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第27回「ムエタイを脅かした異常なまでの強打、ラモン・デッカーについてとデッカーの影に隠れた男」

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「ムエタイの魅力、語りまくります」の第27回。今回もムエタイの敵側、つまり打倒ムエタイを狙う側の話をしてみよう。

 ムエタイ好きなら誰もが知っている、タイのビッグプロモーターのソンチャイ氏。そのソンチャイ氏が90年代に手がけた『スッグ・ワンソンチャイ』という大会は、もはや伝説化しているほど面白かった。

 最近でも『THAI FIGHT』や『ムエタイ・ウォリアーズ』などムエタイを国際的に広めようという大会があるが、『スッグ・ワンソンチャイ』はその先駆けとも言える大会だった。最高に盛り上がったのは、タイvsオランダの対抗戦。当時はインターネットなんてなかったから、1週間遅れでムエタイの試合ビデオが入荷される新大久保のタイ雑貨店に行って、ビデオを購入して見たものだ。

 このタイvsオランダがとにかく激しかった。タイ側はハンディをつけるために本来の階級より1~2つ下の階級の選手を当てていたのだが、それでも強いオランダ人を手駒に取るのである。ルンピニースタジアムの熱気も画面から伝わってきたし、タイ側の「絶対に負けない」という意気込みも伝わってきて、本当に面白い大会だった。

 その中でも最高に盛り上がったのが、“地獄の風車”の異名を取ったラモン・デッカー絡みの試合だ。知っている人も多いと思うが、全盛期のデッカーのパンチ力はそれはそれは並大抵のものではなかった。映像を見ていても“バッコーン!”という音が聞こえてきそうなくらい迫力のあるパンチだったのだ。

 デッカーが名をあげたのは、オランダでルンピニースタジアム認定フェザー級1位のナンポン・ノンキーパーフユットを破り、IMF世界ライトウェルター級王座を獲得したことだった。両者はすぐにルンピニースタジアムで再戦したのだが、この試合がもの凄かった。デッカーがパンチで先制したが、ナンポンがミドルキックとヒザ蹴りで巻き返し、パンチでデッカーを鼻から流血させた。それでもデッカーが最後まで倒しにいって、ルンピニースタジアムは大興奮!

 ボクはあとで映像で見ただけなのだが、『ゴング格闘技』で書いていたフリーライターのSさんがこの大会を取材に行っていて、帰国するなりデッカーvsナンポンがいかに凄い試合であったかを興奮しながら話してくれた。同時に、「デッカーは日本でも絶対にスターになる」と言っていた ・・・

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