第1回「大山倍達との出会い。初めての極真合宿の取材で予想外の出来事が…」
「始めまして。ゴング格闘技の熊久保と申します。本日、明日と取材をさせていただきますので、よろしくお願いします」と僕。ところが、だ。総裁の顔色が見る見る内に曇っていき、明らかに怒った表情になって「ゴング? ゴングさんには取材に来て欲しくないよぉ!」と言われてしまったのだ。
実はこの時、総裁はゴン格に対してお怒りだったのである。『ゴング格闘技』が創刊される際、極真を取材する条件として「空手は極真しか載せない」という密約があったそうなのだが、ゴン格は前年の9月くらいから他流派の取材も解禁しており、正道会館や大道塾、佐藤塾などが普通に掲載されていた。それに対し、総裁は怒っていたのだ。
そんな事情を知らない僕は「どうしよう…ここまで来て取材できないなんて。取材できませんでした、なんて言ったら怒られるだろうな」(当時は携帯電話なんてなかったから、相談することも出来なかった)などと考えつつ、あまりにも予想外の出来事に呆然と立ち尽くすのみだった。
僕はよほど困り果てた表情をしていたのだろう。直立不動で返す言葉もなく、ただ立っているだけの僕を見て、総裁は頭をかきつつ「まあでも、こんな遠くまでせっかく来たんだから取材して行きなさい」と今度は優しい言葉をかけてくれたのだ。助かった、僕はホッと胸をなでおろした。
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