【11月・ベストファイター】鈴木千裕、ケラモフKOしRIZIN王座獲得!“蹴り上げ”がヒットした理由、次なる野望も
■失神するケラモフの姿を誰が予想できたのか
アゼルバイジャン大会は、英雄の帰還に大声援が送られた。鈴木は、これまでの記者会見や公開練習での振る舞いもあり、完全にヒールだ。ヒーローvs.ヒールの戦い。とても分かりやすい構図が、RIZINアゼルバイジャン大会には出来上がっていた。
試合が始まると、ケラモフはハイキック、前蹴りを放ち積極的に攻めていく。そしてケラモフが右クロスで攻撃し、鈴木がフックを合わせに来ると、素早くシングルレッグからテイクダウンに成功する。ここまでは、完全にケラモフのペースだろう。
下になった鈴木はガードポジションを取ると、今度はケラモフがパウンド攻撃の体勢に入り、必勝パターンの動きができつつあった。しかし鈴木は、この時を待っていた。
鈴木は下から三角絞めに入るフェイントを見せると、ケラモフが上体を上げてパウンドを打つ姿勢に入る。その動作を誘導させた鈴木は、下からのカカト落としをアゴに命中させた。想定外の攻撃を受けて、意識を失うケラモフ。鈴木は「意識を失っても回復するのがチャンピオンなので、テンプルとアゴにパンチを集中した」と下からパンチを打ち続けた。そして、レフェリーが試合を止め、鈴木の勝利が決まった。
■一瞬の閃きで出した下からの“カカト落とし”
下からの蹴り上げは“ペダラーダ”と呼ばれるテクニックで、基本は蹴り上げる動作となる。鈴木の場合はカカト落としなので、なかなか見られない技だ。蹴り上げではなくカカト落としを選択した理由を聞くと「グレイシーの選手とかは蹴り上げる形が多いんですけど、自分はその時にカカト落としが当たると思って出しました」と切り替えたという。
下からの打撃をクリーンヒットさせるのは初めてのようだが、「3歳から格闘技をやっているので、どういう身体の使い方をすれば相手を倒せるのか分かるんです。長さ、距離、パワー、どうすればいいか感覚で分かる」と冷静に効果的な技を選択して出したという。これは、本格的なストライカーの鈴木ならではの打撃テクニックなのだろう。
鈴木は、ケラモフを倒してRIZINフェザー級タイトルを獲得。キックでは初代KNOCK OUT-BLACKスーパーライト級王者、MMAではRIZINフェザー級王者とルールの異なる競技で二冠を同時に手にすることとなった。
RIZINのベルトを獲得した気持ちを聞くと、「それだけの練習をしてきましたし、僕のチームもチャンピオンになれると信じて準備をしてきました。自分たちがやってきたことが間違っていなかったことを証明できてよかったです」と語った。
朝倉未来を完封したケラモフ、そしてチャンピオンの母国であるアゼルバイジャンでの試合、連続試合での過密スケジュールと逆風の中、なぜ鈴木は試合を受けたのだろうか。疑問を投げかけると鈴木は「それが格闘技の醍醐味じゃないですか!それがやりたいから僕は格闘技を続けているんです」と笑い飛ばした。
「勝負の世界は勝てば称賛されるし、負ければ批判される。それが格闘技の魅力だと思っています。それにアウェイだと燃えるんですよ。どうせ試合をするならば勝った方がいいし、殴れるならば殴った方がいい。僕は、負けるつもりで試合をしていないんで」と鈴木は、まさに勝つことですべてを手に入れることとなった。
▶︎次ページ:「ベラトールに乗り込んでピットブルと戦いたい」
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