【月間ベストファイター・8月】武居由樹、5戦全勝でOPBF東洋太平洋王者に「僕はK-1スタイルのボクサー」

■強さの秘訣は“K-1スタイルのボクサー”「ボクサーにはない距離感やリズムがある」

　POWER OF DREAM時代からハードな練習を積んできた武居。今回はいつにも増して、過酷な練習と向き合った。「合宿には2回行って走り込みました。基本は大橋ジムに週6回、POWER OF DREAMの朝練を週に1〜2回、八重樫さんのフィジカルを週2回ほど、後は階段トレーニングなどもしています」という。

OPBFのベルトを巻いた武居

「K-1時代と同じかそれ以上に練習をやっていて、今の方が濃い内容。K-1時代よりスパーリングをかなり多くやってきました」との充実ぶり。パンチのみに特化した練習で「K-1時代より当たり前ですが、パンチ力は自然と付いた」と進化を実感している。

　自身のスタイルを純粋なボクサーとは異なると分析する武居。「僕にはボクサーの人にはない距離感やリズムがある。言うならば、K-1スタイルのボクサーです。ボクサーとは絶対に違いますね」と語る。「綺麗なボクシングでもなくて、スピードもそんなにあるわけではないですが、独特のリズムなので（相手にとっては）やりにくいのかなとは思います」と自身のパンチが当たる理由を考察する。

　圧巻のKO勝利を連発しながらも「これからはもっとボクシング技術を上げていきたいですし、相手が強くなるのでラウンド数も増やして、フィジカルやスピードも上げたい」と自身の戦いには満足は行っていない様子。K-1で培った打撃とボクシングスキルの融合が生まれ、これまで以上に強い武居が期待できそうだ。

■WBC世界ランク入りした武居、今後は世界トップランカーと「やれ」と言われたら行きます

豪快なパンチで襲いかかる武居（右）

　今回の勝利でWBC世界14位にランクインした武居。「ランクインについては光栄で嬉しいです。ですが、自分がそのランクの自信がないので、これから頑張っていきたい」と謙虚だ。久しぶりのベルト戴冠に「嬉しいです」と笑顔だ。

　気になるのは今後の対戦相手だ。ファンからは「WBC同級1位のルイス・ネリと対戦してほしい」という声もあるが、驚くことにネリの試合を見たことがないという。「この前初めて今のWBC王者（フルトン）の試合を見たくらいなので。世界について詳しくないです（笑）」と語る。ただフルトンについては「強そう」というが、具体的な分析やイメージは湧いていないようだった。

　世界ランキング上位の選手たちとは「早くやりたいです。しっかり実力と結果をつけて辿り着きたい。現時点ではまだまだかなとは思います。でも『やれ』と言われたら行きます。プレッシャーはないですし、強い選手と試合が決まればワクワクするので、練習に対するモチベーションも上がる」といつでも戦う覚悟はある。

　試合後のインタビューでは、1階級下げたバンタム級参戦の可能性も語っていた武居。今回改めて聞いてみると「バンタム級も考えているので、チャンスがあれば行くかもしれないです。僕自身も、スーパーバンタム級では大きい方ではないと感じていて、バンタム級の方が体格的にも合っているのかもしれない」とベンタム級にも興味があるようだ。

ファンの歓声に応える武居、TKO勝利後の様子

　同門の井上尚弥がスーパーバンタム級への階級アップを考えているが「そこまで（井上の階級アップについて）考えたことはないです。世界タイトルにチャンスがある方で行きたいです」とシンプルに答える。世界へ一番近い階級でベルト獲得を目指す構えだ。

　また、今年6月の『THE MATCH 2022』で武尊を撃破した那須川天心がボクシングに転向することついては「天心選手が来てくれれば、ボクシング界が盛り上がるので楽しみ。（対戦は）本当にタイミングがあればという感じで、お互いがチャンピオンだったり、どちらかが挑戦するような時ですね。いろんな人が楽しみにしてくれるようなカードになると思う。負けられないので、1個ずつ勝ち続けていきたい」とコメント。今後の武居のボクシングキャリアが楽しみだ。

■武居が受賞の喜びを語る

　今回ベストファイターに選出されて「本当にボクサーになって初めての受賞で光栄だと思っています。また受賞できるように頑張ります」と喜びを語る。サプリメントについては「普段はHMBを摂っています」と教えてくれた。最後に「本当にここからが大変になってくるし、強い相手がたくさん出てくるので1試合1試合インパクトのある試合で勝っていきたいです。応援よろしくお願いします」とファンへメッセージを送った。

（取材/文＝堀内芳啓、編集＝イーファイト編集部）