【コラム】“難攻不落の王者”クルーズを破って
UFCバンタム級王座を奪取したコーディ感動秘話
2016年12月31日(日本時間)にラスベガスで行われた『UFC 207』にて、王者ドミニク・クルーズから何度もダウンを奪いバンタム級王座を奪取したコーディ・ガーブラント。25歳の新王者の生い立ちは? そして彼が王座戴冠直後にベルトをプレゼントした少年とは? 感涙のストーリーがそこにあった。(文:稲垣 收)
■激闘の末、手にしたチャンピオンベルトを少年にプレゼント
非常に激しい打撃戦だった。両者はともに変則的な構えから、パンチや蹴りを繰り出した。
試合中、挑戦者コーディは王者クルーズに「ほらほら、行くぞ!」と何度も言葉で挑発。王者も「お前の打撃なんか当たらないさ!」と言い返していたが、3Rにコーディのハイがヒットすると無口になった。
「あれで勝負の流れが変わったんだ」と、コーディは試合後に振り返る。
4Rにはパンチで何度もダウンさせ、3-0の判定でコーディが王座を奪取した。
クルーズは“難攻不落の王者”と呼ばれ、あのデメトリアス・ジョンソンにUFCで唯一土をつけた男だ(※デメトリアスはクルーズに敗れてから、1階級下のフライ級で王者となり、9連続防衛中)。
これまでのクルーズのキャリアで唯一の敗戦は、コーディの所属するチーム・アルファメールのリーダーであるユライア・フェイバーに2007年に喫したものだったが、その後ユライアには再戦でリベンジし、ラバーマッチ(1勝1敗で決着をつける試合のこと)でも圧勝している。
アルファメールでコーディの先輩であるジョゼフ・ベナヴィーデスも、クルーズには2度にわたって苦杯を舐めさせられた。また、クルーズが負傷で長期欠場中にバンタム級王者になっていたT・J・ディラショー(元アルファメール所属)も、復帰したクルーズに昨年1月、王座を奪われた。
したがってクルーズはチーム・アルファメールにとっての“怨敵”だった。それを25歳の若武者コーディが撃破し、チームの悲願“打倒クルーズ”を達成したのだ。
今回の試合はファイト・オブ・ザ・ナイト(大会ベスト・ファイト賞)にも選ばれる大激戦で、3-0の判定で勝利したコーディの顔も傷だらけだった。
しかし傷だらけになりながら掴んだこのチャンピオン・ベルトを、コーディは試合直後のオクタゴンの中で、ある少年の腰に巻いてあげた。しかも、この本物のベルトを少年にプレゼントし、自分はプラスティック製のレプリカ・ベルトを手元に置く、と言うのだ。
コーディが文字通り自らの血と汗で勝ち取ったベルトをささげられたこの少年は、いったい誰なのか?
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