試合がやりやすくなる部分があり、その要素も含めて考えるとディエゴ有利ではありますが、五味選手にも可能性はあると思います」
ーーディエゴが五味選手と打ち合ってくれる可能性は?
「打ち合いと言うより打撃で突進してくるタイプですからね。五味選手にはディエゴにはないパンチ力がありますが、スタミナもディエゴの方があります。
今のUFCにはいろんなレベルの大会がありますが、メインカードに食い込むような選手には一発で簡単に倒れるような選手は少ないです。ヘビー級でも5Rフルに打ち合いを続けるので、スタイルもレベルも全く昔とは違います。PRIDEを見ていたファンは、PRIDEとの違いを見るのもひとつの楽しみ方だと思いますよ」
ーーそれでも五味選手のパンチ力ならば、その不利な状況をひっくり返せるということはないですか?
「実際、タイソン・グリフィンを倒していますからね。前回の試合でもギリギリのところでパンチで巻き返しました。判定は正直なところ微妙(2-1のスプリットデシジョン)ではありましたが、五味選手のアグレッシブさや前に出たところが評価されたと思うので、可能性はあるでしょう。ただ、トータルで見ると寝技も出来るディエゴの方が有利なことは否めません」
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