「千葉発世界へ」GLORY RISEトーナメントに挑む白鳥大珠に植草歩がエール
2月21日(土)千葉・幕張メッセイベントホールにて開催される『ABEMA presents RISE WORLD SERIES 2024』で、GLORY RISE FEATHERWEIGHT TOURNAMENTに参戦する白鳥大珠(TEAM TEPPEN)と、通算4度の年間世界王者、全日本選手権4連覇など数々の戦績を残し、今年現役を引退した空手選手・植草歩による対談が主催者より届いた。(聞き手:布施鋼治)
–今回は空手の世界でレジェンドと言われている、植草歩さんをお招きして白鳥大珠選手との対談を行います。キーワードは『世界』という事で行いたいと思います。よろしくお願いします。
白鳥大珠(以下、白鳥) よろしくお願いします。
植草歩(以下、植草) よろしくお願いします。
—お二人の共通のキーワードとして“空手”というものがあります。白鳥選手は少年時代に極真空手をやっていて、植草さんはついこの間まで伝統派空手の第一線で活躍されていました。お二人は空手をやっていて良かったと思いますか?
白鳥 僕はそうですね、6歳からの極真空手が始まりですけど、それが格闘技の原点であってそれがなかったら全く今のスタイルもなかったかもしれないし、もしかしたら今格闘技をやっていないかもしれないので、6歳から空手をやってきた事が今に繋がっているなと思います。自分の大事な人生の分岐点というか、空手を始めた事で今があるなと思っています。
—植草さんも空手抜きの人生は考えられないという風に思いますか?
植草 自分はスタートが細かったんですけど、空手をやったから性格が変わったというか。別に内気ではないけどポジティブではないみたいな。明るいし人とも喋るしコミュニケーションもできるけど、ここぞという場面で絶対に勝ちたいとか、獲りたいものを獲るために最後までやり続けるとか、そういった部分が空手を通してだったりチャンピオンという立場になった事によって、変われた部分があるなと思います。
—白鳥選手も空手を始めて、性格的にポジティブになったり変わったりした部分はありましたか?
白鳥 元々性格的に落ち込んで病むようなタイプではないんですけど、ポジティブにはなりますね。今はキックをやっていますけど、小さい子に勧めるとしたら空手から格闘技に入るのってすごく良いなと思います。武道なので礼儀作法はもちろんですけど、心技体の全てを育ててくれる場であると思います。
—植草さんもついこの間まで現役でしたけど、いまだに空手着に袖を通すと気持ちが“ビシッ”となったりしますか?
植草 なるかもしれないです(笑)。今は指導者としてやっているので、生徒たちの前ではちゃんと凛とした姿でいなければと思っています。帯を締めるという動作が結局気を締めるとか、女の子だったら髪を結うじゃないですか。そういったものが一つ心を締める瞬間なのかなとか、この髪をゆるっとしたまま指導はしないから、そういう部分でオンオフが切り替えられる“道着を着る”というスイッチがあって良いのかなと思います。
—白鳥選手も空手家時代は、道着を着たら気持ちが締まる事はありましたか?
白鳥 僕は中学2年生までしかやってなかったんですけど、元々いた道場が極真で、それを離れて独立した道場だったんです。実家の近くに道場があるので、少し前にポスターを届けるのと挨拶も兼ねて僕の師匠である成嶋先生の所に久しぶりに行ったんですよ。そしたら「いつでも遊びにおいでよ」って道着をプレゼントしてくれて、今新しいのがあるんです。今年2回くらい道場に行っているんですけど、久々に道着を着たりすると、気が引き締まるというか原点に帰れますね。
––今ちょうど極真という話が出ましたが、植草さんがやっているのは伝統派じゃないですか。でも今は日体大柏高校の男子部員に極真空手をやっていた方もいらっしゃるんですよね?
植草 毎年1人だけなぜか入ってきて、極真育成学校みたいになっていて(笑)。今年3年生の男の子が去年の千葉県選手権で優勝して、間合いも違うしポイントの取り方も違うのにその中で勝てたのはすごいなと思いました。それを自分がインスタにあげたらちょっとバズって、極真の方が喜んでくれたり。逆に可能性というか、極真の子が高校から伝統派の高校空手をするのって、部活動で「みんなで青春をしたい」じゃないですけど部活として何かするっていうのはやっぱりプロにはないから、そこで礼儀作法も極真とはまた違うし、上下関係を学ぶとか学校の部活動としての活動をしたいっていうので来てくれて、彼が千葉で1番になって。今年は極真の世界チャンピオンだった子が来て、来年に最低でも千葉県で1番にしてあげられたらなと思っています。高校を卒業したら総合格闘技の道に行きたいと言っているので、そこで3年間のブランクが空いちゃうかもしれないんですけど、月1くらいで極真の道場に行ってるんですよね。私は筋トレとかラントレもさせますし、当てる突き方も教えたりするので、伝統派空手ってポイントなので見せ方とかも教えているので、若いうちに色んなことを吸収することによってその子が柔軟になったり、また次の別のステージに行った時にそっちでもチャンピオンになれたら彼にとっても良いのかなと思って指導しています。
—白鳥さん、日体大柏高校の空手部に行って「MMAも良いけど、キックも良いよ」ってスカウトするのはどうですか?(笑)
白鳥 自分がですか(笑)。でもすごいですよね。極真で世界チャンピオンからやって伝統派空手にシフトチェンジするのは。正直似たようで全くの別競技というか、間合いが違いすぎるじゃないですか。僕がキックに転向して練習して、慣れるのに相当時間がかかりましたからね。
植草 やっぱり極真とキックって、素人の自分からしたら間合いも近いしすごく似ているんですよ。顔に当てる当てないはありますけど、ローキックの部分だったりとかお腹を当てる部分は似ているなと思います。
白鳥 そうですね。やっぱり顔面への対処っていうのが全然ダメで、そこが1番てこずったんですよ。
植草 生徒の子も顔に来た攻撃に対して無反応ですね。自分たちからしたら体をいなすと言うか、手を添えたりしたいのに、極真の子ってそのまま顔で当たりに行くので「受けろよ、手添えろよ」って言うんですけど、当たり前が違うから仕方ないですよね(笑)
—逆に植草さんは現役を引退された時に、プロのキックの世界からスカウトされたと聞きました。
植草 お話はありましたけど年齢も年齢だし、オリンピックまではずっと厳しくキツい事もしてきたので、また1からあんなにキツいことやりたくないなと思いました。
白鳥 オリンピック期間とか大会前ってどういう生活になるんですか?
植草 空手ってどちらかというと学生スポーツだったので、授業が終わってから空手ってなるから午前中にフィジカルとかラントレをして夕方に空手の練習をしていました。あとテクニック種目なので練習が長いんですね。
—どれくらいの時間練習していたんですか?
植草 空手は正直3時間から4時間で、フィジカルも3時間やっていたんですけど、体重を増やしながら筋肉を増やすトレーニングをしていたので、筋肥大させるためにハイウェイトでのトレーニングもしていました。その分太ってはいけないから有酸素をしてフィジカルをしてアジリティなどで心拍数を強くして、ご飯を食べてリストして空手という感じでした。空手を午前と午後で5時間ずつやった日もあって。すごい繊細というか、綺麗に見せる動きとか蹴りもそうですし、そこに柔軟性も必要なので長くなってしまいますね。良くないって分かっているけど長くなっちゃうんですよね。
—キックボクシングとは対照的ですね。
白鳥 自分も20代前半とか10代の頃は3,4時間とか練習していたんですけど、今は2時間以上はやらないですね。
植草 でもそれが良いと思う。若い時は体も作らなければいけないしそこにまだスキルも足りないから、どうしても高校生って長くても仕方ないじゃんって思うんですけど、ここまで来たらプロだし、ある程度のスキルもテクニックもあるってなった時に、研ぎ澄ましていくというか質を上げていく方になるから、自分がオリンピックまでに足りなかった事ってここだなって思うんですよ。休むことも大事だし、オンオフのリカバリーも大事だし、ただやれば良いとか練習しないと心が満たされなかったから、常に毎日「空手しんどい」っていう状況じゃないと満足できなかったんです。そうなると練習の質も落ちるし、競技としての中身も落ちていくなと今は思うので、白鳥選手の考えはすごく合っていると思います。
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