2014年2月度MVP 大和哲也
毎月イーファイトが取材した大会の中で、最優秀選手を決める月間MVP。2014年2月のMVPは、2月16日(日)後楽園ホールにて開催された『NJKF 2014 1st』で、最強の挑戦者・野杁正明をダウンさせ、激闘を制して王座防衛に成功した大和哲也に決定!(2014年3月5日UP)
PROFILE 大和哲也(やまと・てつや) 1987年12月10日、愛知県出身 身長171cm、体重63.5kg 大和ジム所属 ※詳細は選手名鑑へ→ |
選考理由
1、「最強の挑戦者を破って王座防衛」
2、「早くも年間最高試合との高い評価」
3、「日本人初のWBCムエタイ世界王者誕生に期待」
選考委員
Fight&Life、ゴング格闘技の各格闘技雑誌の編集長とイーファイトの全スタッフ
受賞された大和選手には、ゴールドジムより以下の賞品(プロカルシウム 300粒 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アルティメットリカバリー ブラックマカ&テストフェン+α 240粒 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。
贈呈:ゴールドジムMVP記念インタビュー
「“底力”で技術を跳ね返して押し切った」
■ここで負けたら自分が目指している道が閉ざされてしまう
2014年2月16日、早くも年間最高試合の呼び声も高い名勝負が格闘技の聖地・後楽園ホールで生まれた。2010年K-1 WORLD MAX-63kg日本トーナメント優勝の大和哲也と、2009年K-1甲子園優勝の野杁正明。ともにK-1で活躍したが、現在は大和がヒジ打ち・首相撲ありのムエタイルールに専念し、野杁はヒジ打ち・首相撲なしのK-1ルールをベースにしたKrushを主戦場としている。
そのため交わることがないと思われていた両者だったが、昨年7月、野杁がNJKF(ニュージャパンキックボクシング連盟)に参戦し、本格的ムエタイルール初挑戦にしてWBCムエタイ日本スーパーライト級王座を獲得。大和が保持するWBCムエタイ・インターナショナル・スーパーライト級タイトルへの挑戦権を手にいれ、日本人頂上決戦が実現した。
野杁はムエタイルール2戦目とはいえ、世界最大のキックボクシング組織『GLORY』の-65kg級世界トーナメントで準優勝、昨年9月にはその世界王者・久保優太を破ってKrush -67kg級王者になった“天才”“怪物”と呼ばれる強豪選手だ。大和と野杁は名古屋在住で、一緒に食事へ行ったこともある仲だという。
「野杁が勝つだろうなって予想していた人が多かったと思います。それくらい評価が高い相手でしたし、僕自身も認めていました。だから試合が決まった時は“ついに来たか”と思いましたね。僕的には野杁有利の予想に対して“見てろよ”って気持ちがありました。
試合はいつも負けられないものですけれど、ここで負けたら自分が目指しているWBCムエタイ世界タイトルへの道が閉ざされてしまうので、プレッシャーはいつもより強かったと思います」
超満員となり、熱気に包まれた後楽園ホールが大きく沸いたのは2Rだった。野杁がカウンターのヒジ打ちで大和の顔面を切り裂き、流血に追い込んだのだ。
「自分が気を抜いた時にヒジを打たれてしまい、“しまった”と思いました。自分が切られるのは計算外でしたね。パンチをまとめたところで、次にどうしようかなって思った瞬間を突かれてしまいました。今でも悔しいですし、反省しています」
しかし、ドクターチェックを受けた大和はすかさず反撃を開始。野杁の飛び二段蹴りを顔面に喰いながらも、下がらずに前へ出てヒジの2連打でダウンを奪った。
「今から思えば自分がヒジで切られて、展開的には面白かったかなと思います。結果的には試合として盛り上がる火種になったかなって(笑)。切られても冷静でしたし、“やりやがったな”って感じで自然に笑みがこぼれました。それで“よし、行こう”と思って。何をもらってそこから何でダウンを奪ったのか、試合直後は覚えていなかったんです。もう必死でした」
そこからは文字通り一進一退の攻防。野杁はKO狙いで逆襲を開始し、迎え撃つ大和は野杁の顔面をヒジで切り返して流血させた。お互いに前へ出て、大和はパンチ、野杁は蹴りで攻め、5Rフルに戦って勝敗は判定にもつれ込み、大和が勝利を収めた。大激戦を制した勝因は何だったのか。
「“底力”勝ちじゃないですか。テクニック的には正明の方がずば抜けていますが、僕は前蹴りをもらっても前へ出続けたように、底力でそれを跳ね返して押し切ったような感じだと思います。
僕は海外へ行って試合をやったり、強いタイ人ともやったり、特にこのヒジありルールでは強い選手たちとやってきているので、そういう経験から底力があったかなと思います。正明は減量が過酷だったというのもありますね。正明は今まで43戦やってきてトップ5に入る強い選手でした。自分的にはああいう試合をクリアしたことで、自信にもなっています」
■日本人初のWBCムエタイ世界チャンピオンの座へ
試合後には、ファンや関係者から「年間最高試合がもう決まった」という声が聞こえた。それほど内容の濃い試合だった。
「知り合いからもその話を聞いたんですが、嬉しいですね。でも自分としては勝ったからいいですけれど、反省点が多い試合でした。これでは世界タイトルは獲れないかなって。勝負という観点で見るとこれではダメだ、と思います。結果的には盛り上がったし、みんな凄くいい試合だったと言ってくれるんですが、僕的にはもっと冷静に戦うべきだったし、“しまった”という印象です」
この一戦に勝利したことで、大和にはWBCムエタイ世界暫定王者への挑戦権が与えられた。
「首がつながってホッとしています。次は世界暫定王座を獲ることが目標ですね。暫定で日本人初のWBCムエタイ世界王者とは言われたくないので、暫定を取ったら次はしっかりと正規の世界王座を獲りたいと思います」
だが、WBCムエタイ世界タイトルマッチは政治的な事情により、いまだ日本国内では開催できない状態にあるのも事実だ。
「海外へ行くことになるかもしれませんね。世界タイトルに挑戦できるならどこへでも行きます。でも、日本で最強の挑戦者を退けてからの展開なので、日本で世界タイトルマッチが出来るのがベストです。今回のインターナショナル戦がこれだけ盛り上がったので、日本でやった方が盛り上がると思う。日本で出来るようにみなさん、後押ししてください」
また、大和には日本人初のWBCムエタイ世界王座奪取のほかに、もうひとつ期待されることがある。それは日本人トップ選手を相手に無敗の快進撃を続けているムエタイの超強豪ゲーオとの一騎打ちだ。今回、野杁を破ったことで大和には打倒ゲーオの期待も高まっている。
「こうなったらきっと僕に話が来るでしょうね。日本人なら、もう僕しかいないと思います。まだコイツがいたって思ってもらえれば嬉しいですね。ただ、今はWBCの方が頭にあるので優先したいです。今はWBCしか見えていません。あの試合をして勝った以上は、絶対に世界を獲るという気持ちがあります。でも、ゲーオとの対戦の話が来れば逃げません」
K-1 WORLD MAX-63kg日本トーナメントを全試合KOで制した“豪腕”は、2つの日本人初の快挙を目指して突き進んで行く。
関連リンク
・ゴールドジム Web site
・試合レポート「ヒジの斬り合いで大和が野杁にダウンを奪い初防衛」
・この試合の動画(完全ノーカット)はこちら
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