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【コラム】高山善廣にエールを送ったドン・フライの告白「俺の人生は地獄だった」

元WOWOWのUFC中継解説者としても知られる格闘技ジャーナリストの稲垣收(いながき・しゅう)氏が、世界を舞台に格闘技のディープな情報を発信する世界格闘技最前線。
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 かつて『PRIDE』を始め日本の格闘技・プロレス界で活躍したドン・フライ。2002年6月23日の『PRIDE.21』で行われた高山善廣との大激闘は、今も語り草となっている。そのフライが、頸髄(けいずい)完全損傷で回復の見込みはないと診断された高山に激励のメッセージを寄せたが、実はフライ自身も「自殺を考えた」ほどの過酷な1年間を過ごしていたことを告白した。(文:稲垣 收)

■離婚、心臓発作、3週間の昏睡状態…そして自殺志願

 9月4日(月)に頸髄(けいずい)完全損傷で回復の見込みはないと診断されたことが発表されたプロレスラーの高山善廣(50=高山堂)に、かつて『PRIDE』で高山と激闘を繰り広げたドン・フライ(51=アメリカ)が、IGFを通じて激励メッセージを寄せたことは、本サイトのニュースでも既報の通りだ。

 フライは「タカヤマさん……あなたは武士道、強さ、完成されたファイターの象徴だ。俺に会う人はみんな、あなたとの試合のことを語る。そんな対戦相手はあなたが初めてです……俺はあなたが今の状況を脱して快方に向かうことを心から祈ります」と、メッセージを送った。

 だが実はそのフライ本人も、ここ数年、驚くべき苦しみを経験していた。大変な激痛と絶望に打ちひしがれ、自殺まで考えたこともあるという。フライは自分自身もそんな苦しみを体験していながら、かつてのライバルであり、激闘を通じて尊敬と友情を感じた相手、高山に励ましの言葉を送ってくれたのだ。

2006年5月には曙(左)とも対戦した

 では、フライが経験していた地獄の苦しみとは、いったいどんなものだったのか?

 UWFインターナショナルで高山の後輩だった桜庭和志が今年、「UFC名誉の殿堂」入りし、7月6日(木・現地時間)にラスベガスで行われたセレモニーに出席した。桜庭は「パイオニア部門」で殿堂入りしたのだが、同じ部門で桜庭より1年前に殿堂入りしたドン・フライが、桜庭へのプレゼンターを務め、桜庭の登壇に先立ってスピーチをした。(この時の動画は、会員制サイト、UFC FIGHT PASSにアップされている)

 その際、フライは自分自身の1年間についても語った。

2007年4月のPRIDEでジェームス・トンプソンと対戦した際には、高山との殴り合いを彷彿とさせるクリンチからのパンチの打ち合いを見せた

「UFC名誉の殿堂のステージに戻ってこられて嬉しいぜ。去年7月に、俺自身が殿堂入りして以来だ」と、濃紺のスーツにブルーのシャツ、そしてダークタイをし、白いカウボーイハット姿のフライは、あいさつした。

 だが、その後に続いた告白に、会場のファンは息をのんだ。

「この12ヵ月は本当にラフだったぜ。まず、俺は離婚した。その上、愛馬が死んだ。そして、俺は心臓発作を起こした。背中に入っていたチタンの棒を入れ替える手術を9月に受けた。ひどい体験だったよ。俺は3週間も昏睡状態に陥り、ハロウィーンの前にやっと意識を取り戻したんだ。50ポンド(約23㎏)も体重が減った。自分でも自分の顔と思えないほど痩せこけた。このセレモニーに出るため、UFCは俺にコスチュームを買わなきゃいけなかったほどさ。俺だってことが、皆に分かるようにな」

 最後は冗談めかしたが、彼の経験した苦痛は、けっして冗談ではない。

 このセレモニーでのスピーチの約3ヵ月前に、フライはUFC UnfilterdというUFCの公式ポッド・キャスト(ネット・ラジオ番組)に出演し、より詳しい話を語っていた。 ・・・

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