2015年2月度MVP 長谷川賢
毎月イーファイトが取材した大会の中で、最優秀選手を決める月間MVP。2015年2月のMVPは、2月28日(土)東京・後楽園ホールで開催された『DEEP 71 IMPACT』で元DEEPミドル級王者・桜井隆多をアームロックで破り、無敗記録を「14」に伸ばした長谷川に決定!(2015年3月7日UP)
PROFILE
長谷川賢(はせがわ・けん) |
選考理由
1、「元王者にワンサイドで一本勝ち」
2、「海外の試合も含めて14戦無敗に」
3、「世界でも活躍が期待される」
選考委員
Fight&Life、ゴング格闘技の各格闘技雑誌の編集長とイーファイトの全スタッフ
受賞された長谷川選手には、ゴールドジムより以下の賞品(プロカルシウム 300粒 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アルティメットリカバリー ブラックマカ&テストフェン+α 240粒 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。
贈呈:ゴールドジムMVP記念インタビュー
「無敗記録にこだわっているわけではありません。気付いたら負けていなかった」
■最大116kgあった体重を83.9kgまで減量
「世界で戦える数少ない重量級日本人ファイターとして注目される逸材」と、多くの選手を見てきた佐伯繁DEEP代表が太鼓判を押したのが長谷川賢だ。
高校時代から始めた柔道で、大学時代には全日本強化選手にも選出されたが、大学卒業後には地下格闘技に出場。連戦連勝の快進撃で無敗のまま王者に君臨し、それでは飽き足らずプロに転向した。
DEEPメガトン級(100kg以上が対象の無差別級)で、“ミスターメガトン”と呼ばれた誠悟にわずか5戦目で勝利。2012年末から2013年にかけて行われた第4代DEEPメガトン級王者決定トーナメントで優勝し、王座に就いた。
初防衛戦でTKO勝ち、2度目の防衛戦では『PRIDE』や『UFC』で活躍した中村和裕の挑戦を受け、見事勝利して世代交代を果たす。さらには中国、アメリカでも試合を行って外国人選手から勝利を収めている。
そのままメガトン級でいれば、無敵の王者として日本一の座に君臨し続けただろう。しかし長谷川は2014年10月のアメリカでの試合後、DEEPでは2階級下となるミドル級への転向を宣言。最大116kgあった体重を83.9kgまで落とした。
「最初は食欲があったので辛かったんですが、2週間くらいで慣れて問題なく落とせました。試しに一度減量してみて、99.7kgから5週間で83.9kgまで落としたんです。その1回目はきつかったんですが、試合の時の減量はそんなにきつくなかったですね」
ミドル級転向第一戦の相手は、元DEEPミドル級王者・桜井隆多。DEEPで数々の激闘を演じ、“ミスターDEEP”とも呼ばれている。43歳にして日本人離れしたパワーを保持し続け、打撃も寝技も強い大ベテランだ。
1R、長谷川は前蹴りの連打からタックルに入り、片足タックルでテイクダウンを奪う。桜井が立ち上がってもすぐに足払いで再度テイクダウンして寝技に持ち込んだ。
「最初のタックルに入った時はちょっと距離が遠いかなと思ったんですが、階級を下げたからか自分の動きが軽かったので、以前より速かったからテイクダウンが取れたのかなって思います。ガッチリ抑え込んだら立たれないと思っていたんですが、立たれそうだったのでそこは無理しませんでした。ずっと抑え込んでいるよりも、あそこで立たせた方が相手のスタミナを削れるし、またテイクダウン出来そうだからいいやって思っていました」
長谷川はバックを奪って背後からパンチを見舞い続け、袈裟固めの体勢になるとアームロックを極めにいった。桜井は耐え、長谷川はレフェリーに“止めないのか?”と視線を送る。最後には長谷川が「(靭帯が切れる音が)鳴っている!」とアピール。レフェリーがここで試合をストップし、長谷川の一本勝ちとなった。
「甘いのかもしれないですが、怪我をさせたくないじゃないですか。あそこまで形に入ったらもう逃げられないので、止めてもいいんじゃないかと思ってレフェリーを見たんです。ブチブチッて音が鳴っていたし、自分が片足で桜井選手の片腕を踏んでいたのでタップ(ギブアップの意思表示として相手の身体を2回以上叩く)出来ないのかなって」
試合タイムは1R4分12秒。桜井に何もさせず、ワンサイドでの勝利だった。
「結果だけ見れば出来すぎでしたね。実は、試合前は打撃で行こうと思っていたんです。打撃で行って1Rに1回ずつテイクダウンが取れればいいなって考えていました。3Rフルにやるつもりだったので。だから出来すぎなんです」
■やるからにはUFCに行く
これで戦績は14戦13勝1分と負け知らず。本人は「負けたくはないので負けなければいいかな、とは思っていますが、特に無敗記録にこだわっているわけではありません。気付いたら負けていなかった、くらいの認識です」と、意識はしていないという。勝ち続けられる秘訣は何なのだろうか。
「なんでしょうね? 試合の時はけっこう吹っ切れていて、練習では出来なかったことが出来たりするので、そういうところもあるのかな。緊張もあまりしないです。前日までは緊張したりピリピリしたりしますが、会場に入ると全然しません。試合まではこれから試合をするって感覚もなく、入場する直前になって“ああ、これから試合か”って思うくらいです。多分、楽観的なんですね。これから試合をするのに別の違う人が試合するような感覚になります。頭を使っていないんでしょう(笑)」
恵まれた練習環境も快進撃の要因のひとつだろう。MMA(総合格闘技)の最高峰『UFC』に出場した岡見勇信、福田力、安西信昌、高瀬大樹に加え、アジア最大のMMA大会『ONE FC』に出場した水野竜也、『K-1 ASIA GP 2009』で優勝したシング・心・ジャディブなど、日本重量級のトップファイターばかりが集まった練習会に参加しているのだ。
「試合で勝って自信をつけても練習ですぐにへし折られます。強い人たちばかりで試合よりもきついんですよ。練習が終わった後は、“今日はつらかった”と毎回思うほどです」
長谷川が目指すのは、もちろんUFCの舞台だ。
「やるからにはUFCに行かないと、他にどこを目指せばいいのか分かりません。理想は無敗のままでUFCに声をかけられることですが、そんなラクな話はないでしょう。いずれどこかでぶっ飛ばされると思っています」
次回の試合は、昨年10月にも出場したアメリカの大会『TITAN』になりそうだという。
「早く試合がやりたいです。去年は2試合しか出来なかったので、今年はたくさんやりたいですね。海外での試合にこだわっているわけではありませんが、UFCに出るためにどこで戦えば評価されるのか、UFCの目に付きやすいかって考えると、やっぱり海外なのかなって思います」
今後は時間をかけてさらに一階級下のウェルター級(77.1kg)まで階級を下げたい、と長谷川は言う。それは同じ体重でもフィジカルに優る外国人を相手に少しでもハンディをなくすためと、「自分のパフォーマンスが一番活きるのは重い階級よりも軽い階級だと思うからです」との理由。UFCで勝つために万全を期したいからだ。
無敗記録はどこまで伸びるのか、そして世界の強豪相手にもそのパフォーマンスは通じるのか? 長谷川賢の今後に期待がかかる。
関連リンク
・ゴールドジム Web site
・試合レポート「長谷川、桜井に圧勝で14戦無敗に」
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