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【月間ベストファイター・6月】那須川天心が武尊との世紀の一戦を制してキックボクシング有終の美、ボクシング転向して第二章へ

■天心が武尊から1Rに左フックでダウンを奪う

武尊戦の当日計量に臨んだ天心(中央)

 世紀の一戦は、それぞれの団体でルールが違い(1キャッチ1アタック=RISE)、武尊は通常60kgで試合をしていることに対して、天心は55kg。条件を調整した結果、ルールは、1キャッチ1アタックあり。体重は58kg契約で前日計量、大会当日3時間前までに4kg戻し。5人ジャッジ制でオープンスコアリング方式に決まった。

 前日計量では、天心が500gアンダーの57.95kg、武尊は58kgジャストで計量パス。大会当日3時間前の再計量(4kg戻し制限の62kg契約)を2人ともパスし、あとは決戦を待つだけとなった(天心=61.95kg、武尊=61.75kg)。

 2人は、それぞれゴンドラに乗って、5万6千人の大観衆を見下ろしながら花道に運ばれる。武尊は花道を歩き、険しい表情でロープをまたぐと、両手を広げてリングイン。天心は最後のキックのリングの花道を歩きながら笑顔を見せ、セコンドと円陣を組み、気合いを入れると両手を上下に何度も挙げて観客に盛り上げるようにアピールしてリングに足を踏み入れた。

ゴンドラに乗って入場した

 天心はゴンドラに乗って満員の会場を見渡した時、「めっちゃキラキラしていて星みたいでした。空から夜空を見た感じでした」と感想を語った。ようやく実現した世紀の一戦を前にして、リラックスしていたという。

 そして、試合が始まると、1Rにいきなりダウンが生まれた。スピードで攪乱する天心は右ジャブを何度も武尊に決めて、出足を止めた。

「相手のセコンドが、『ジャブを捨てろ』と話していたことが耳に入って、踏み込むことができました」と天心は、右ジャブを右ストレートのように強く打つようにしたという。何度も被弾した武尊が右ジャブを左にかわして右を当てようとした瞬間、天心は素早い左フックでアゴを打ち抜いた。武尊は腰を落としてダウン。立ち上がった直後、ラウンド終了のゴングに救われた。

■ダウンを奪った左フックは、右ジャブで武尊を誘導していた

天心が左フックをヒットさせた瞬間

 一夜明け会見で天心は、「あの左は、何回も練習していました。会心の左でしたね。大きくならないでコンパクトに刀で斬るように打つ。相手はパワーがあるので、大振りにならないように意識していました。最後に確認したパンチでダウンが取れました」とダウンシーンを振り返っている。

 ダウンを奪った左フックの場面、映像を何度も確認すると、天心の右ジャブは武尊の右側へ流れている。もしかしたら、ミスではなく左を当てるために武尊の頭の位置を誘導したのでは?という仮説が浮かぶ。本人に聞くと「ジャブは、カウンターをもらわないように目を狙っていました。(ダウンの場面は)ジャブが少し外に流れてしまいましたが、誘導したのもありました」と証言する。

ダウンを奪った天心

 つまり、右ジャブで左フックを当てやすい位置へ導き、あとはコンパクトに打ち抜いたということになる。もちろん、これができるのはスピードとスキルレベルが高い天心だからなのだろう。通常はジャブで目を狙うのは、相手に反応されて反撃を食らうリスクが高くなるため、あまりしないと言われている。ただその一方で、目の辺りを狙う、さらに仮に当てることができれば、相手の攻撃を遅らせることができる。天心の常人離れしたハンドスピードが、それを可能にした。

 もう一つは久保優太ら専門家が分析しているように、構えの足幅、スタンスの広さで蹴りで来るかパンチが主体になるのかが分かるということ。このことも確認すると天心は、武尊のスタンスを「見ていた」と明かした。武尊はスタンスをやや広くしていたため、パンチ主体で攻めてくる。すべて反応することができたのは、パンチに注意を払っていたためだろう。右フックを被弾したように見える場面もあったが、あれは紙一重でかわしており、「まったく問題なかった」とも話している。

▶次ページ:完璧な武尊対策と、それを実行できる天心のスキルの高さ

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