相撲はちゃんこ、極真空手が鶏の水炊きの理由
相撲部屋の料理といえば「ちゃんこ鍋」。これは明治時代後期、入門者が増え、一人一人に膳を配るよりも鍋を囲んで食べたほうが合理的ということから始まったと言われている。ちゃんこ鍋の基本はソッブ炊きであり、ソッブとは鶏がらスープを指す。牛、豚は四つ足なので、手をついてるから相撲では負けを意味するため、げんをかついで牛豚を食べず、二本足で立つ鶏を食べたのだという。
相撲のみならず、格闘技の世界で鶏の鍋をよく食べていたのが極真空手創始者、大山倍達(ますたつ)とその弟子たちだ。極真の場合はちゃんこではなく、鶏の水炊き。
極真の鶏の水炊きの始まりは、1975年頃から大山氏を囲んで毎週金曜日、夜の稽古終了後に開催されていた「鶏の水炊き会」からで、大山氏が他界する94年頃まで続けられていた。ちょうど水炊き会が始まった頃から、池袋の極真会館総本部で稽古していた現・新極真会高知支部師範、三好一男氏は水炊き会に参加していた1人で、「鶏の水炊きはプロテインがまだ普及していない時代、弟子たちのカラダ作りの一環でもあったと思います。美味しくて毎週金曜日が楽しみでした」という。
パワーをつけさせるために通常の水炊きよりも多少アレンジされた、このレシピを学んだ三好氏は、4年前から地元・高知で道場生や関係者に「大山倍達総裁が毎週食べた鶏の水炊き会」を開催したところ大好評。毎月参加者が増え、生徒、父兄のみならず、地元の県知事や国会議員まで参加し、最近は定員の50人を越え、70人オーバーという嬉しい悲鳴。
今年1月19日で毎月恒例の水炊き会も50回目を数えた。
さて、このちゃんこや水炊きは果たしてカラダ作りのためにどれほど有効か。全国にフィットネスジムを展開するゴールドジムのサプリメント開発担当主任の佐藤貴規氏によると「稽古後の食事は身体づくり、疲労回復のために特に重要。プロテインなど手軽に摂れるサプリメントの普及していない当時としては脂肪の少ない鶏肉はベストな選択です。また、鍋は野菜をたくさん摂ることができますが、中でもニラはビタミンが豊富で消化を助ける作用もあり、食事から沢山の栄養を補給しなければいけない場合などに優れた食材です。そして(水炊きの場合は)つけダレのポン酢や薬味に極真流として使用されているニンニク、ショウガは、それぞれクエン酸やアリシン、ジンゲロールが含まれ、疲労回復効果や消化促進が期待できます」という。
極真の鶏の水炊きは、夜の稽古後、就寝前の食事として理にかなっており、続けられてきたのではないだろうか。人間は、夜、睡眠時に新陳代謝が最も高まると言われており、就寝前にポン酢などのクエン酸の摂取は更に疲れを取るのにおすすめだ。
ともあれ、勝負に出るときは鶏の鍋で栄養バランスをとってげんをかついで挑んでみてはどうだろうか。
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