【柔道】王子谷が2年ぶりの栄冠。原沢、七戸は準決勝に散る
講道館/全日本柔道連盟
「平成28年全日本柔道選手権大会」
2016年4月29日(金・祝)東京・日本武道館
この大会は毎年1回、体重無差別で柔道日本一を争うトーナメント。昨年の優勝者と準優勝者を推薦選手に加え、全国の予選を勝ち抜いた全42名がトーナメントで王座を争う。また、今大会は、8月に開催されるリオデジャネイロ五輪の柔道男子100㎏超級日本代表の最終選考会も兼ねて行われた。
過去にこの大会で7回優勝し、現在は格闘家、プロレスラーでもある小川直也の長男・雄勢(19=明治大学)が初出場し、準々決勝まで勝ち進み盛り上げた。
その小川を準々決勝で大内刈りから袈裟固めで一本勝ちを奪い好調をうかがわせた五輪代表候補の七戸龍(27=九州電力)だったが、準決勝で王子谷剛志(23=旭化成)に大外刈りで2度技有りを奪われ一本負け、もう一人の五輪代表候補の最有力候補とされていた昨年優勝者・原沢久喜(23=はらさわひさよし/日本中央競馬会)は上川大樹(26=京葉ガス)に判定で敗れる波乱の展開となった。
決勝は王子谷剛志と上川大樹となり2014年大会と同様の顔合わせとなった。王子谷は2年ぶり2度目の優勝を、上川は初優勝を懸けて戦う。
▼決勝戦
○王子谷 剛志(186cm 140kg 23歳 2014年全日本優勝 2015年グランプリ・デュッセルドルフ100kg超級準優勝 世界ランキング100kg超級11位)
一本(合わせ技)
●上川 大樹(185cm 160kg 26歳 2014年全日本準優勝 2015年グランドスラム・東京3位 世界ランキング100kg超級36位)
王子谷はここまで5戦中4戦を一本で勝ち上がってきた。一方、上川は、準決勝第2試合で原沢と接戦を演じ判定までもつれる戦いを繰り広げ、決勝までのインターバル間でどこまで疲労を回復できるかも注目された。
試合序盤、間合いを詰めて積極的に前に出る王子谷が大外刈りを仕掛けて、早々に技ありを奪う。
上川は連戦の疲れからか受けに回ることが多く、奥襟を簡単に持たせてしまう。
大外刈りで攻める王子谷に対し、叙々に返し技を狙う場面が見られるようになる。
だが、王子谷は返し技を恐れず前に出る。すると、試合時間残り1分30秒に差し掛かった頃、王子谷が上川の奥襟と袖をつかんで引き寄せ、支えつり込み足で2つ目の技ありを奪取。合わせて一本で優勝を決めた。
勝利が決まった瞬間、王子谷は左の拳を突き上げ、喜びを表現した。
試合後のインタビューでは「事実上、去年の12月にはリオ五輪(出場)は無いと言われていた。受け入れるのに時間がかかったが、今日それを振り切り勝つことが出来た」と、今大会に掛けた思いを口にした。
23歳の王子谷にとっては、世界選手権2年連続準優勝の七戸とロンドン五輪代表の上川を破り、東京五輪に向けて存在感を示す結果となった。
▼準決勝第1試合
○王子谷 剛志(186cm 140kg 23歳 2014年全日本優勝 2015年グランプリ・デュッセルドルフ100kg超級準優勝 世界ランキング100kg超級11位)
一本(合わせ技)
●七戸 龍(193cm 122kg 27歳 2014年&2015年世界選手権100kg超級 銀メダル 世界ランキング100kg超級3位)
2015年2月『グランプリ・デュッセルドルフ』の決勝の舞台で対戦している両者。その時は王子谷が指導3で七戸に敗れている。
両者ともに片襟や場外で指導を取り合う展開が続いた。前に出る王子谷が袖つり込みや支え釣り込み足を仕掛けるがなかなかポイントにはならない。残り時間が2分に差し掛かったところで王子谷が大外刈りを放ち技ありを先取。さらに、そのすぐ後に、王子谷は大外巻き込みを繰り出し技ありを奪い、合わせ技で一本勝ちとなった。
▼準決勝第2試合
○上川 大樹(185cm 160kg 26歳 2014年全日本準優勝 2015年グランドスラム・東京3位 世界ランキング100kg超級36位)
判定勝ち(3-0)
●原沢 久喜(191cm 123kg 23歳 2015年全日本優勝 2016年グランドスラム・パリ優勝 世界ランキング100kg超級2位)
昨年の王者として大会に臨んだ原沢であったが、準決勝まで技によるポイントが一つもなく、なかなか本来の調子を取り戻せていない。対する上川は、昨年12月『グランドスラム・東京』の準決勝、今年4月『全日本選抜柔道体重別選手権大会』の準決勝と原沢に連敗してはいるものの、今大会は3回戦・4回戦を一本で勝ち上がり、勢いがある。
開始早々、上川が強烈な足払いを仕掛ける。ポイントにはならないが、一瞬体が浮いた原沢の表情が変わる。原沢は再三、右手で奥襟を取りに行くが攻めあぐねる状況が続く。一方の上川も疲れのためかなかなか技が出てこないが、試合終盤、上川が大外刈りを仕掛け見せ場を作るも、原沢が抜いてポイントにはならない。両者、指導による1ポイントのまま、試合終了。判定は3-0で終盤に技を仕掛けた上川に軍配が上がった。
<試合結果>
優 勝 王子谷剛志(東京)
準優勝 上川 大樹(東京)
第三位 七戸 龍(推薦)
原沢 久喜(東京)
第五位 加藤 博剛(関東)
小川 雄勢(東京)
西潟 健太(九州)
百瀬 優(東京)
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