【月間ベストファイター・6月】武居由樹、K-1世界最強トーナメントを全試合KOで制した独特なステップとパンチに迫る
毎月イーファイトが取材した大会の中から決める格闘技月間ベストファイター賞。2019年6月のベストファイターは、6月30日(日)にK-1初の両国国技館にて行われた『K-1 WORLD GP 2019 JAPAN ~K-1スーパー・バンタム級世界最強決定トーナメント~』で全3試合をKO勝利し優勝を果たした武居由樹(23=POWER OF DREAM)に決定した。
PROFILE 武居由樹(たけい・よしき) 現K-1 WORLD GPスーパー・バンタム級王者 かつては悪ガキ少年だったことで知られ、中学時代に現在もセコンドに付く古川誠一会長と出会いPOWER OF DREAMで練習を積む。2016年にはトーナメント制覇を果たして初代K-1 KRUSH FIGHTバンタム級王座を獲得。 2017年4月には武尊が返上したベルトをかけて、第2代K-1 WORLD GPスーパー・バンタム級王座決定トーナメントに出場しK-1のベルトを戴冠した。その後も世界の強豪相手にKO勝利を重ね、「K-1 AWARDS 2017」では、K-1のカリスマ武尊をさしおいて年間MVPに輝く。 2018年にも連勝は止まらず、ムエタイの強豪ヨーブアデーンにも勝利。2019年の初戦となった「K’FESTA.2」ではサンドロ・マーティンを1RKOで沈めて鮮烈なインパクトを残す。そして、6月には自身が熱望していたK-1スーパー・バンタム級世界最強決定トーナメントに出場し、3試合全てをKO勝利して優勝。世界最強を証明した。 |
選考理由
1、「強豪がひしめくトーナメントを全3試合KOで勝利し制覇」
2、「K-1王者であると同時に、世界最強決定トーナメントを制覇したのはK-1史上初」
3、「K-1のカリスマ武尊不在の大会で、ビッグインパクトを残して盛り上げた」
選考委員
格闘技雑誌Fight&Lifeとイーファイトの全スタッフ
受賞された武居選手には、ゴールドジムより以下の賞品(アルティメットフレキシジョイントUC-Ⅱ 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アミノ12パウダー 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。
贈呈:ゴールドジムベストファイター記念インタビュー
◾️武居のK-1を引っ張る覚悟「チャンピオンとして負けられなかった」
6月30日にK-1初進出の両国国技館にて行われた 「K-1 WORLD GP 2019 JAPAN ~K-1スーパー・バンタム級世界最強決定トーナメント~」ではプレリミナリーファイトも含めると、全16試合が行われ、その中の11試合がKO決着という白熱した大会であった。メインイベント終了後、10500人と超満員になった国技館の中心に居たのは武居由樹だった。
今大会は、本来K-1スーパー・フェザー級王者の武尊が出場予定であったが拳の怪我で欠場。カリスマの不在を受けて武居は代わりにK-1を背負うと会見やインタビューで宣言していた。今回のトーナメントでは若い日本人選手やアレックス・リーバスといったような強豪外国人選手も揃った。ワンデートーナメントでは怪我などによって勝ち上がることができない場合もあるが、宣言通り武居は全試合KOでトーナメントを制覇した。
「チャンピオンとして絶対に負けられないという気持ちがあったので3試合無事に勝ててホッとしています」と振り返り、武尊の不在もあったため「初めてK-1を引っ張るという気持ちを持って戦いましたし、チャンピオンとしての自覚を持って戦って優勝することができたので大きく成長できたと思います」と自身の成長を大きく感じた大会になったようだ。
◾️トーナメントを振り返って「リーバス選手以外はパワーを感じなかった」
1回戦では、第2代K-1 WORLD GPフェザー級王者・村越優太に勝利したアレックス・リーバスを1Rから素早い動きで攻めて圧倒、終盤に左の三日月蹴りをボディに突き刺すとリーバスの動きが鈍る。さらに、リーバスがマウスピースを吐き出すほどの強烈なパンチをボディに叩き込んで圧巻の悶絶KO勝利を収めた。
魔裟斗が「鉄球のよう」と絶賛していたスピード、パワーと共に55kgとは思えないパンチでKOした武居。武居にそのパンチについて聞いたところ「入門時から会長とやってきた”強く打つ”という感覚が今でも生きていると思います。試合中には、これまでの経験が生かされて自然とパンチが出ると言った感じです」と古川会長との練習の成果の賜物だという。
強いパンチを打つには体軸を安定させたフォームや力の配分、効かすにはパンチを打つときに気づかれないタイミングや呼吸が必要となる。強い対戦相手にその条件にあった強いパンチを出すには、誰と戦っても、その強いパンチを出す練習量で磨かれていく。独特のステップを踏みながら強いパンチを出すタイミングや姿勢も必要になる。
今大会で決勝で戦った玖村将史(20=K-1ジム五反田チームキングス)は試合後に「軽く打ってるようで、みんな倒れてるから、何でと思ったけど、武居とやってみて見えないパンチだから効くと思いました。スピードは負けてないけど、当てるタイミングが上手だと思います」と語っている。
そのタイミングにあの独特なステップは欠かせないだろう。
準決勝でも玖村兄弟の兄である玖村修平と激突し、パンチ連打で1RKO。強烈なパンチ力に加えて際立ったのは流れるようなコンビネーションと、前後左右の動き回る軽快なステップだった。魔裟斗も解説でこのステップについて触れており、解説では「猫のようなステップ」だと語っていた。
このステップについて武居は「2年前のトーナメントでは、一番体が細くて(それまで武居は53kgで戦っていた)自分のパワーでは通じないと思いました。そこで、パンチをもらわないためには動かないといけなくて、今のステップの形が戦っていく中で身につきました」と戦いながら自然に身についたものだと語った。常にその場に止まらない軽快で独特なステップ。プロボクシング世界3階級制覇王者のワシル・ロマチェンコはバレエのステップを応用し当てさせない戦い方で、それを思い起こさせたが、武居は戦いの中で身につけたという独自のステップでリング上を動き回った。
決勝もそのままの勢いで、弟の玖村将史と対戦し絶妙なタイミングのパンチとフィニッシュの左の蹴り上げで、2R失神KO勝利を収めてトーナメントを制覇。圧巻という言葉以外は見つからないほどの戦いぶりであった。3試合戦って「重くて速いリーバス選手の右パンチが効きました」と語るも「それ以外の試合(準決勝と決勝)の試合では、他の選手のパワーは感じなかったです」と語る。早いKOと当てさせないステップがそうさせているのだろう。
■さらなる高みへ武居、「ゆくゆくは2階級制覇をするつもりです。フェザー級でやっても面白いかな」
完璧に洗練された実力を今回のトーナメントで発揮した武居の目指すレベルはさらに高いところにある。「パンチを貰ってしまったところもあったので、そこも修正して誰にでも勝てないと思われる選手になりたいです」とこれからさらに相手にパンチを当てさせないスタイルを構築していくという。
スーパー・バンタム級では敵なしといえる武居に、2階級制覇を目指していくのか問うと「時期は分からないですけど、ゆくゆくは二階級制覇をするつもりです。フェザー級に上げて違う選手と戦うというのも面白いと思います」といずれは階級変更を見据える。現在フェザー級には武居がデビューしたての頃に敗戦を喫した西京春馬など、多くの選手が揃っているため新たな展開にも期待だ。
次回の対戦相手は未定だが、武居は次戦に向けて「もっと自分のスタイルをパーフェクトにしていきたいです、あとはカッコ良い選手になりたいです。(具体的には)もっと憧れてもらえる選手になりたいです」と子供やK-1を知らない人にも憧れの存在でありたい」と意気込んだ。
K-1世界王者にしてまだ23歳と若く、これから更なる成長を見せてくれるであろう。最後に「これからも会場が沸くような試合をして、さらに派手な試合を見せられるようにやっていきます。これからも応援よろしくお願いします」とファンにメッセージを送った。
■受賞者・武居が喜びを語る
今回のベストファイター賞は、武居にとって2回目の受賞となる。そのことについて武居は「本当に2回目の受賞ということで光栄です。自分なんかが選んでいただいて感謝しています」といつも通り謙虚にコメント。圧倒的実力でトーナメント制覇を達成したが、自身ではまだ納得のいく試合はできていないようだった。
なお今回受賞した武居には、イーファイトより記念の盾と、ゴールドジムからアルティメットリカバリーなどのサプリメント3種類が贈られる。
武居にサプリメントについて聞いてみると「BCAやHMBを日常的に使っています」と答えた。
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