2016年11月度・格闘技MVPスペシャルインタビュー 武尊(K-1)
■「このキツい状況を楽しもうと思いました」
決勝戦の相手、Krush -58kg王者・小澤とは6月にノンタイトル戦で対戦した時からの因縁があった。小澤の度重なる挑発に武尊も怒りを隠さず、乱闘騒ぎにまで発展。6月の初対戦は武尊が判定勝ちしたが、その後も小澤は挑発を繰り返して「11月3日がお前の最後だ」とまで言い放った。
「決勝は右がフルスイング出来なくて、ほぼ左で戦いました。1Rに倒しきろうと考えていましたね。長期戦になったら足も痛いし、右も打てないことが絶対にバレるからって。でも、何だかんだいって判定になってしまいました。だからけっこうギリギリでの勝負でしたね。誤魔化しながら戦っていました」
不安とも戦いながらの勝負。武尊は“早く倒れろ”との願いを攻撃に込め、1Rで2度のダウンを奪った。
「無我夢中でした。いい意味ではなく、頭で考えての無我夢中だったので試合時間が長く感じましたね。いい意味での無我夢中になっている時って、すぐ時間が経ってしまうんです。でも決勝はまだ相手が倒れない、これ凌げるのかなって必死でした。身体がボロボロで攻撃が打てなかったので。3Rはけっこう気合いを入れて打てたんですが、キツかったというのが本音です」
試合でハイテンションになると、武尊は楽しそうに笑いながらの殴り合いを見せる。小澤との決勝戦でも戦いながら笑っていたが、実はかなり苦しかったという。
「最後の方は無理やり笑っていました(笑)。楽しんでいたのもありましたけれどね。この空気、このキツい状況を楽しもうと思いました。試合前、雅和さんにも言われたんです。こんな状態で戦えるのは武尊くらいにしか出来ないよ、楽しんじゃえばいいんだよって言ってくれました。それで、そうだなと思って。雅和さんはずっと近くで見てくれていたので、僕の扱い方に慣れているんですよ。そこで不安になるようなことを言われたら僕がダメだってなってしまうので、気持ちを上げてくれる言い方をしてくれたので楽しんで出来ました」
フルラウンドを戦い抜き、ジャッジ三者とも30-25の大差で武尊が勝利。見事、2階級制覇を達成した。マイクを持って最初に出てきた言葉は「キツかった。前回のトーナメントもキツかったけれど、ここまで過酷なものだとは思わなかった」だった。
「もう出し切った、という感じでした。やっとフルマラソンを完走したような気持ちです。達成感というか、何とか走りきることが出来たって感覚でしたね。喜びよりもホッとした、良かったという感じでした」
しかし、激闘の代償は大きかった。試合後に病院で診断したところ右拳骨折のため全治2カ月と分かり、練習でパンチを打つことが出来ない状態。打てるようになるのは早くても年明けと診断されたのだ。試合後に宣言した大みそかの『RIZIN』参戦は不可能となってしまった。復帰は早ければ2月、もしくは春くらいになりそうだ。
「トーナメントに出た選手の中で、まだやっていない選手もいるのでそういう選手も倒したい。3階級制覇? それは考えていないですね。でも、僕は挑み続けたい。同じ階級で、この選手に勝ったら凄いって言われるような選手とやりたいです」
誰もが認めるK-1の主役となった武尊が目指すのは、単なるスターではなくスーパースターの座。「僕が街を歩くと人だかりが出来て、歩けなくなってしまうくらいのスーパースターになりたい」との夢を描いている。まだ25歳。魔裟斗を超えるようなK-1のスーパースターの座へ一歩一歩近付いて行くだろう。
関連リンク
・ゴールドジム Web site
・試合レポート「武尊が初代フェザー級王座決定トーナメントを激闘の末制覇」
・過去のMVP選手一覧
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