RENAを絞め落とした浅倉カンナのチョークスリーパー秘話=12月度ベストファイターインタビュー
毎月イーファイトが取材した大会の中から決める格闘技月間ベストファイター賞。2017年12月のベストファイターは、12月31日にさいたまスーパーアリーナでRIZIN女子スーパーアトム級トーナメント優勝を果たした浅倉カンナに決定!(2018年1月22日UP)
PROFILE
浅倉カンナ(あさくら・かんな) |
選考理由
1、「2試合連続一本勝ちでトーナメント優勝」
2、「決勝戦でRENAを絞め落とす衝撃決着」
3、「まだ20歳と今後さらなる活躍が期待できる」
選考委員
格闘技雑誌Fight&Lifeとイーファイトの全スタッフ
受賞された浅倉選手には、ゴールドジムより以下の賞品(プロカルシウム 300粒 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アルティメットリカバリー ブラックマカ&テストフェン+α 240粒 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。
贈呈:ゴールドジムベストファイター記念インタビュー
「最後のチョークは“そういえばこれイメージしていたな”って思いました」
■RENAさんの誕生日にメッセージを送ったんです、そうしたら…
2017年12月は格闘技界のシーズンピークということもあり多くのビッグマッチが開催され、ベストファイター候補も多数生まれた。
その中から12月のベストファイターに選ばれたのが、大みそかの『RIZIN』で行われた女子スーパーアトム級トーナメントで優勝を果たした浅倉カンナ(20=パラエストラ松戸)である。2試合連続一本勝ち、しかも決勝では優勝候補だったRENAを絞め落とすという衝撃的決着で大きなインパクトを与えたこと、そして今年成人式という将来性あふれる若さなどの理由から選出された。
浅倉はレスリングからMMAに転向し、17歳でプロデビュー。2016年12月のRIZINに大抜擢され、女子高生ファイターとして大きな注目を浴びたが、アリーシャ・ガルシアに敗れた。この敗北に一大奮起し、翌2017年2月に『DEEP JEWELS』で下牧瀬葉月をチョークスリーパーで葬ると、4月のRIZINではアレクサンドラ・トンシェバに勝利。8月のDEEP JEWELSではベテランの石岡沙織と「RIZIN女子スーパーアトム級トーナメント出場者決定戦」を争い、見事勝利して出場権を手に入れた。
10月のトーナメント1回戦ではシルビア・ユスケビッチにも完勝。大みそかの決勝大会へと駒を進め、準決勝では外国人選手の優勝候補であったマリア・オリベイラを腕十字で切って落とした。
迎えた決勝戦。相手はこれまでRIZIN女子部門をけん引してきたシュートボクシング世界女子フライ級王者のRENA。ダントツの優勝候補である。浅倉にとってRENAは特別な想いがある選手だった。高校1年生でレスリングを辞め、何をしていいのか分からず悩んでいた時期に、初めて見た格闘技の試合がシュートボクシングのリングで活躍するRENAの試合だった。一時期はシュートボクシングをやろうかとも思ったという。
加えて2年前、RENAがMMAを始めた時期から一緒に練習もしていた。
「まさかその数年後に試合をするとは。一緒に練習をやったり一緒に帰ったりしていて、仲良くさせてもらっていたので試合は凄くやりにくかったです。本当はやりたくなかったんですが、やるなら決勝はRENAさんと、と思っていました。RENAさんの誕生日(6月29日)にメッセージを送ったんですよ。トーナメントでもしかしたら試合があるかもしれないですけど、その時はお願いしますって。そうしたら“その時はその時だから”って言ってくれて、気持ちが楽になりました。ああ、そういうものなんだって思えて」
最初のRIZINで敗れて以来、苦手な打撃も強化していた浅倉だが、RENA戦では打撃勝負は一切考えていなかった。
「打撃で渡り合おうという気は全くなかったです。相手が打撃の選手なので、自分の得意な部分で勝負しようと考えていました。プレッシャーをかけてテイクダウン、寝かせてからが勝負だって思っていましたね」
しかし、簡単にはテイクダウンを奪うことは出来ず、浅倉のタックルは切られ、組み付いても立ち上がられてしまう。打撃のプレッシャーもかかる中、焦りはなかったのか。
「そんなに焦らなかったですね。切られても大丈夫、絶対にいけるって信じていました。練習をやっている時から絶対に切られるからって言われていましたし、切られた後の対処の練習もしてきたので想定内でした。タックルを切られることもあるんだって思って練習していたので、切られても動揺はしなかったです」
そしてついに、テイクダウンに成功する。浅倉はすぐにバックを奪い、流れるような動きでチョークスリーパーを極めた。
「最初からチョークを狙っていたわけではなかったんです。動きに合わせてって感じで、直感でチョークにいけるって思いました。でも、自分で試合前にイメージしていた時に、チョークのイメージが一番沸いていたんですよね。腕十字だとRENAさんも対処方法を知っているのでひっくり返されるかな、中途半端に行くと自分が下になってしまうパターンがあるからリスクが大きいなって。
そういう部分で、バックに回ってからチョークが一番取りやすいのかなっていうのはイメージとしてありましたね。試合内容を全く覚えていなくて、映像で見返して“こんな感じだったんだ!”って初めて分かったんですが、最後のチョークは“そういえばこれイメージしていたな”って思いました」
イメージトレーニングが功を奏したのか、身体が勝手に動いた。
「足のロックはキツくしていました。まずは相手の身体を全部伸ばそうかと考えていたんですが、自然と腕が首に回ったんです。自分でもビックリしました。あ、入ったって。腕を回した時にもう入っていたので、これはイケると思いました。だから、チョークがいけそうだからいこうって感じではなかったんです」
RENAはタップ(ギブアップの意思表示として相手の身体かマットを2回以上叩く)せず、そのまま絞め落とされて気を失うという衝撃的な結末。レフェリーが止めに入るまで、浅倉は無我夢中で絞め続けた。
「RENAさんが落ちたのは全然分からなかったです。こんなに入っているのにまだタップしないんだって、こっちも必死でした。勝った瞬間は嬉しかったです。でも立ってすぐに“あ、RENAさん!”って素に戻ってしまいました」
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