【7月・ベストファイター】鈴木千裕、2階級制覇パトリシオを衝撃KO!二刀流封印し、MMA専念決意も明かす
■待っていた試合オファーに“出ます”と即答!
山口代表から鈴木に『超RIZIN.2』の試合オファーの一報が入ったのは、大会1週間前のこと。内容は、「ベラトール2階級制覇のパトリシオと試合をしないか?」というものだった。その背景には朝倉海に続き、AJマッキーの欠場で大会の目玉カードがなくなり、代替えカードを用意する必要があったからだ。
パトリシオは、実兄のパトリッキーの試合のセコンドのために来日していたため、RIZINから試合オファーがあったのだ。その相手が、鈴木に向けられていた。パトリシオはこれを承諾し、鈴木も「やってやろうと思いました。正直、相手は誰でも良かった。こんなチャンスは、二度と回ってこないと思い、出ることを決めました」と即答で了承したことを明かした。
山口代表は「千裕のモチベーションが下がっていることを知っていたので、断るだろうなと思っていたら、意外にも“出ます”と返事がすぐに戻ってきたので驚きました」と切り替えの早さにプロを感じたという。
大会まで、あと1週間。相手は、クレベルに勝っているベラトールの2階級制覇チャンピオンのパトリシオ。鈴木は、まだ本格的な練習を開始していない状況の中で、「やる」ことを選んだ。普通ならば、「時間がほしい」と断る場面だが鈴木は「普通の人はそうだと思います。でも自分は、世界一へなるために格闘技をやっているので、“本物”を目指しています。戦って勝てるチャンスが少なからずあるのに、出ないことを選ぶ格闘家はいないと思います」と熱弁をふるった。
最強の男が自分を待っている。「チャンスは平等に回ってこない」と鈴木は、リングに立つ覚悟を決めていた。
■「作戦はありませんでした」出たとこ勝負の大博打
試合まで残り1週間とはいえ、やるべき最善のことをしていた鈴木に、思わぬミスがあったことを明かした。「じつはパトリシオではなく、パトリッキーの試合映像を間違えて見ていました。2人は顔が似ているんですよね」と笑い飛ばした。
だが鈴木は「でも、作戦を立てて勝てる相手ではないですから。作戦は、とくにありませんでした。自分の持ち味をどこまで出せるか、テイクダウンされたら、その時に考えればいいやと思っていました」と試合当日を迎えた。
「作戦がない」とはいえ、ただパンチを振り回して勝てる相手ではない。鈴木は「左ジャブで崩そうと思っていた」とパトリシオに左を当てて崩し、右の強打を入れる隙をうかがっていたという。パトリシオは意外にもパンチで打ち合いに出てくれたため、「空いているライン、道筋が見えました。そこに左右のパンチを狙って打っていきました」と鈴木は、得意のパターンへ持ち込むことに成功した。
「どのパンチでも当たったら倒せる自信あるんで」と語っていた鈴木の右ストレートが、パトリシオのアゴを見事に打ち抜いた。
■鈴木の右ストレートが絶対王者を沈める
パトリシオに右ストレートを決めた鈴木は、「拳に感触がありましたね。当たった瞬間、立てないことが分かりました」と手応え十分だった。そして、「失神しているとは思ったんですが、急に復活することもあるんで」とパウンドを落としに行ったところで、レフェリーが試合を止めた。
観客が総立ちになるくらいの大きな歓声と驚きの声が上がり、会場が興奮に包まれる。鈴木は「超RIZINに稲妻落としてやったぜ!」とマイクを握って叫んでいた。おそらく、今大会で一番盛り上がった瞬間だったことだろう。
大金星を挙げた鈴木は、「これだから格闘技は面白いですね!」と興奮気味に振り返った後、「クレベルに負けた1カ月で、多くのことを学びました。そして、今回負けたとしてもいい経験をすることが分かっていたので、試合を受けました。MMAチャンピオンになるまで、しばらくMMAに専念したいと思います」と二刀流は休止して、MMAで頂点を狙うことを宣言した。
次戦については決まっていないようだが、RIZINが開催する11月のアゼルバイジャン大会も視野に入れているともいう。「海外の選手は日本へ来てくれて、僕たちと試合をしてくれています。今度は逆に、自分たちが海外で試合をすべきだと思っています」と鈴木。
パトリシオとの再戦については「あっちは、このまま終わりとは思っていないでしょう。やるならば、ベルトをかけるべきだと思っています。そうでなければ、やる意味がないです」と強気の姿勢を見せた。
鈴木は、下半期にあと2戦くらいMMAの試合を考えているようで、朝倉未来を倒してRIZINフェザー級新王者になったヴガール・ケラモフ、リベンジしたいクレベルも含めて、対戦候補は国内外たくさんいる。次の稲妻は誰に落ちるのか、この男の歩く道は楽しみしかない。
■受賞の喜び
最後に月間ベストファイター受賞について感想を聞くと、「昨年に続き、二度目ですよね。嬉しいです」と笑顔。賞品として記念の盾とサプリメントが贈られるが、「自分はグルタミン、BCAA、ビタミンをたくさん摂っていますので嬉しいですね」と続けた。パトリシオとの再戦も含めて、世界の舞台で戦う鈴木の勇姿に期待は尽きない。
(取材/文=松井孝夫、構成・編集=イーファイト編集部)
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