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 7月20日 (土)東京・後楽園ホールで開催される『RISE 94』にて、初代IT’S SHOWTIME-61kg級世界王者セルジオ・ヴィールセン(オランダ)と再戦する山本。ヴィールセンとは2年前にギリシャで対戦し、1Rにダウンを奪われ、3RにTKO負けという惨敗を喫した。その一戦で意識革命が起こったという山本は、2年間の集大成としてリベンジマッチに挑む。(取材日:2013年7月8日)

PROFILE
山本真弘(やまもと・まさひろ)
1983年5月14日、長崎県出身
身長167cm、体重62kg
藤原ジム所属
※詳細は選手名鑑へ→

■第1章 今までの試合の中でも一番集中して、気を引き締めている

ーーいよいよセルジオ・ヴィールセンとの再戦の時が来ました。

「本当に、いよいよ来たな、という感じです。いつも以上に気持ちが入っています。1度負けている相手ですし、あの頃の自分がこの2年間でどう変わったのかが次の試合で分かると思うので、凄く気持ちがノッていますね」

ーー山本選手はヴィールセンに敗れたことが、自分が変わるきっかけになったと言っていましたね。

「はい。あの試合からです。いろいろ自分で考えたり、試してみたり、フィジカルトレーニングを取り入れたりして。自分が大きく変わるきっかけとなった試合でした」

ーーしかし、その後のヴィールセンは小宮山工介選手、大和哲也選手に敗れています。それでもヴィールセンは戦いたい相手なのですか?

「周りの人たちはそう言いますね。もう落ち目だとか、自分はずっと勝っているんだから(ヴィールセン後は8戦無敗)もうやる必要はないだろうとか。でも実際、自分はヴィールセンに勝っていない訳ですから。他の日本人選手が勝ったからと言って、自分も勝てるとは言い切れません。それが“勝負”ですからね。

 みんな自分が勝つだろうと思っているようですが、自分は今までの試合の中でも一番集中して、気を引き締めています。勝負はやってみないと分かりません」

ーー選手同士の相性というものもありますからね。

「そうですね。ヴィールセンがカリム・ベノーイに負けていて、そのベノーイに自分が勝っていても、自分がヴィールセンに勝てるとは限りません。向こうにも同じように勝つチャンスはありますから」

ーー改めて2年前のヴィールセン戦を振り返ってください。

「あの試合は完全にパワーで負けていましたし、何よりも気持ちがダメでした。観光気分で行っていたので(笑)。イケるだろう、勝てるだろうと気持ちが浮ついたままギリシャに行って試合をしたら、“あれ、何だこれは?”と相手のパワーに戸惑ってガタガタ崩れていって……負けてしまった試合です。そこから学んで、だいぶ気持ちが左右されないようになりましたね」

ーー普通にやって勝てるだろう、と油断していたんですね。

「勝って当たり前だろう、くらいに思っていました。あの試合は、今まで負けた試合の中でも一番悔しい負けでした。だから今、練習でキツイ時はその悔しさを思い出しています」

ーーヴィールセンは野生的な動きをしていた、とも言われていましたね。

「そこはあります。日本人選手とは違って、セオリーのない強さのようなものがあるんです。ベノーイなら綺麗に出来上がったスタイルなので崩しやすかったですが、ヴィールセンはいきなり飛び込んでくるなどセオリーのない野生的な動きをするので、やりづらさは正直なところあります」

ーーこの2年間、ずっと再戦したいと思っていたんですか?

「いや、そこまでは思っていなかったですね。練習をやっているうちに、あの頃と比べたらどうなんだろう、今ヴィールセンとやったらどうなんだろうって思い始めたという感じです」

ーー世界最高峰のタイトルと言われた、IT’S SHOWTIME-61kg級世界タイトルを保持した選手はわずかに4人。山本選手、ベノーイ、ハヴィエル・エルナンデス、そしてヴィールセン。山本選手が勝てていないのはヴィールセンだけです。

「それもありますね。どうせなら全員とやった方が真のチャンピオンかな、と」

ーーそのうちの一人であり、最強と目されていたベノーイとは3月に対戦し、山本選手が予告していた通りにマニアックな試合となりました。

「なりましたね(笑)。絶対にマニアしか分からないような試合になると最初から思っていました。スカッと勝つか、ドロドロになるかのどっちかだと。でも、ベノーイは思った以上に前へ出てこなくて、左右に構えをスイッチしていたので、崩しづらかったですね」

ーー自分としては満足のいった試合だったんですか?

「半分半分ですね。向こうもテクニシャンだからテクニックで対抗しようと思ったら、本戦ドローになってしまいました。延長戦はゴリゴリで行こうと思って攻めたから勝てましたけれど。戦術の立て方を見直すきっかけになりました」

ーー山本選手はキャリアが60戦に届きそうですが、まだまだ進化しているということですね。

「はい。充実しています。やればやるだけ自分に返って来ますからね」
・・・

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