7月31日(土)東京・後楽園ホールで開催さ れたKGS『RISE 68』にて圧倒的不利の予想を覆し、2008年K-1 WORLD MAX世界トーナメント準優勝アルトゥール・キシェンコにKO勝ちした日菜太。あの魔裟斗からダウンを奪い、佐藤嘉洋からも勝利を収めているキシェンコを マットに沈めたのは、DREAMで活躍する菊野克紀の必殺技・三日月蹴りだった。大金星を収めた日菜太にさっそく喜びの声を聞いてみた。(2010年8月12日UP)
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■試合前の脈拍が最高記録を更新するくらい高かった
ーーキシェンコ戦での見事なKO勝ち、おめでとうございます! 大方の予想を覆しての勝利、どんな気持ちですか?
「まだ実感がありません。本当に勝ったのかな……という感じですね。試合前もポスターが届くまでは本当にあるのかなって思っていました。ポスターを見て“本当にやるんだ”って初めて実感がわいたくらいでしたね」
ーー試合前、「これは僕にとって世界タイトルマッチ」「23歳最強決定戦」と言っていましたね。
「初めてK-1 WORLD MAXを大学1年か2年生で見に行った時、キシェンコが僕と同い年なのに出ていたんです。その時、彼は19歳でMAXの東ヨーロッパ地区予選で優勝して日 本に来たんですが、自分と同い年でこんなにキャリアがあってMAXに出ているヤツがいるんだ、スゲェなって思って見ていました。いつか肩を並べて、闘いた いと思っていたんですが、こんなに早くチャンスが来るとは思っていなかったですね」
ーー正直なところ、怖さはありませんでしたか?
「怖さはありましたけれど、どの選手とやっても怖さはあると思います。僕は もう27戦やっていますが、誰とやる時でも怖かったし、格下と言われるような相手とやったのは1月のオ・デュソクくらいじゃないですか。今までずっと格上 とか僕より強いとか言われている選手とばかりやってきたので、いつも通りだなって思っていました。
ただ、直前までどうやって闘おう、どうしようとは思っていましたね。でも 入場式の時に、200人くらい来てくれた応援団が“日菜太!”ってみんな声を出してくれて、その時に“今日はやってやる!”と思って怖い気持ちからやって やるという気持ちに変わり、そこから怖くはなくなりました。
試合前のドクターチェックで脈拍を測るといつも高いんですけれど、今回は 最高記録を更新するくらい高くて。ドクターに『いつも以上に緊張していると思うけれど頑張ってね』と言われました(笑)。いつも170後半~180くらい あって、それは身体が熱をもってこれから闘うんだという状態になっているからだと思うんですが、キシェンコ戦の前は200くらいいっていましたね。ドク ターも心配していました」
ーー今回の試合では代名詞の左ミドルキックだけでなく、ローやハイキック、バックキックなど蹴りの種類が多彩でした。
「こだわりすぎないで散らして蹴っていきたいと思っていました。去年1年間を通じて、腕を蹴り折ってKO勝ちしたいと思っていたんですが、もっとローキックやお腹を蹴るミドル、ハイキックを使っていこうと。
去年1年間、腕を蹴りすぎてみんな僕が腕を蹴ると思っていたでしょうからね。本当は左ミドル一本で行きたい気持ちもあるんですが、それだとトーナメントで闘うには厳しいんだなって悟ったんです。
3月の日本トーナメントでは1回戦で山本優弥選手とやって、めちゃくちゃ 消耗しました。潰し合いをやっちゃって。しかも、あの時はインターバルが凄く短かったじゃないですか。僕の前の自演乙選手と龍二選手の試合が1分くらいで 終わってしまったし。グローブを替えたばかりなのにすぐ試合だったんですよ」
ーーその山本優弥戦でも今回のキシェンコ戦でも、今までより多くパンチを出していましたね?
「左ストレートはけっこう当たるんです。僕の武器は蹴りなので、蹴りがあるからパンチがより活きると思いますね。僕の本当の利き腕は左ではないんですが、だんだんと左のパンチで倒せる感じも身に付いているので、これから倒せる武器になってくると思っています。
ボクシングは月・水・金にワタナベジムに通わせていただいて、毎回いろん なタイプの選手とスパーリングをやらせていただきました。ボクシングだけでも上手くなってきて、それなりに同じ階級のランカーとも闘ったり、4Rなら全然 打ち合えるようになったので、いい成長をしているんじゃないかな、と」
ーーただ、まだ手と足の攻撃がつながっていない印象も受けました。
「そこは自分次第、これからの課題です。練習を別々にやっていますから、もうちょっとつなげていけたらいいですよね。僕、蹴りのスパーリングはなかなか相手がいなくて出来なくて、ほとんどパンチのスパーばっかりやっていたんで す。今回の試合前に半年ぶりくらいに蹴りのスパーをやって、蹴りを見せておいてのパンチで倒すことが出来たので、強くなっているという成長の実感はありま す」
ーーそれと、日本トーナメントの時は軸が定まっていない感じがしたんですが……。
「避けるようになったからですかね? そこも自分次第です。これからもっと良くなるための成長段階というか。MAXの舞台って、どんどん蹴りの選手が闘いづらい舞台になっているじゃないですか。
元々そういうタイプではないですけれど、完全に首相撲も禁止、つかんでの攻撃1回も出来なくなって。コーナーに詰められた時に相手の首をつかめないので、 なおさらパンチの技術が重要になってきているんじゃないかなと思います。
打ち合える人、さらにパンチの選手が有利になってきていますよね。そこであえて僕は蹴りで勝負したいなって。僕は近い距離でも蹴ることが出来るのが一番の強みだと思っているし、パンチの距離で蹴ることが出来るから、みんな僕には苦戦するんだろうなと思います」
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