2016年5月度MVPスペシャルインタビュー 内藤のび太(ONE)
毎月イーファイトが取材した大会の中で、最優秀選手を決める月間MVP。2016年5月のMVPは、5月27日(金・現地時間)タイ・バンコクのインパクトアリーナで開催された『ONE 43-Kingdom of Champions-』でONE世界ストロー級王座を奪取した内藤のび太に決定!(2016年6月13日UP)
PROFILE
内藤のび太(ないとう・のびた) |
選考理由
1、「ONE世界ストロー級王座を奪取」
2、「敵の地元という不利な条件での勝利」
3、「無敗対決を制して無傷の11連勝」
選考委員
Fight&Life、ゴング格闘技の各格闘技雑誌の編集長とイーファイトの全スタッフ
受賞された内藤選手には、ゴールドジムより以下の賞品(プロカルシウム 300粒 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アルティメットリカバリー ブラックマカ&テストフェン+α 240粒 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。
贈呈:ゴールドジムMVP記念インタビュー
終盤になればチャンスは出てくると思っていた
■本音は「自信は正直なかったです。いつも自信ないです!」
メガネに黄色いポロシャツ、頭にはタケコプターを付け、同門のジャイアン貴裕に首根っこをつかまれてなんとも弱々しい表情で入場する内藤のび太。しかし、試合が始まればそのイメージはガラッと一変する。しつこいタックルで死に物狂いにテイクダウンを奪いにいき、前半いくらピンチに陥ろうとも驚異的なスタミナで最後は寝技で逆転してしまう。
弱そうなのび太くんが実はとても強い。そんなギャップのあるキャラクターと必死に勝ちに行く試合っぷりで、のび太は修斗の後楽園ホール大会で人気者となった。いわゆるイロモノであるが、実力は本物。2012年8月のプロデビュー戦から現在まで12戦無敗。8戦目で修斗世界フライ級王座を奪取し、2度の防衛にも成功した。
修斗フライ級で最強の座に就いた“無敵ののび太”が次に狙いを定めたのは、アジア最大のMMA(総合格闘技)プロモーションである『ONE』。初参戦にしていきなり世界タイトル挑戦という待遇を受け、のび太は修斗世界王座のベルトを返上し、退路を断ってその世界タイトルマッチに臨んだ。
5月27日(金・現地時間)タイ・バンコク・インパクトアリーナで開催された『ONE 43-Kingdom of Champions-』。大会前には様々なプロモーションが行われたが、そこに表れたのび太はメガネもタケコプターも、黄色いポロシャツも身に着けておらず、常に隣にいたジャイアン貴裕の姿もなかった。
「ONEが初めてタイでやるということで、向こうのプロモーション的にカッコいいロックバンドを呼んだりして、イベント自体をカッコいい感じにしたかったらしいんです。それで、のび太(のキャラ)は今回やめてくれということでした。多分、僕のこともあまり知らないで呼んだんじゃないですかね」
4月22日に都内で行われた記者会見では「過去最高に勝てる自信がありません……。向こうは英雄的な扱いでしょうし、瞬殺されないように頑張ります」と、いつも通りのネガティブ発言をしていたのび太だが、試合前日に現地で行われた記者会見では「僕はプロの試合で負けたことがないので、まだまだ無敗を継続させるつもりです。デェダムロン選手はしっかり準備しておいた方が良いですよ。僕は自分が持つ全てのスキルをぶつけるつもりなので。ベルトは僕が持って帰ります」と、一転して強気な発言。
ところがこれは「言わされたもの」と、のび太は打ち明けた。この時の本音は「自信は正直なかったです。いつも自信ないです!」だったという。ONEでは徹底してのび太キャラを封印されてしまったのだ。
だが、キャラクターは封印されても、実力が封印されたわけではなかった。
王者デェダムロン・ソー・アミュアイシルチョーク(タイ)は、ムエタイでルンピニースタジアム認定ミニフライ級&ライトフライ級王者となり、MMA(総合格闘技)に転向してからの戦績は6勝無敗。かつてのムエタイ王者がMMA王者となって母国タイへ凱旋し、メインイベントでのび太を迎え撃った。
のび太にとっては初の外国人選手との対戦で、初の海外での試合。タイのとにかく暑い気候も加えて不安要素は多かったが、のび太本人はそれほど気にしていなかったという。
「外国だからとか外国人だとかは特に気にならなかったです。いつも試合があってもなくても同じ練習しかしないので、あまり変わりはないです。日本での試合と特に変わりなく出来ました。暑さに関しても、毎年夏もいつも通りに変わらず練習しているので特に影響はなかったですね」
■前半は耐え忍び、後半に逆転する
1R、のび太はデェダムロンに的確な右ロー、左ミドルキックを何度も蹴られ、得意のタックルは防がれていきなりのピンチに。2Rも強烈な蹴りで身体ごと流されるなど劣勢が続く。しかし、のび太は全く動じてはいなかった。
「いつも1Rはやられることが多いので、特に焦りはなかったですね。いつも通りかな、これで相手が疲れてくれればいいかな、と思っていました。打撃は向こうの方が強いけれど組んでしまえば、というのはあったんですが、意外と腰が強くて手こずりましたね。でも終盤になってくればチャンスは出てくるのかなって自分の中では思っていました」
のび太の読みは的中した。2R途中に早くもタックルが決まってテイクダウンを奪うことが出来たのだ。
「1Rはタックルを全部切られたんですが、2Rから取れたので相手が疲れているのは組んでいる時に感覚で分かりました」
3Rにはテイクダウンからバックを奪い、相手をコントロールしながらパンチをコツコツと当てていった。相手の体力や精神力を削る、のび太得意のパターンに王者は完全にハメられた。
「まあ、その時はいつもと同じ感じでした。相手も疲れてきているのかなというのがあって、もしかしたらこれはいけるかなと思っていました」
そして4R、デェダムロンの蹴りを掻い潜ってのび太は2度目のタックルでテイクダウンに成功。またもバックを奪ってパンチを当てていき、チョークスリーパーへ移行した。地元と王者の意地でしばらく耐えていたデェダムロンだったが、最後はギブアップ。4R4分04秒、のび太が一本勝ちでONE世界タイトルを奪取した。
「特にスリーパーを極めようと思っていたわけではなく。あれはたまたまです。たまたま入ったという感じで。一応、パラエストラ千葉にゲンナロンというタイ人のムエタイトレーナーがいまして、その方にムエタイ対策をしてもらったんですが、すぐ組みに行ってしまったので対策が出来ていたのかは疑問です。ムエタイの打撃に慣れることが出来たのはよかったと思います。地元の相手への大声援? 自分はあまりそういうのは試合の時は耳に入ってこないので、アウェイとかは気にしていなかったです」
世界にも通用する実力と強心臓ぶりを発揮し、事実上の世界二冠王となったのび太が次に目指すことは何か。
「今後はONEのベルトを防衛していくことが目標です。ONEで頑張っていきたいと思っています。ずっと防衛したいですね。チャレンジしてよかった、と思っています」
次回からは王者の権限で、のび太キャラ全開で行きたいというのび太。『ドラえもん』は東アジア・東南アジアを中心に高い人気を誇り、アメリカ・ロシア・スペイン・中近東でもアニメが放映されるなど世界的に知られている。その『ドラえもん』ののび太のように弱々しい内藤のび太が、ゴングが鳴れば一変して“無敵ののび太”に変貌し、必死に相手に喰らいついていって最後は逆転勝ちする。後楽園ホールを熱狂させてきたファイトスタイルで、アジア、そして世界を熱狂させる日も近いのかもしれない。
関連リンク
・ゴールドジム Web site
・試合レポート「のび太、敵地で世界王座奪取」
・過去のMVP選手一覧
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