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那須川天心が明かす、堀口恭司戦の3Rで使った“天心マジック”=2018年9月ベストファイターインタビュー

イーファイトが取材した大会の中から決める格闘技月間ベストファイター賞。2018年9月のベストファイターは、9月30日にさいたまスーパーアリーナにて開催された『RIZIN.13』で、元UFCファイターでRIZINエースの堀口恭司とキックボクシングルールでの“他流試合”を行い、見事勝利した那須川天心に決定!(2018年10月17日UP)

PROFILE

那須川天心
1998年8月18日、千葉県出身
身長165㎝
初代RISE世界フェザー級王者
第6代RISEバンタム級王者
ISKAオリエンタルルール世界バンタム級王者
TARGET所属

選考理由
1、「大きな注目を集めた堀口恭司戦に勝利」
2、「27,208人を動員、熱狂させた」
3、「通算無敗記録を32戦に更新」

選考委員
格闘技雑誌Fight&Lifeとイーファイトの全スタッフ

 受賞された那須川天心選手には、ゴールドジムより以下の賞品(プロカルシウム 300粒 1個、マルチビタミン&ミネラル 1個、アルティメットリカバリー ブラックマカ&テストフェン+α 240粒 1個)と、イーファイトより記念の盾が贈られます。

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贈呈:ゴールドジム

ベストファイター記念インタビュー
「何段階も進化しました。“凄い、これが試合か”と思いました」

■試合直前までやっていた「感覚をつかむ」こと

 日本、いや世界中の注目を集めて行われた那須川天心vs堀口恭司のRIZINキックボクシングルールマッチ。まさに“他流試合”の雰囲気を醸し出し、スリリングな試合展開は27,208人の観客を魅了した。

 判定勝ちした那須川は試合後に「戦うのは嫌でした」との本音を吐露。

「堀口さんのことは本当に尊敬していて。堀口恭司という選手を大きく捉えていたんです」と理由を語ったが、その根底にあるものは3年前にKRAZY BEE(当時の堀口の所属ジム)へ出稽古に行き、堀口とマススパーリングをした時の鮮烈な記憶だった。

「3年前のマスが頭を何度もよぎりました。あの時に、マスで初めて他の選手を“ヤバい”と感じたんです。それでその印象が凄く脳に残っていました。ガチでやったわけではなくマスなんですけれど、自分も普通に対応できてはいたんですが、凄いな、距離が遠いな、と思って。パンチもバチバチではないですがもらうし、これガチでもらったらどうなるんだろうなって考えていました。その時は伝統派空手のことは全く知らなかったのもあって。踏み込みが速すぎて“なんだこれは?”って思いましたね」

 この体験こそ、那須川にとって“最大の脅威”であった。堀口と戦う前までの26戦のキックボクシングキャリアの中で「それと同じくらいの脅威を試合で感じたことはないです」とまで言う。マススパーで対峙した堀口こそが「自分の中で一番強い相手、という感じでした」と脳裏に刻まれていた。

 当時、堀口はすでにMMA(総合格闘技)の世界最高峰『UFC』で活躍中であり、競技も違うので、「戦うことになるなんて思ってもいなかったですし、そもそも堀口さんが日本に帰って来るとは思っていませんでした」。リング上での接点がないからこそ「それ以来尊敬していました」との念も生まれたのだろう。

 しかし、絶対にありえないと思っていた“まさか”の時はやってきた。3年前のマスで脅威を感じた、遠い距離からの踏み込みの速さに驚かされた記憶が蘇る。そこで那須川陣営は、現役の伝統派空手の選手を招き、対策を行った。実は、その選手は当日会場にまで足を運んでくれ、開場前のリング上でも目慣らしのパートナーを務めてくれた。

「直前までやっていました。それが良かったですね。普通は試合開始のゴングが鳴ってから、感覚をつかむじゃないですか。今回はそれだと遅いので、ゴングの前に感覚をつかんで、アップの時からそのイメージでやっていたんです。その伝統派の人は堀口さんよりも速いんですよ。パンチ力は考えていないので、スピードに特化しているから。それに慣れておけば対応出来るかな、と考えました。あと堀口さんの癖も真似してくれていました。目が慣れる前にもらったらヤバいので、直前にそれをやって、そのイメージのまま試合に臨めたというか。そこは作戦勝ちです」

 試合を見た人も、那須川自身も後でVTRを見て驚いたのは、1Rと2Rはほとんど両者のパンチが相手に当たっていないことだった。

「いやぁ、あんな試合あるのかって感じでした。当たっていないけれど盛り上がっていたじゃないですか。あんなのわざと出来るわけがないし、2人とも当てに行っているわけだから、それで当たらないというのは普段の試合ではなかなか味わえないものでした。あそこまで空振りしたことは今までないです。お互いの目の良さもありますが、先を読んでいたんですよね。打ちながらも見て、避けながらも見て、という感じで。お互いの反応が良かったです」

 当初、識者からは目やスピードに慣れていない前半なら堀口有利、後半になるとキックボクシングのキャリアの差が出て那須川有利、との予想が多く聞かれた。しかし那須川は「早い段階で倒せれば倒そうと考えていましたし、3Rになることも想定していて3Rで倒すことも考えていました」と、臨機応変に対応する心構えが出来ていた。

次ページ:3Rに攻撃が当たり始めた“天心マジック”とは?

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