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2016年3月度MVPスペシャルインタビュー 山崎秀晃(K-1)

 毎月イーファイトが取材した大会の中で、最優秀選手を決める月間MVP。2016年3月のMVPは、3月4日(金)に東京・国立代々木競技場第二体育館で開催された『K-1 WORLD GP 2016 IN JAPAN~-65kg日本代表決定トーナメント~』で優勝した山崎秀晃に決定!(2016年4月12日UP)

PROFILE

山崎秀晃(やまざき・ひであき)
1987年2月5日、京都府出身
身長177cm 体重65.0kg
K-1ジム・チームドラゴン
※詳細は選手名鑑へ

選考理由
1、「左右田、久保と実力者を連続KO」
2、「決勝で優勝候補の野杁を破り優勝」
3、「世界最強決定トーナメントで優勝が期待される」

選考委員
Fight&Life、ゴング格闘技の各格闘技雑誌の編集長とイーファイトの全スタッフ

受賞された山崎選手には、ゴールドジムより以下の賞品(プロカルシウム 300粒 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アルティメットリカバリー ブラックマカ&テストフェン+α 240粒 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。

プロカルシウム 300粒

骨の形成に必要なコラーゲンやカルシウムなどミネラルを含むプロテタイトに、骨の成長を考えたカルシウム、乳果オリゴ糖、CPPなどを配合しました。
マルチビタミン&ミネラル

100%自然素材を使用したビタミン&ミネラルサプリメント。着色料、香料、保存料は一切使用しておりません。
アルティメットリカバリー ブラックマカ&テストフェン+α 240粒

選び抜かれた8種類の成分。トップアスリート達が使用する回復系サプリメントです。
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贈呈:ゴールドジム

 

MVP記念インタビュー
“何で俺はこんなつらいことをやっているんだ”って何回も思った

■狙っていたわけではなく自然に出た必殺の掛け蹴り

 K-1とKrushで活躍してきた-65kgの日本人トップ選手が一同に集い、豪華なメンバーで行われた『K-1 WORLD GP 2016 -65kg日本代表決定トーナメント』。その中でも山崎の強さは抜きん出ていた。

 1回戦の相手は元RISEスーパーライト級王者の左右田泰臣。頑丈な身体で打たれ強さを持ち、全24戦の中でKO負けは一度もない。K-1 WORLD GP 2016 -65kg王者のゲーオ・フェアテックスとは2度対戦し、いずれもゲーオの判定勝ちでKOは奪えなかったタフな相手だ。

 左右田は前へ前へと圧力をかけていく得意の戦い方で、山崎をロープ際やコーナーへ追い詰めて行く。山崎は自分の距離を取れないでいるかのように見えたが、冷静に相手を見ていた。

「1Rの1分30秒過ぎくらいから執拗に圧力をかけてきたので、逆にこっちが圧力をかけてやろうかなと思って。それでも負けるつもりはなかったのでグッと入ってみたら、相手がやりにくそうにしたんです。確かに相手の圧力は強かったんですが、攻撃力の面ではガードの上からまともにもらっても、これなら致命的になるような攻撃力はないと感じたので前に出られると思いました」

 1Rで思い切って前に出た時、左右田がやりにくそうになったことを山崎は見逃さず2Rにつなげた。2Rになると山崎は戦い方をガラリと変えて、前へ出ていきなりパンチを連打し、そのまま左右田をKOしたのだ。

 準決勝では、野杁と並んで優勝候補にあげられていたGLORY -65kg SLAM王者・久保優太との対戦。1Rに久保が右フックのカウンターでダウンを奪い、山崎はいきなりピンチに追い込まれたのだが……。

「正直、3試合の中で一番やりにくかった。最初にダウンを取られたんですが、不思議と焦りはなかったんです。少しずつパンチも当たりだしたので、自分の攻撃をしっかり組み立てていけばこのままどうにかなるんじゃないかって思っていました」

 久保は山崎のパンチで右目が腫れてきたが、それでも致命的となるパンチはもらわず山崎の空振りを誘う。3Rになり、久保がこのまま逃げ切るかと思われたその時、山崎の掛け蹴り(裏回し蹴り、フックキックとも呼ばれる蹴り技)がヒット。ダウンを奪い返し、さらにもう一度掛け蹴りをヒットさせて逆転KO勝ちを収めた。

「あの掛け蹴りは今回のトーナメント用の秘密兵器というわけではないんです。以前から毎日練習していましたし、試合前のウォーミングアップでは普通にやっていました。ここ最近になって攻撃力やヒットポイントを上手く捕らえられるようになって、アベレージ(打率)が上がって来たんです。でもこの時は、狙って出したわけではなくひらめきでした。身体が勝手に動いたもので、考えて出したのではありません」

 掛け蹴りは6歳から始めた伝統派空手の技である。日本空手協会の全国大会で、中学3年生の時に3位、高校1年生では団体で3位に入賞している山崎。

「反則負けがけっこう多かったですね。寸止めが出来なくて振り抜いてしまって、相手の面がずれて鼻が折れたとかありました。友だちと昼休みに、面をつけてボクシングをしていたくらいですから」

 掛け蹴りは空手時代からの得意技のひとつでもあった。

「掛け蹴りで一本を取ったこともあります。足技が得意な方だったので。でも振り抜いたら反則負けになるので、K-1用の殺傷能力のある掛け蹴りはチームドラゴンで作りました。そういう意味でチームドラゴンでは、キックボクシング色に染めるのではなくそれぞれの個性を伸ばしながら、変に矯正するのではなくいい部分を残しつつ、K-1用のスタイルにしてもらえたのがよかったのかなと思います。ステップひとつ、ミドルキックひとつとってもそうです。掛け蹴りの角度や蹴り方は、ほとんどのキックボクサーは未経験だと思うんですよね。だから有効でした」

 実は最初のダウンを奪う前に、山崎は掛け蹴りを一度出して久保にかわされている。

「それも何も考えていませんでした。かすったな、くらいで。でも試合中にそれが頭の中に残っていたと思うんですよね。それで蹴りの高さと軌道を修正してピンポイントでアゴにカカトを当てることが出来ました。狙ったというよりも自然に出ました」

■世界大会ではゲーオが倒れるところを期待していてください

 2連続KOで決勝へ進出した山崎を待ち受けていたのは、昨年8月に対戦して延長戦の末に判定負けを喫している野杁正明だった。今回の優勝候補最右翼と目されていた男である。

「いろいろな意味で負けられない試合でした。決勝戦ですし、リベンジですし、応援してくれる人がいますし……といろいろな想いがあって決勝のリングに立ちました。1R、彼は様子を見てきたので自分の攻撃が上手く当てられたという印象です。2Rが勝負になり、最初に掛け蹴りが当たった感触があって、そこからラッシュにつなげられました」

 1Rと2Rは手数の少ない野杁に対して、山崎が回り込みながら自分の攻撃を上手く当てていた印象。しかし、3Rになると野杁がどんどん前へ出て来て右ローを蹴る。これに対し、山崎は野杁のガードの上から両手でプッシュして野杁を押し戻した。

「絶対に下がってはいけないという気持ちと、何かしたくてプッシュしていたのではなく、とにかく前に出るんだという気持ちが出たのかもしれません」

 判定はジャッジ1名がドローだったが、2名が山崎を支持。山崎が日本トーナメントを制し、6月24日に開催される世界トーナメントへの出場権を手にした。

「無我夢中でした。感覚で戦いましたね。だから3試合とも戦い方が全然違ったと思うんです。僕はその都度に応じて、身体が動きたいように動かして感覚でやるので。正直な話、1回戦は勝つべくして勝てたという感覚はありますが、準決勝はやってきたことが実ったこともありますが運も味方にして、ギリギリの試合になってしまいました」

 目に付いたのは、持ち味であるスピードはそのままに、63kgで試合をしていた時よりも断然パワーアップしていたことだ。

「ゲーオに負けて(2014年11月のK-1 WORLD GP -65kg初代王座決定トーナメント一回戦)、額の陥没骨折の手術が終わってから3~4カ月後にフィジカルトレーニングを始めました。前回の試合くらいから成果がちょっとずつ出てきたって感覚があって、半年くらいでは出てこなかったですね。やはりコツコツと1年くらい続けていかないと。

 トレーナーさんに言われるがまま、自分が何kg上げているかも分からないまま、トレーナーさんに全て任せてメニューを組んでもらって、それを無我夢中でやっているだけです。つらいですけれどね。今回結果が出るまでは“何で俺はこんなつらいことをやっているんだ”って何回も思いながらやっていました。

 変な肉体改造をしたわけではなく、スピードとパワーを上げるような筋力トレーニングを週2回しっかりやるようになって、スピードは落とさずパワーだけ上げるということが出来ました。しっかり65kg仕様の身体に出来たのかなって思います。今回結果が出たことでそれが間違っていなかったという証明にもなりましたね」

 そのトレーニングは特に変わったやり方や特別な器具を使うものではないという。

「自重だけでなくバーベルなども使っています。重いものを単発で上げるのではなく、20~30回上げられる重量を瞬発的に上げるトレーニングをしていました。それでパンチ力が単純に上がるような筋力だけではなく、打たれても堪えられるような身体が出来た気がします。

 インターバルもいつもだと1分が短く感じられたんですが、今回は全試合ほぼ30秒くらいで椅子から立って歩いていたと思います。回復が早くなったというわけではないですが、しっかりと攻撃を受け止められる頑丈な身体を作れた気がします。鎧を身に着けたような感覚ですね」

 次は6月24日に開催される「-65kg世界最強決定トーナメント」。日本代表の称号を背負って、山崎は世界に挑む。

「今は自分ひとりで戦っているわけではなく、ともに声を枯らして涙を流してくれるような仲間たちがいっぱいいます。前回のゲーオ戦でみんなに悔しい思いをさせたので、次の世界トーナメントは必ず優勝することでみんなと喜びを分かち合いたいと思います」

 K-1の-65kgで頂点に立つゲーオに勝つこと、それだけを考えているという。

「1回戦でゲーオと当たってもいいくらいです。今の自分は前回とはレベルが違うと思えるくらいしっかりといいトレーニングが出来ています。もちろん、タイトルマッチをやっても勝つ自信があります。みんなKOを見たいと思うので。ゲーオが倒れるところを期待していてください」

 スピード&パワー、頑丈な身体、そしてキックボクサーたちにとって未知の領域となる伝統派空手の技。よりコンプリート(完璧)に近付いた山崎が、満を持して世界にうって出る。

関連リンク
・ゴールドジム Web site
・試合レポート「山崎秀晃が野杁正明を破り優勝、打倒ゲーオを宣言」
・過去のMVP選手一覧 

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