田中恒成、4階級制覇視野も、田口戦の課題の改善が今一番のモチベーション=2019年3月ベストファイターインタビュー
毎月イーファイトが取材した大会の中から決める格闘技月間ベストファイター賞。2019年3月のベストファイターは、3月16日(土)「岐阜メモリアルホールで愛ドーム」で開催されたプロボクシング『WBO世界フライ級タイトルマッチ』で元IBF・WBA世界ライトフライ級王者で挑戦者の田口良一(32=ワタナベ)を下し初防衛に成功した田中恒成(24=畑中)に決定!(2019年4月12日UP)
PROFILE 田中恒成(たなかこうせい) 元WBO世界ミニマム級王者。元WBO世界ライトフライ級王者。現WBO世界フライ級王者。井上尚弥と並ぶ日本最速タイ記録となるプロ8戦目での世界2階級制覇王者。 畑中ボクシングジム所属 |
選考理由
1、「待ち望まれた元WBA&IBF世界ライトフライ級統一チャンピオンの田口良一と熱戦を展開し勝利」
2、「3階級目の初防衛戦に勝利」
3、「激闘を制し更なる自身をつけ今後の統一戦、4階級制覇に期待」
選考委員
格闘技雑誌Fight&Lifeとイーファイトの全スタッフ
受賞された田中選手には、ゴールドジムより以下の賞品(アルティメットフレキシジョイントUC-2 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アミノ12パウダー 1個と、イーファイトより記念の盾が贈られます。
贈呈:ゴールドジムベストファイター記念インタビュー
「田口戦の課題の改善が今一番のモチベーション」
■1年半の時を経て対決が実現
2019年3月16日(土)「岐阜メモリアルホールで愛ドーム」で開催されたプロボクシング『WBO世界フライ級タイトルマッチ』で対戦した王者田中恒成(23=畑中)vs挑戦者・田口良一(32)。
2017年大晦日に開催予定だったこの黄金カードは田中の怪我によりキャンセルされ、1年半の時を経て王者の立場が逆転する形で田中の地元岐阜で開催されることとなった。
世界最速12戦無敗で3階級制覇に成功し、現在WBO世界フライ級王座に君臨する田中、対して。元世界ライトフライ級2団体制覇王者の田口は、昨年5月にタイトルを失い無冠での再起戦。兼ねてより不安視されていた減量苦から解放するために階級を上げてのチャレンジマッチがいきなりの世界挑戦となった。
開始から距離が噛み合った両者は得意の中間距離で白熱の打ち合いを見せ観衆の期待に応えて見せた。すると3ラウンド中盤、危険な距離で打ち合う中、田口の渾身の右フックをこめかみに受けた田中は「少し効いた」とのちに語るように支える左足の膝を折りバランスを一瞬崩す。ただ、ここで冷静だったのは田中の真骨頂、距離を詰め田口のパンチを殺すと追撃を許さずラウンド終了のゴングまで田口の打ち気を外らせ、うまさを見せた。
ここから田中は距離を掌握すると、先制打でペースをがっちり握る。田口の距離を奪った田中は田口からの被弾を最小限にポイントアウトに成功。危なげない試合運びで中盤を制した。
好機を逃す形となった田口だが、キャリアは嘘をつかない。サイドの動きを多用するとなんとか当たる距離を見出して対抗して見せる。白熱した打ち合いで一歩も引かない両者だが、アッパーを多用し有効打は田中が優勢を保ったままで試合は進んだ。田中のスピードはさらに上がり田口の付け入る隙は減る一方となる。
試合の後半に入ると、田中の隙を突くベテランの田口は息を吹き返したかに見えたが、田中はそこもボディ打ちで応戦、ギリギリの線で主導権を渡さない上手さを見せた。
終盤になると、田中は再度ギアを上げ、田口を倒すためにアッパーから左右のボディを的確にヒット、攻勢を強め畳み掛けるが、田口も維持の打ち合いに一歩も引かず。戦前の予想通り激戦となり、最終ラウンドで渾身の打ち合いののち終了のゴングを聞いた田口は、田中にもたれかかりしばらく動かないほどの消耗を見せた。
判定結果は最大10ポイント差をつけ、ジャッジ3者の支持を集め田中がフライ級タイトルの初防衛に成功した。
■勝因と反省、そして試合の決まっていないこの時期の一番のモチベーションとは。
現在田中は、オーストラリアでしばしの休息をとる。「一ヶ月経ちましたが試合を振り返って、まず良かった点はボディーへ効果的なダメージを与えて前へ出た事。アッパーを多く使ってガードの隙間からパンチを当てた事。反省点はガードがルーズだった事」と振り返る。
田中は3Rに田口の左フックを貰って一瞬ヒザに来たが、すぐに立て直した。その強さの一つには下半身と体幹の強さにもある。田中は試合前の調整で毎回走り込みの合宿を組む。通常の練習で行う階段ダッシュに加え、より負荷をかけたダッシュで下半身に並々ならぬ自信を持っている。さらにフィジカルで鍛えた体幹の強さがパンチへの抗体を作り上げ、冷静な判断を可能としていることも勝因に繋がっている。
更に反省点として「フィニッシュまで持っていけなかった事」と冷静に試合を振り返る。「前へプレッシャーをかけるだけではなく、自分が力強く打てる距離を保ち続ける事と、単発ではなくコンビネーションでもっと上下に打ち分けれていたらフィニッシュまで持って行けたのではないかと思います」とあの状況下でどうしたらKOできたのかを自身で分析した。
今後については「今、頭の中にある今後の目標は可能であるならば統一戦。それに加えて四階級制覇も視野に入れています。何よりも今回の試合で出た課題を次の試合までに少しでも改善できるようにする事が、試合の決まっていないこの時期の一番のモチベーションです」と先を見据えた。
●受賞者・田中恒成が喜びを語る
今回のベストファイター受賞について田中は「この賞は初めての受賞になるので、イーファイトから評価が貰え大変嬉しく思います」と喜びを語った。
なお今回受賞した田中には、イーファイトより記念の盾と、ゴールドジムからサプリメント3種類が贈られる。
サプリメントの摂取に関しては「普段はプロテインやスーパーヴァーム、ヴァームウォーターを飲んでいます」とプロティンと燃焼系アミノウォーターであると語った。
(写真:取材=植田洋介)
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