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第1回「ムエタイに全く興味がなかったボクを振り向かせたムエタイ好きの先輩の恐ろしい話と2人の名選手」

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 さて「極真空手、思い出を挙げればキリがない」に、このコラム100回目で一度区切りをつけて今回からは新テーマでいきたいと思う。新テーマはズバリ、ムエタイ。どの格闘技も面白いし魅力的なのだが、ムエタイには特別な想いがあるのだ。

 とは言え、ボクが格闘技業界に入る前、ムエタイには全く興味がなかった。なぜなら、当時ボクがムエタイに抱いていたイメージは、沢村忠にKOされてしまう人たち(キックの鬼)、極真空手に負けてしまう人たち(空手バカ一代)、卑怯な手を使って勝とうとする人たち(四角いジャングル)という、完全に梶原一騎原作の劇画に影響されたイメージだったのである。

 さらには、当時愛読していた『週刊プロレス』に掲載されていて興味を持ったシュートボクシングで、ムエタイの選手がシーザー武志にKOされていたりと、ムエタイが強いとは全く思っていなかった。

 ところが、『ゴング格闘技』編集部にアルバイトとして入ると、上司たちがやたらとムエタイの話をするのだ。時代が時代だけに、映像を見たこともなければ情報もほとんど目にすることはなかったので、ムエタイの話をされてもボクにはピンと来なかった。

 ある時、先輩が「熊久保は一番強い格闘技は何だと思う?」と聞くので「レスリングだと思います」と答えた。その理由は、実戦を想定したら最終的には取っ組み合いになるので、組んで倒して寝技もあるからというもの。さらにそこから関節技や絞め技があれば最強、だから修斗(当時はシューティング)が最強格闘技になれる可能性が最もあるのでは、と当時の考えを言った。

 するとその先輩は「たしかに寝かされたらきついけれど、ムエタイは寝かされたら ・・・

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