【月間ベストファイター・5月】新王者・武居由樹、那須川天心との対戦が第一「彼と試合してから団体統一を考える」
毎月イーファイトのサイト名にちなんでより良い試合をした選手に贈られる、格闘技月間ベストファイター賞。2024年5月のベストファイターは、5月6日(月・祝)東京ドームにて開催されたボクシングイベント『Live Boxing 8』の[WBO世界バンタム級タイトルマッチ]で、王者ジェーソン・マロニー(オーストラリア)を判定3-0(116-111×2、117-110)で打ち破った武居由樹(大橋)に決定した。(2024年6月12日UP)
PROFILE 【獲得タイトル】 【戦績】 かつては悪ガキ少年だったが、中学時代に古川誠一会長と出会いPOWER OF DREAMで練習を積む。16年には初代Krushバンタム級王座、17年にはK-1 WORLD GPスーパー・バンタム級王座を戴冠。19年6月には「K-1スーパー・バンタム級世界最強決定トーナメント」で全試合KOで制覇するなど、新生K-1の主役の一人として活躍した。 20年12月にK-1から卒業し、プロボクシングに転向することを発表。大橋ジムに所属し、元ボクシング世界王者の八重樫東に師事する。21年3月にプロデビューを果たすと、日本人を相手に3試合連続で初回TKO勝利。22年8月にはOPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王座を5R TKO勝利で戴冠した。 |
選考理由
1.K-1&キックボクシング出身の日本人世界王者は男子初
2.評価の高い王者であるジェーソン・マロニー相手に勝利し戴冠
3.プロボクシング9戦目にしてポイント差をつけての圧勝
選考委員
格闘技雑誌Fight&Lifeとイーファイトの全スタッフ
受賞された武居選手には、ゴールドジムより以下の賞品(アルティメットフレキシジョイントUC–Ⅱ 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アミノ12パウダー 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。
贈呈:ゴールドジム■有利な展開も「ポイントを取っているとわからなかった」
試合は初回から武居のペース。サウスポーの武居はジャブや飛び込みの左ボディで、2Rにはローブローを取られるも、積極的に攻めマロニーを苦しめた。
マロニーは武居戦まで、サウスポーとのプロ対戦経験がほとんど無い。
“サウスポーが苦手なのでは”という声もあったが、武居にそれを聞くと「逆に、(マロニーが)サウスポーと戦う情報が無いから困った。試合が始まるまで、どう来るか全くわからなかった」とサウスポーと戦った映像などが無く有利不利もわからない状態だったと言う。
その上で「戦略は2パターンあった。1、相手が来ないなら自分が遠目からジャブを差し込む。2、来るなら迎え撃つ」と、マロニーの出方次第だったと語った。
マロニーは前半様子見で、武居のペースで試合は進んだが、武居は「試合中もポイントを取っているとはわからなかった。もし判定で負けても“負けなんだ”と納得するくらい」と自分の中では競っていた試合だったとのこと。
その理由は「KOで勝つイメージがあったが、“これを当てたら倒せる”というクリーンヒットを当てさせてもらえなかった」とマロニーの上手さを評価。またKO勝利を狙うゆえに、ポイントを意識しなかったと言う。
■12R“ピンチ”になった意外な理由
そして最終12R、前半は武居が先手を取るも、後半はマロニーが死に者狂いで前に出て打ち込み続ける。武居はロープに詰められ、右、左と入れられ鼻血を出す。防戦状態でゴングが鳴ると、武居はロープにもたれ、力尽きたように天を仰いだ。
この試合一番のピンチであり、ネットでは“TKO寸前”という声や“武居はスタミナが課題”という評価も多かった。
武居に最終ラウンド時の心境を聞くと「12Rが始まる直前『ここで倒したら盛り上がる』と思った。セコンドにも『いけるか』と言われ『いけます』と笑いながら返した。判定で勝つというイメージは無く、メンタル的にはスタミナもあり大丈夫と思っていた」と、KOを狙いに攻め込んでいったのだと言う。
確かに前半1分は武居が攻めていた。
しかしマロニーの猛攻にあい「メンタルの部分では余裕があったのに、思ったよりスタミナが残っていなかった。心に身体が伴っていなかった」と身体がついていかなかったと言う。
パンチも多く被弾したが「そんなに強いパンチではなかった。貰ってはいたけれど、見栄えよりは冷静に見れていた」と連打を受けながらも冷静だった。ダメージも無かったとのこと。
▶次のページ:井上尚弥からの“ボコボコ”スパーリング効果、那須川天心に「ここまで来るのを待ってる」
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