2013年2月度MVP 中村和裕
毎月eFightが取材した大会の中で、最優秀選手を決める月間MVP。2013年2月のMVPは、2月16日(土)後楽園ホールで行われた『DEEP 61 IMPACT』でRYO(ランズエンド・ZERO-ONE MAX)と王座決定戦。緊張感のある好試合を演じて第6代DEEPミドル級王座に就いた中村和裕に決定!(2013年3月12日UP)
PROFILE |
選考理由
1、「DEEPミドル級タイトルを獲得」
2、「タイトルマッチにふさわしい好試合を演じた」
3、「プロ生活10年目を迎えて今後さらなる活躍が期待される」
選考委員
Fight&Life、ゴング格闘技、BOXING BEATの各格闘技雑誌の編集長とeFightの全スタッフ
受賞された中村選手には、ゴールドジムより以下の賞品(プロカルシウム 300粒 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アルティメットリカバリー ブラックマカ&テストフェン+α 240粒 1個)と、eFightより記念の盾が贈られます。
贈呈:ゴールドジムMVP記念インタビュー
「オリンピックが自分が柔道家であることを思い出させてくれた」
■ベルトを獲得して初めてリング上で涙を流した
中村は柔道から総合格闘技に転向、吉田秀彦の一番弟子として2003年3月16日に『PRIDE』でプロデビューし、ちょうど10年目に初のチャンピオンベルトを巻いた。チャンピオンになってからは愛称が「カズ」であることから、サッカーの三浦知良にちなんで「キング・カズ」と知人たちから呼ばれるようになったという。
「感無量と言うか、とにかく嬉しかったですね。最近は特に“キング・カズ”と呼んでくれる人が多くて、チャンピオンになったことを実感しています」
チャンピオンベルトを巻いた中村は、今までリング上では一度も見せなかった涙を流して男泣きした。
「リングで泣いたのは初めてでした。勝てて良かったという気持ちと、応援してサポートしてくれる人たちの期待に応えられてホッとしたのもありますが、なんだかわけも分からず涙が溢れ出てきたんです」
これまでPRIDE、UFC、戦極(SRC)、DREAMとメジャーリングを渡り歩き、大会場で世界の強豪たちと戦ってきた中村。後楽園ホールを主戦場にしてDEEPで戦ってきたRYOからすれば勝てば名前を上げるチャンスだが、中村にしてみれば負けたら今まで築き上げてきたものを全て失うかもしれないリスクの高い戦いだった。
「プレッシャーはやはりありましたね。RYO選手はいい選手ですし強い選手ですけれど、ここで負けられないって気持ちはありました。そういう意味では堅くなっていた部分がありましたし、KOも一本(関節・絞め技による勝利)も取れずに判定になった時は恥ずかしい気持ちにもなりました」
試合は1Rから打撃戦となり、中村が飛び込んでのパンチやカウンターをヒット。RYOはジャブとローキックで前へ出てKOを狙っていったが、中村のヒット数が上回った。
2、3Rは中村が組み技も混ぜてRYOをコーナーへ押し込むなどの上手さを見せ、最後は逆転KOを狙ってラッシュをかけてきたRYOに決定打を許さず判定勝ちした。場内は大いに盛り上がり、緊張感のある試合内容であったが、中村自身は満足していないようだ。
「もっと投げたかったですね。やっぱり柔道家ですから。昨年10月の試合で投げたのが凄く好評だったので今回も狙っていたんですが、全然投げられませんでした。
1度、相手の首を左手で取ったんですが、その時に“こいつは強いな”と思いました。普通はそこで首を折り曲げて投げることが出来るんですが、RYO選手は曲がらなかったですね。本当はそこからの新必殺技があったし、寝技になったらひとつ秘策があったんですが、両方とも出せませんでした」
投げを見せたかったのは、昨年ロンドンで開催されたオリンピックの柔道で、日本人選手たちの頑張る姿に刺激を受けた部分もあったからだという。
「みんな頑張っていたじゃないですか。凄いな、と思いましたし、感動しました。自分が柔道家であることを思い出させてくれましたね」
■一時は引退も考えていた中村が再び立ち上がった理由
プロ生活10年目にしてようやくチャンピオンベルトを腰に巻き、ひとつの証を手にした中村だが、一時は引退も考えていたという。
「もう格闘技は辞めて働こうかな、どうしようかな、と悩んでいた時期がありました。DREAMでいい相手との試合を組んでもらえたので(2011年9月24日、ジェラルド・ハリス戦。ハリスはUFCで3連勝を飾ったこともある)、この試合に負けたら働いてみようかな、と考えていたんです」
その結果、ハリス戦は判定2-1の接戦で敗れた。それから1年間、中村はリングから姿を消したのである。
「身体は動かしていたんですが、いろいろあって試合が出来ませんでした。でも、就職してもつまらないだろうなって考えるようになったんです。格闘技をやっている時が今は一番楽しい。総合格闘技は楽しいです、最高です。僕の試合を見に来て感動したとか、勇気をもらったとか言ってくれる人がけっこういるので、そういう人たちのためにもう一度頑張ろうと思いました。応援が力を与えてくれますよね。みんなカズ・ファミリーです」
今後は「いつ何時、誰の挑戦でも受けるチャンピオンになりたい」と言う中村だが、意外にもUFCを始めとする世界の舞台に再挑戦したい気持ちは現時点ではないという。
「その時々に応じてだとは思いますが、現時点ではないですね。とりあえずDEEPに参戦しましたみたいな感じでは、チャンスをくれたDEEPに申し訳がないです。DEEPのリングをもっともっとかき回したいし、自分の立ち位置をしっかりとDEEPの中で築きたい。周りの人たちから“お前がミスターDEEPだ”と思ってもらえるくらいに頑張りたいと思います」
一時は引退も考えた中村だが、今は「出来るだけ長く総合格闘技と関わっていけるように、自分自身の心技体をしっかりとしたいですね」と総合格闘技界に骨をうずめる決心だ。34歳で再スタートを切った中村は、応援してくれる人たちのために今後も戦い続ける。
関連リンク
・ゴールドジム Web site
・試合レポート「中村和裕がDEEPミドル級新王者になる!」
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