【月間ベストファイター・11月】那須川龍心の”一撃”KO戴冠の影に、兄・天心から直伝の”呼吸法”あり
■「サウスポー相手は得意」理由は”天心”
ジャブを得意とする龍心だが「しょっぱなのジャブで、相手の右目も赤くなって、飛んでいる感じがした。もしかしたら倒せるかも」と感じたと言う。
今回、ジャブは「特に打ち方を変えてはいないけれど、しっかり打ち込んだ。いつもよりも中に入れた」とのこと。
龍心はオーソドックス、相手はサウスポー。ケンカ4つで、中に入るのは難しいとも言われるが、龍心は「サウスポーは得意で、怖さは無い。いつも天心とやっていたので、それ以上に怖いものは無いから」と笑う。天心という”最強のサウスポー”の存在が、いつも身近にいた。
KOショットは「理想は右のストレート。倒すとしたら左フックとずっと思っていた。それがドンピシャではまってくれた」と言う。
ラスト1分、一瞬見合った直後、数島の右フックに合わせた、龍心の右ストレートからの左。
さらにもう一度、右ストレート、これはおでこに当たった、効いていない、瞬時に返しのフック!手ごたえあり、そしてラストの右で、相手が倒れた。
「立ってくるだろうな」と見つめていた。その通り、王者は立った。しかし足元がおぼつかず、レフェリーがストップ!
龍心本人も予想だにしない、早期決着だった。「へんな力みが無く、そのお陰で、しっかり撃ち抜けた。そこが倒せた要因」と分析する。
この勝利で、大会の「MVP賞」「ベストKO賞」「ベストバウト」と3冠全てを独占。この大会では元NKB王者・髙橋聖人の一撃ハイキックKO、同門GUMPのこれも一撃ハイキックKOなど衝撃試合が続いた中での快挙だった。
■天心から教わった呼吸法で”整える”
この劇的な”パンチKO”について、ボクシングに転向した兄・天心からパンチテクニックを教わっているのか。龍心は「技術的なことよりも、意識的なことを教わることが多い」と言う。
その一つが”呼吸法”だ。龍心は「自分の呼吸を整えてゆくと、相手の隙だったり、一瞬ゆるんだ部分が見えてくる」と呼吸と視点が連動してくるのだと言う。
これは1年ほど前から天心に教わり「いつもの練習の時から行っている。自分を整えるという意識。集中するようで、集中しないという感覚」と言う。これは今回の試合で龍心が感じていた”不思議な感覚”と似ているようだ。成果が大一番で現れたのか。
龍心は「難しく、まだ完璧でない」と言い、これからもまだ深めてゆくと言う。
兄・天心もまた、10月14日の[[WBOアジアパシフィックバンタム級王座決定戦]]前に行った公開練習の直前に、ジムの片隅でまずは整えるような黙想、更に様々な一見不安定にも見えるポーズを何度も繰り返していた。
龍心に話すと「身体の使い方で、バランスを崩している所でも、崩しているようで崩していない訓練。色んな武術的な使い方がある」と、これも教わっていると言う。
天心の”調整法”は龍心にも合っているようで「天心と僕はきょうだい、感覚的な部分が似ていて、自分にとってわかりやすい。他の人はわからなくても、天心が感覚で伝えてくるものが、しっくり来る」と血の繋がりゆえ感性が近いと語った。
■戴冠1ヵ月で、試練の”初タイ人戦”
試合のマイクで龍心は「1Rで倒したんで、大丈夫じゃないですかね。12月、参戦お願いします」と12月21日に行われる『RISE WORLD SERIES』への参戦を要求すると、これが叶うことに。
龍心は21日、ONEでもKO勝利しているムエタイ戦士ペットマイ・MC.スーパーレック(タイ)と対決する。現ONEキックボクシング世界フライ級王者にして、同ムエタイ世界バンタム級王者スーパーレックの弟子で、戦績65勝18敗3分という強敵だ。
龍心は、純タイ人のムエタイ選手は初。「ムエタイはリズムが独特で、はじめてで怖くもある」としながらも「今回の試合で自信がついて、やってきたことが合っているという証明にもなった。次の試合はその確認作業にもなる。更に自信に繋がるか、違うものになるか楽しみ」と今回の勝利を更に裏付けるものになるか占うものになるとも。
■『THE MATCH』以上のものを…K-1大久保琉唯には「やり返したい」
今後の目標を聞くと「キックはMMAやボクシング、他の競技に比べ遅れを取ってる。そこを盛り上げるのは僕の役目。メディアにも出てキックを知らない層を集めて、K-1の選手たちとも盛り上げて『THE MATCH』以上を作っていけたら」とキック界を引っ張る意識を持つ。
その『THE MATCH 2022』では、後のKrush王者・大久保琉唯に判定負けを喫したが「やり返したい気持ちはある。その試合が望まれるくらいまでいけたら」といつかはリベンジ戦をと言う。
その大久保は今年のRIZIN出場を”平本軍団”としてアピールしていたが「連続参戦はさすがにきつい。21日に1R KOしたとしても、休みたい」と今年の大晦日はタイミングが合わないとする。
しかし「現時点では、何のルールでも」と昨年大晦日にMMA挑戦したように、キックを広めるためにもRIZINからのオファーは断らないとする。
RISEでも「51.5kgで防衛はしたいけど、53kgでやってみたいという気持ちもある。55kgまで行けたら行きたい。まだまだ身体は大きくなる」と2階級、ゆくゆくは3階級制覇も視野に入れたいとのこと。
”那須川天心の弟”としてやABEMAオリジナル恋愛番組『今日、好きになりました』など知名度も抜群だが、ネットではアンチも多い。龍心は「本当に何とも思わない。そういう声が大きいほうが期待されてるのかなと。天心の弟というのも、嫌なわけではない。”言われてるな”くらいだったけど、それも今回覆せたんじゃなかな」と今回の勝利でまた一回り大きくなったようだ。
心・技・体、更には影響力もレベルアップしてゆく”心童”にますます期待したい。
■那須川龍心が受賞の喜びを語る
今回受賞した那須川龍心には、イーファイトより記念の盾と、ゴールドジムからアルティメットリカバリーなどのサプリメント3種類が贈られる。
龍心は「まさか自分がベストファイター賞に選ばれると思ってなかったんで、率直に嬉しい。今後も結果を継続的に出していきたいし、自分自身強くなりたい」と意気込む。
普段使っているサプリメントは「プロテインやEAA」だとし、食事については「ストレスがかからない程度に気を使っている。たんぱく質、とくに鮭がお気に入り。調子が良くなる気がするし、頭の回転も良くなる」とアスタキサンチンをはじめ、DHAやEPAを豊富に含む鮭がお気に入りだとした。
(取材/文=遠藤紘史、編集=イーファイト編集部)
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