【月間ベストファイター・6月】元K-1王者・軍司泰斗が初OFGで元ラジャ王者を悶絶KO！「本当はヒジ打ちで」

■「ボディで100％倒せる自信がありました」

　軍司の初挑戦は、あっという間に終わった。KNOCK OUTが用意したのは、元ラジャダムナンスタジアム認定フェザー級王者のペットルンルアン・ソーチャールワンで、身長175cmの25歳。通算戦績70戦50勝18敗2分のムエタイ元王者だ。

「当初、対戦相手の候補は日本人や在日タイ人がいたんですけど、結果的にいろいろと断られてしまって。最終的に3選手に絞られて、その中に元チャンピオンがいました。どうせやるんだったら、元チャンピオンに挑んで倒されるならその方がいいなと思いました」

左ボディをペットルンルアンにクリーンヒットさせた軍司（会場の大型スクリーンより）

　軍司は、あえて厳しい条件を選び、ペットルンルアンを指名した。

　試合が始まると、ペットルンルアンは軍司の顔へめがけてヒジ打ちで襲いかかった。軍司は「相手はヒジ打ちと首相撲がうまいのは分かっていたんですけど、少し焦りました」と一瞬の攻防で強さを感じたという。

　そして、軍司は顔面からボディへパンチのコンビネーションで反撃。強烈な左ボディが入ると、ペットルンルアンはたまらず苦悶の表情でダウン。そのままゴングが鳴らされ、元ムエタイチャンピオンが立ち上がることはなかった。

　この時のパンチについて、軍司は「OFGなのでボディで100％倒せる自信がありました。でも本当は、ヒジ打ちで倒したかったですね。これまでボディで倒したことはありましたけど、K-1を辞めてから最初の試合だったので、派手にヒジ打ちでKOしたかったんです」と悔しがった。

■8月のKNOCK OUTで再びムエタイ強豪と対戦

　軍司がボディで倒せると思ったのは、「ノップさんも言っていましたし、今までのグローブよりもOFGは薄い。身体の奥に効くような感覚がありました。通常のグローブだと表面の痛さなので、耐えることはできる。でもOFGは、奥に響いて効くので耐えられないんです」と説明する。

軍司が初のOFGマッチでKO勝利

　また、「そんなに強く打っていないんですけど、綺麗に入ったなと思いました」と、力ではなくタイミングで倒したKOだったと振り返った。軍司は「OFGは薄いのでパンチが見えやすい。首相撲も通常グローブよりも腕を抜きやすい」とも語っており、慣れていないことがデメリットと思われる中でメリットに変換するところに彼の順応性の高さを感じる。

　いきなり元ムエタイチャンピオンを倒したことで、気になるのは軍司の今後について。次戦は8月29日（金）に東京・後楽園ホールで開催される『MAROOMS presents KNOCK OUT.56 ～NEW BEGINNING～』への出場が決まっている。再びヒジ打ち有りのREDルールでゲーオガンワーン・ソー.アムヌワイデッー（タイ）と対戦することが発表された。

　軍司は「次は、ペットルンルアン選手をKOしている選手が相手です。今後はOFGムエタイで一番になることを視野に入れています。今まではキックボクシングで頂点に立ったので、今度は違うことで一番になりたい」とOFGムエタイで王者になることを目指していると宣言した。

■ライバルで仲間の龍聖との関係性

　軍司と言えば、かねてより対戦が噂され、SNSで舌戦になったことがある龍聖との関係も気になるところ。現在は一緒に練習する仲なので、どんな変化があるのだろうか。

「龍聖とは、今は練習仲間ですね。昔はいろいろとSNSでやり合っていましたが、それは格闘技の中での盛り上げ方なので。向こうは本当にやりたかったでしょうし、僕もやってもよかったんですけど、今は同じ練習場所なので、いがみ合うよりも切磋琢磨した方がお互いのためになるかなと思っています。それは一緒に練習する前から思っていました」

8月にゲーオガンワーン（写真の人物）との対戦が決定している軍司

　互いに認め合う存在だからこそ、高め合うことを選択したということなのだろう。龍聖は久井大夢に判定負けを喫し、リベンジ失敗で落ち込んでいたが、すでに立ち直った様子。近くで見ている軍司は、「僕も同じ相手に二度負けたことがあるので、気持ちは分かります。この競技は向いていないんじゃないかなと思うこともありました。でも龍聖は立ち直って次に向かっているので、心配はしていません。また違う形で（久井と）戦うこともあるかもしれないので、その時にやり返せばいい」とエールを送った。

　軍司と龍聖。かつてのライバル同士が協力し合っていけば、大きな波を格闘技界に起こすことは可能だ。2人のパワーにも期待したい。

■軍司が受賞の喜びを語る

　イーファイトの月間ベストファイターに初選出された軍司は、「初のOFG挑戦で初のルール、初めてのことだらけで初受賞は素直に嬉しいです」と喜んでいた。イーファイトからは記念盾、ゴールドジムからはサプリが贈られる。

（取材/文＝松井孝夫、構成・編集＝イーファイト編集部）